環境化学
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ガスクロマトグラフィー/質量分析法を用いた環境中の化学物質検索
花田 喜文門上 希和夫白石 寛明今村 清鈴木 茂長谷川 敦子村山 等
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1995 年 5 巻 1 号 p. 47-64

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抄録

我が国の都市域を対象とし, 大気, 海水, 底質及び海藻試料についてGC/MSを用いた化学物質検索調査を実施した。その結果, ハロゲン化化合物49種を含む400物質以上の化学物質を同定した。常在的な汚染物質 (n-アルカン, 多環芳香族炭化水素, クロルデン類, クロロベンゼン類, トリクロサン, トリクロロエチレン等) に加え, 底質及び海藻中のプロモジクロロアニリンやジブロモクロロアニリンなど新たな汚染物質も検出された。また, 底質中の芳香族炭化水素の組成が, 明瞭な地域差を示していた。東京湾では生活排水に由来するアルキルベンゼン (C9-C12) が検出されたが, 洞海湾では工場由来の多環芳香族炭化水素のみでアルキルベンゼンは検出されなかった。このことから, 底質中の芳香族炭化水素の組成は, 地域汚染の特性を表すものと考えられた。

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© 日本環境化学会
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