環境化学
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GC/MSによる水中のフェノール類の分析
高橋 保雄森田 昌敏
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1996 年 6 巻 3 号 p. 363-373

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抄録

固相抽出法及び溶媒抽出法による水中フェノール類の分析方法を検討した。
SPE-UNI/154カートリッジを使用した固相抽出法は試料水のpH値を4.0~6.8, 通水量を250ml以下, 通水速度を毎分5ml以下にして抽出すれば, アルキルフェノール, クロロメチルフェノール, ハロゲン化フェノール, メトキシフェノール, ブチルクレゾール, ナフトール, o-及びm-ニトロフェノールに適用できる。しかし, ニトロ系フェノール類であるp-ニトロフェノール, メチルニトロフェノール, 2, 4-及び2, 6-ジニトロフェノール, 2, 6-ジニトロpクレゾール及びヒドロキシ基が2個以上ついたフェノール類に適用することは困難であった
溶媒抽出法では, 試料水を塩酸で酸性化した後, 塩化ナトリウムを35%添加すれば, 固相抽出法とほぼ同種類のフェノール類が抽出できた。しかし, 溶媒抽出法の回収率は固相抽出法に比較して, 10%弱低下していた。
同一水道水を用いて, 固相抽出法と溶媒抽出法でフェノール類を分析したところ, メチルニトロフェノール, メチルイソプロピルフェノール, o-プロモフェノールの定量値は抽出法により, 大きく異なっていた。
固相抽出法を用いて, 水道水及び河川水中のフェノール類を分析したところ, アルキルフェノール, クロロメチルフェノール, ハロゲン化フェノール, メトキシフェノール, ブチルクレゾール, 0'ニトロフェノールが検出され, それらの濃度は水道水では検出せずから数十ng/Lレベルにあり, 河川水では検出せずから数百ng/Lレベルにあった。
河川水中のフェノール類は6月に採水した河川水は10月に比較して, 高濃度で検出され, また多種類の物質が検出されていた。また河川水とその河川水を水道原水とした水道水中のハロゲン化フェノール類を比較した結果, 塩素処理によってハロゲン化フェノール類が副生成されたとは認、められなかった。

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