底質中に検出されるポリ塩素化ナフタレン (PCNs) の異性体組成を3~6塩素化物についてそれぞれ分析し, 発生源での組成を示すと考えられる試料と比較することによってその起源を推定した。ここで分析した鶴見川, 京浜運河, 洞海湾の底質では, いずれも化学合成されたハロワックスとの類似度が高い組成を示したが, 一部の異性体が例外的に減少していた。この原因はこれらの異性体が構造的に生物分解を受けやすいためと説明できる。一方, 廃棄物焼却起源のPCNsは, 一部の流動床炉でハロワックス類似の組成の6塩素化物異性体が生成するケースを除き, ハロワックスおよび底質試料との類似度は低く, 化学合成起源のものと区別ができることが分かった。