近年、適用件数が増えている新型出生前診断(検査)について、保育者養成コースを含む 248 名の大学生 (男女比約 3:7)に対し、検査に関連する DVD の視聴後にアンケート調査を実施した。その結果、この検 査についての差別感は薄く、親のための検査とする回答が多かった。積極的に検査を受けるとする回答 は多く、9 割以上の受検者が人工妊娠中絶を選ぶとされる現状とは異なり、異常が疑われても 5 割以上が出産すると答えた。人工妊娠中絶する理由には障がいのある子の子育てへの自信のなさの回答が多く、 こうした状況では討論が行われる内容を含む DVD の視聴は、学生にとって不安感を低下させる素材と なった。さらに身近に障がいのある方がいる学生の検査への抵抗が有意に高く、胎児を人であると考え る時期が遅いほど、人工妊娠中絶を選ぶ割合が高いことが分かった。保育者養成コースの学生の方が、 学校教員養成コースの学生よりも検査を差別的とは思わない回答傾向があった。これらの結果を受け、 出生前診断がさらに一般化する可能性を考慮すれば、保育者養成においては出産を迎える保護者への 共感の力を高めると共に、障がいのある子の保育を含む実習での体験、さらに人の生命を考える授業に ついての必要性が指摘できる。