抄録
高度な外傷性肘関節骨軟部欠損に対し,肩甲皮弁および人工肘関節置換術を施行し良好な機能改善を認めた症例を経験した.症例は62歳女性.交通事故にて右肘関節開放骨折を受傷した.受傷当日,前医にて洗浄デブリードマン,創外固定術を受けるも肘関節の高度骨軟部組織欠損をきたした.当院搬送後,受傷14日目に初期治療として肩甲皮弁を用いた軟部組織再建を行った.受傷後11か月にて人工肘関節挿入術を行った.受傷後15か月時点で,可動域は他動伸展0°,自動屈曲100°,前腕自動回外90°,回内30°まで改善した.本症例では肩甲皮弁による軟部組織修復を行い感染を来すことなく術後リハビリテーションが可能であった.また高度な骨欠損による上肢の短縮を認めたが,人工肘関節挿入にて短縮を解消し肘の自動屈曲力の改善を得た.肘関節周囲の高度な骨軟部組織欠損に対して肩甲皮弁および人工肘関節を併用した治療選択は時に有用である.