日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
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I. 基礎
  • 鈴木 加奈子, 西中 直也
    2025 年32 巻2 号 p. 1-3
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    本研究の目的は左右結帯動作時の前腕回内角度と肩甲骨内旋,下方回旋角度,および肩甲上腕関節内旋角度の関係性を明らかにすることである.健常男性20名を対象に,立位における左右での結帯動作を三次元動作解析装置で計測した.最高位まで結帯動作を行った際の前腕回内角度と,肩甲骨,肩甲上腕関節角度の相関を左右別に検討した.その結果,右前腕回内角度は肩甲骨下方回旋角度,左前腕回内角度は肩甲骨内旋角度とそれぞれ相関があり,肩甲骨下方回旋角度,および肩甲骨内旋角度が大きいほど前腕回内角度は大きく,左右で異なる相関がみられた.左右ともに前腕回内角度と肩甲上腕関節内旋角度に有意な相関はなかった.結帯動作において母指をより上方へ到達させようとした場合に,前腕回内に対して理学療法評価,治療をする際には,前腕回内角度に加えて肩甲骨下方回旋,および内旋角度に着目することが有用になると考える.

  • 根本 大貴, 平田 史哉, 富田 一誠
    2025 年32 巻2 号 p. 4-7
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    健常成人13名26肢を対象に,握力と超音波画像診断装置を用いた橈側手根屈筋(以下FCR),尺側手根屈筋(以下FCU),浅指屈筋(以下FDS),深指屈筋(以下FDP),橈側手根伸筋(以下ECR),尺側手根伸筋,総指伸筋の筋厚を測定し,全体・利き手・非利き手の握力と各筋厚の相関関係,握力と前腕筋群7つの重回帰分析を行った.全体では握力と全ての筋厚で正の相関を認め,利き手はFDP以外,非利き手はFDS・FCU以外で正の相関を認めた.把持動作の際手関節を固定し,最大握力発揮に大きく貢献するECRとFCRは強い正の相関を示した.重回帰分析の結果,FCRのみ説明変数として妥当であり,FCRは握力の70%の変動を説明でき,『握力(Kg)=3.58×FCR(mm)−9.31』の回帰式が推定された.ECRとFCRの筋厚を評価することは,握力の推定ができ,治療介入に有用なツールの一つとなり得ると考えられた.

Ⅲ. 外傷・外傷合併症
  • 吉村 優里奈, 片山 修浩, 浦田 泰弘, 安岡 寛理
    2025 年32 巻2 号 p. 8-11
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    【目的】当院で小児上腕骨顆上骨折に対し前方展開を行った症例を検討し,適応基準を考察する.【研究方法】後ろ向き研究,症例報告【対象】2011~2023年に前方展開を行った小児上腕骨顆上骨折の5例を調査対象とし,術前の神経循環障害の有無,術中の神経血管所見,術直後のBaumann角(BA)及びtilting angle(TA),最終観察時のBAとTAの健側差,最終観察時の肘関節可動域,合併症の有無を調査した.【結果】2例で術前より橈骨神経障害があり,1例は橈骨神経が骨折部で挟み込まれていた.1例で正中神経と上腕動脈が骨折部で牽引されていた.【考察】当院では神経障害の評価が小児では困難であることと医原性神経血管損傷を回避する目的で積極的に前方展開を行なっており,Smith-阿部分類type 4の症例,神経血管損傷を疑う症例は最初から前方展開を行う方針としている.

  • 関根 巧也, 大村 泰人, 上原 浩介, 門野 夕峰
    2025 年32 巻2 号 p. 12-14
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    小児上腕骨遠位端骨折の多くは顆上骨折でありT型骨折はまれである.小児T型骨折2例を経験したので報告する.6歳男児.うんていから落下し左肘を受傷した.単純X線は粉砕のあるT型骨折で,骨端線は残存していた.上腕三頭筋の内外側両側進入法で整復し鋼線固定を行った.術後3.5か月で骨癒合認め抜釘を行った.可動域は健側と同程度まで改善した.14歳男児.サッカー中に右腕が体の下に入った状態で転倒受傷した.単純X線は同様だが,CTで骨端線は閉鎖していた.肘頭骨切り法で関節面を整復し内外側プレート固定を行った.術後4か月で骨癒合認め,術後半年で抜釘を行った.可動域は屈曲135°,伸展−10°だった.若年では弾性に富んだ軟骨があるため骨折線が関節面まで及ばないことが多い.転位の大きいT型骨折の場合,8歳以上でプレート固定を勧めている報告があり,年齢や骨端線閉鎖の有無によって治療を考慮するのが望ましいと考える.

  • 山賀 崇, 倉橋 俊和, 鈴木 誠人, 建部 将広
    2025 年32 巻2 号 p. 15-17
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    6歳男児.上腕骨外側顆骨折を受傷,観血的骨接合術を施行.術後骨折部の再転位を認め,初回手術後47日,再度,観血的骨接合術を実施した.再手術後4か月で抜釘術を実施.この頃より,単純X線で徐々に上腕骨小頭骨端核の萎縮を認めた.慎重に経過観察を継続したところ,初回手術から11か月時点,単純X線で上腕骨小頭骨端核が完全に消失した.経過観察を継続し,初回手術後1年7か月,単純X線で徐々に上腕骨小頭骨端核が再度確認できるようになった.初回手術後8年7か月,15歳の最終観察時,肘関節伸展−15度,屈曲135度と軽度の可動域制限は残存するも,単純X線で上腕骨小頭は認められ,疼痛はなかった.上腕骨外側顆骨折に対する複数回手術後に,一時的に上腕骨小頭骨端核が消失した一例を経験した.小児の上腕骨小頭骨端核は,複数回の外科的操作により血流障害を受けやすく,注意深い術式の選択と経過観察が重要であると考えられる.

  • 髙橋 裕貴, 田中 雅仁, 入江 徹
    2025 年32 巻2 号 p. 18-20
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    小児上腕骨内上顆骨折に対して当科ではK-wire 2本のみで固定しており,その治療成績を報告する.2014年4月から2024年8月までに手術施行した19例のうち,K-wireのみの固定で術後3か月以上経過観察できた14例を対象とした.年齢は平均10.5歳,男6例女8例,経過観察期間は平均9.4か月.Watson-Jones分類はtypeIが1,typeIIが11,typeIVが2例.評価項目は,骨癒合,神経損傷,疼痛,肘関節可動域,Carry angle(CA).13例で骨癒合,1例で遷延癒合.後骨間神経障害1例.全例で最終観察時に骨折部の疼痛は認めず,可動域は制限なしが7例,10°以下の伸展制限が5例,10°以下の屈曲制限が2例.CAは健側と有意差なし.K-wireのみの固定で,軽度の可動域制限は残るも良好な結果が得られたが,年齢や活動レベルに応じて他の固定方法を考慮すべきであると考える.

  • 新行内 龍太郎, 脇田 浩正, 稲垣 健太, 山崎 貴弘, 松浦 佑介
    2025 年32 巻2 号 p. 21-24
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    目的:小児上腕骨内側上顆骨折の術後に橈骨神経障害を来たしうる鋼線刺入方向を検討する.方法:2014年から2024年までに鋼線締結法を施行した16歳以下の上腕骨内側上顆骨折症例のうち,術後コンピュータ断層撮影(CT)を撮影した4例4肘,8鋼線について術後C Tにおける鋼線と腕橈骨筋–上腕筋間との位置関係,鋼線突出長,術後合併症を検討した.結果:上腕骨体前外側から突出する鋼線は8本中6本見られ,橈骨神経が進入する上腕筋–腕橈骨筋間に向かう鋼線は3本であった.平均鋼線突出長は10.5 mm(4.2~15.3 mm)であった.術後橈骨神経障害を示唆する痺れ症状を1例で認めたが,鋼線抜去により速やかに改善した.考察:上腕骨内側上顆骨折鋼線挿入手技において,橈骨神経障害は留意すべき合併症である.上腕骨内側上顆から刺入した鋼線が前方に向かうことで橈骨神経を損傷してしまう可能性がある.

  • 幸田 久男, 森谷 浩治, 黒田 拓馬, 成澤 弘子, 坪川 直人, 牧 裕
    2025 年32 巻2 号 p. 25-27
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    【緒言】観血的治療を行った小児橈骨頚部骨折の骨頭傾斜角を調査し,自家矯正による変化量を検討した.【対象と方法】2012年から2022年までの28例28肘を対象とし,年齢,性別,骨折型,手術法,経過観察期間,受傷時・術直後・最終時の骨頭傾斜角,最終時の肘関節・前腕可動域を調査した.【結果】平均年齢8.9歳,男14肘:女14肘,骨折型はSalter-Harris分類I型が2肘,II型が26肘,経過観察期間は平均18か月であった.骨頭傾斜角は受傷時30.2°,整復後5.7°,最終時2.6°で,それぞれの間で有意差があった.【考察】本検討での矯正角度は3°程度と小さく,大きな橈骨頭傾斜角の矯正は働かないことが推察された.鋼線刺入による成長軟骨板早期閉鎖や偽関節のリスクは決して高くないため,骨折部での不安定性を認める症例に対しては,鋼線固定が考慮されるべきと考える.

  • 幸田 久男, 森谷 浩治, 黒田 拓馬, 成澤 弘子, 坪川 直人, 牧 裕
    2025 年32 巻2 号 p. 28-31
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    【はじめに】術後経過が不良であった小児橈骨頚部骨折の2例を報告する.【症例1】13歳,男児.跳び箱で着地に失敗して受傷した.受傷同日,1.5 mm K鋼線1本を用いて観血的骨接合術を施行したが,術後8週から骨折部の透亮像が拡大した.術後4か月で腸骨移植を併用した偽関節手術を施行し,偽関節手術後6か月で骨癒合が得られた.【症例2】11歳,男児.体育の授業中に転倒して受傷した.同日,1.5 mm K鋼線1本を用いて観血的骨接合術を施行したが,術後8週から骨折部の透亮像と橈骨頭の側方転位が確認された.術後4か月で腸骨移植を併用した偽関節手術を施行し,偽関節手術後8か月で骨癒合が得られた.【考察】骨折部の不安定性が偽関節発生のリスクとされており,本検討の2症例とも固定力が不十分であった可能性がある.観血的整復では,骨膜の温存に留意しつつ複数のK鋼線を用いて強固な固定性を獲得することが重要と考える.

  • 倉橋 俊和, 建部 将広, 鈴木 誠人
    2025 年32 巻2 号 p. 32-35
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    小児上腕骨小頭articular shear fractureは稀である.単純X線写真では実際の大きさや転位が過小評価され,治療に遅れを生じやすい.今回,受傷3か月が経過した陳旧例に対し骨釘による内固定を施行した1例を経験した.症例は10歳男児,サッカーの練習中に転倒受傷した.近医で尺骨鉤状突起骨折および上腕骨小頭剥離骨折と診断され保存治療となるも肘関節の伸展制限が残存し,近隣市民病院への紹介を経て受傷11週で当院を受診した.肘伸展可動域は−30度で,最大伸展時に骨性の制限を認めた.単純CT・MRI像で上腕骨小頭後外側に転位した骨軟骨片を認めたため,観血的に整復して肘頭より採取した骨釘3本で内固定した.術後2年の肘伸展可動域は0度,単純X線写真では腕橈関節面に関節症性変化を認めなかった.術式の選択に際しては骨軟骨片の性状や受傷からの期間を考慮し,症例に合わせて固定法を検討する必要がある.

  • 岡田 恭彰, 根本 菜穂, 及川 昇, 長尾 聡哉
    2025 年32 巻2 号 p. 36-42
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    小児新鮮Monteggia骨折の治療方針を検討した.【対象および方法】79例79肘,平均年齢6.5(2~13)歳であった.鎮静下または全身麻酔下に徒手整復で橈骨頭の動的安定性が得られなければ,腕橈関節を展開し整復阻害因子を除去して橈骨頭を観血的に整復した.【結果】橈骨・尺骨ともに徒手整復のみの保存加療が11例,橈骨頭の徒手整復と尺骨の経皮鋼線髄内釘が58例であり,橈骨頭の観血的整復を要したのが10例で整復阻害因子は全例輪状靱帯であった.【考察】小児新鮮Monteggia骨折は早期治療による橈骨頭の動的安定性の獲得が重要であるが,橈骨頭の観血的整復を要した10例中7例は受傷から2日以内であり,早期治療例でも橈骨頭の動的安定性が得られない可能性があることを念頭において治療方針を統一しておく必要がある.十分な安定性が得られない場合は整復阻害因子を同定して正確な整復を行うべきである.

  • 山本 悠介, 佐柳 潤一, 鈴木 浩司, 中川 玲子, 堀木 充
    2025 年32 巻2 号 p. 43-46
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    Monteggia骨折は尺骨骨幹部骨折に橈骨頭脱臼を伴う外傷であり,通常は尺骨の整復により橈骨頭も整復されるが,稀に整復困難例が存在する.今回われわれは,橈骨頚部が上腕筋内に嵌頓し,徒手整復が困難であった小児例を経験した.7歳女児が鉄棒から転落し受傷.X線およびMRIで橈骨頭の前内側脱臼と上腕筋の描出不良を認めた.徒手整復不能のため観血的整復を行い,腱膜様構造による絞扼を解除したところ整復が得られた.術後4か月で可動域は良好であった.上腕筋は解剖学的に深頭と浅頭の間に隙間があり,脱臼した橈骨頭がこの部位に嵌入することで整復困難となる可能性がある.前内側脱臼を呈するMonteggia骨折においては,早期に観血的整復を検討すべきである.

  • 坂﨑 太紀, 玉置 康之
    2025 年32 巻2 号 p. 47-51
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    当院で上腕骨遠位端骨折に対して180度平行設置ダブルプレート固定で手術を行った24例を対象とし,その治療成績を後ろ向きに調査した.男性5例,女性19例で,手術時平均年齢は73.0歳,平均観察期間は11.9か月,骨折型はAO/OTA分類でA2:13例,C1:4例,C2:7例であった.内側は6例で通常の内側プレート,18例で内側エクステンデッドプレートを使用していた.24例全例で骨癒合し,最終観察時の関節可動域は平均106.0°であったが,6例(25%)で術後に尺骨神経障害を生じていた.内側エクステンデッドプレートを使用することで遠位骨片の小さな症例にも対応可能となる一方で,内側上顆周囲の軟部組織の剥離が必要となるため,尺骨神経への侵襲や血流障害,尺骨神経と内側エクステンデッドプレートのインピンジメントが懸念される.可能であれば通常の内側プレートを用いたダブルプレート固定が望ましいと考える.

  • 東山 祐介, 久保 和俊, 富田 一誠, 工藤 理史
    2025 年32 巻2 号 p. 52-54
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    高齢者の上腕骨遠位端骨折に対し一期的に人工肘関節置換術(以下TEA)を施行した症例の治療成績及び合併症を調査した.2021年以降に上腕骨遠位端骨折に対し一期的TEAを受傷後4週間以内に施行し,1年以上経過観察可能であった13肘を対象とした.全例linked typeのimplantを使用し,術後1週肘上シーネ固定の後に肘関節可動域訓練を開始した.術中合併症として肘頭骨折が1肘,術後合併症として尺骨インプラント周囲骨折を1肘,異所性骨化を1肘に認めた.骨折に対しては各々内固定を追加した.最終経過観察時に肘関節疼痛残存を認めた症例はなかった.高齢者における上腕骨遠位端骨折の治療に関し,特に通顆骨折においてプレート固定後の偽関節を生じる症例の報告が散見される.われわれは主に70歳以上の症例に対し一期的TEAを施行している.術中及び術後合併症を認めた症例は散見されるが臨床成績は概ね良好であった.

  • 脇田 浩正, 新行内 龍太郎, 稲垣 健太, 松浦 佑介
    2025 年32 巻2 号 p. 55-58
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    【目的】80歳以上の高齢者上腕骨通顆骨折の治療成績を検討し,適切な治療戦略を考察すること.【対象と方法】2015年4月から2024年12月までに受傷14日以内に当院を受診した80歳以上のAO type 13-A2.3上腕骨通顆骨折14例を対象とした.治療法,合併症,骨癒合の有無と期間,最終観察時の肘関節可動域を調査した.【結果】保存療法3例,手術療法11例(全例Double Locking Plate固定)であった.保存療法群(平均年齢91.3歳)では3例中2例で全身状態悪化を認めた.手術療法群(平均年齢85.9歳)では,全例骨癒合を得た(平均期間135.4日).最終観察時の平均可動域は伸展−17.5度,屈曲106度であり,認知症患者で有意に可動域制限を認めた.【結論】高齢者上腕骨通顆骨折では低侵襲で強固な固定による手術療法を第一選択とすべきである.

  • 川崎 恵吉, 明妻 裕孝, 酒井 健, 筒井 完明, 西川 洋生, 荻原 陽, 久保 和俊, 岡野 市郎, 稲垣 克記, 工藤 理史
    2025 年32 巻2 号 p. 59-62
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    70歳以上の新鮮上腕骨通顆骨折に対するdouble locking plate固定術(DLP)の15例と人工肘関節置換術(TEA)の11例の治療成績を比較検討した.手術は,O群は全例Depuy-Synthes社のVA-LCPDHPを,T群は全例Zimmer社のNexel elbowを使用した.患者背景でT群は平均年齢が高く,受傷から手術まで期間が長かった.画像上,DLP群は全例骨癒合し,TEA群では人工関節の弛みは認めていない.最終診察時の屈曲と伸展の可動域,Mayo Elbow Performance Scoreで有意差はなかった.高齢者の上腕骨通顆骨折は,既往症により待機期間が長くなる傾向があり,また受傷早期から骨折部の摩耗による骨欠損も生じやすいことから,骨接合も容易ではない.一方でTEAも活動制限のデメリットがある.両手術手技に関しては細心の注意が必要である.

  • 藍澤 一穂, 渡辺 直也, 本宮 真
    2025 年32 巻2 号 p. 63-65
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    高齢者上腕骨通顆骨折術後に生じた肘関節外側不安定性に対し,保存療法にて良好な治療成績を得た1例を報告する.症例は74歳女性,屋外で転倒し受傷.受傷2日後にダブルプレート固定法による骨接合術を行った.術後X線正面像で腕頭関節裂隙の開大がみられ,側面像で橈骨頭は前方亜脱臼位だった.術中操作による肘関節外側不安定性と判断し,前腕回内位で肘伸展制限を設けたヒンジ付き装具装着下で可動域訓練を行った.術後5か月で骨癒合し,術後1年の最終経過観察時,機能障害や不安定性は認めず,屈曲140度,伸展−10度,前腕回内80度,回外90度,Quick DASHは2.3と良好な成績が得られた.本骨折において,遠位外側骨片が小さい場合や術中の過度の剥離操作により,外側側副靱帯の機能不全が惹起される可能性がある.軽度の不安定性であれば本症例のように後療法を工夫することで拘縮や不安定性を残さずに治療可能と考える.

  • 國本 達哉, 藤原 浩芳
    2025 年32 巻2 号 p. 66-69
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    上腕骨滑車基部に骨折線を伴う上腕骨遠位部粉砕骨折では,滑車骨片が独立し,固定に難渋することがある.本研究では,上腕骨滑車骨片の固定に外側プレートが有効であった3例3肘を報告する.平均年齢は65.7歳,平均観察期間は14.7か月であった.全例で骨癒合を得て,滑車骨片へのスクリュー刺入本数は平均3.7本であり,最終可動域は伸展−8.3°,屈曲136.7°,MEPSは全例100点であった.肘関節内骨折では解剖学的整復と早期運動療法に耐えうる強固な固定が求められ,ロッキングプレートからのスクリュー刺入が望ましい.内側プレートからは,解剖学的な位置から滑車骨片へのスクリュー刺入は難しく,後外側プレートではサポートホールからの刺入となり,他のスクリューとの干渉が問題となる可能性がある.外側プレートでは複数本のスクリュー刺入が可能であり,滑車基部骨折を伴う上腕骨遠位部骨折に対して有効な選択肢となる.

  • 阿部 雪穂, 山崎 宏, 林 正徳, 岩川 紘子, 宮岡 俊輔, 北村 陽, 中村 駿介
    2025 年32 巻2 号 p. 70-73
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    外傷性上腕骨外顆部骨欠損の2例に対して遊離腸骨移植を行った.症例1:39歳,女性.右肘Sideswipe injury. 外側側副靱帯と上腕骨小頭,および滑車の一部に欠損を認めた.症例2:75歳,女性.上腕骨外顆部の粉砕を伴う上腕骨遠位端関節内骨折.いずれも遊離腸骨移植による骨再建および外側側副靱帯の再建を行った.肘関節の内反不安定性は認めず,経過中に関節症性変化に乏しかった.本症例では腸骨移植により形状の適合性を活かして骨再建を行い,肘関節の安定性を確保でき,臨床成績は良好であった.欠損範囲が外側50%までの症例においては,腸骨移植と靱帯再建の併用が肘関節の安定性確保に有効であり,軟骨再建は必須ではない可能性が示唆された.

  • 鳥山 貴裕, 近藤 洵也
    2025 年32 巻2 号 p. 74-76
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    【背景】上腕骨遠位骨幹部骨折(以下DHSF)は遠位骨片が小さく,強固な内固定が困難である.【症例】48歳女性.自殺企図により13階から墜落受傷した.DHSF(AO分類12A3)を認め,受傷後6日目に後方アプローチから全てcortical screw(以下CS)を用いてプレート固定を行った.術後4週で骨折部の転位を認め,ギプス固定を行ったが,転位の増悪があり術後6週で再手術を行った.外側アプローチからプレートを抜去後,順行性髄内釘固定を行い,良好な骨癒合を得た.【考察】DHSFに対する後方プレート固定では,強固な固定を行うためにスタンダード規格のlocking screwを3本以上挿入する必要がある.しかし,本症例では全てCSを用いたことで回旋抵抗性が不足し,不適切な整復位のため転位を生じた.若年者への順行性髄内釘固定は,医原性腱板損傷のため積極的な適応ではないが,本症例には有効であった.

  • 篠原 孝明, 能登 公俊
    2025 年32 巻2 号 p. 77-79
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    上腕骨遠位端骨折プレート固定後の尺骨神経障害を防止する目的で新しい手術法,尺骨神経in situアプローチ(UNISA)を開発したので報告する.2022年9月以降,UNISAを用いてダブルプレート固定法を行った9例を対象とした.本術式はlateral columnからmedial columnに向けて上腕骨–上腕三頭筋間を内側筋間中隔まで剥離後,尺骨神経と内側筋間中隔を剥離し,上腕三頭筋と尺骨神経を一塊として後方に移動させ,骨折部を展開して整復,ダブルプレート固定を行う.術直後から経過観察中に尺骨神経障害をきたした症例はなく,術中所見で肘最大屈曲時にプレートと尺骨神経が干渉した症例も認めなかった.本法は神経剥離を最小限にとどめるため侵襲が少なく,上腕三頭筋と連続しており神経周囲の血流を温存できる.また,プレートとの干渉も回避できるため,尺骨神経障害予防に有用である.

  • 鈴木 浩司, 佐柳 潤一, 中川 玲子, 堀木 充
    2025 年32 巻2 号 p. 80-82
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    肘頭骨折に対するtension band wiring(TBW)法の骨癒合遷延に関連する因子を検討した.2018年以降にTBW法を施行したColton分類group2の28例(平均年齢70.7歳)を対象とし,骨折線の傾斜角(coronal inclination: CI, sagittal inclination: SI)と骨癒合期間との関連を解析した.骨癒合期間が5か月未満を正常癒合(NU),5か月以上を遷延癒合(DU)と定義し比較したところ,CIは骨癒合期間と強い正の相関を示し,NU群とDU群で有意差を認めた.ROC解析より癒合遷延のカットオフ値は39度であり,CIが大きい症例では癒合遷延のリスクが高いことが示唆された.本計測法は術前CTで評価可能であり,癒合遅延の予測に有用と考えられた.

  • 郭 江裕, 大原 建
    2025 年32 巻2 号 p. 83-85
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
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    肘頭骨折に対する手術方法としてKirshner鋼線によるTension Band Wiring法が一般的だが,鋼線のback outによる転位,再手術などの合併症が報告されている.リングピンはリングに軟鋼線を通すことでピンがback outせず有用だが,こちらも術後骨折部の転位が報告されている.リングピンを用いて手術を施行した13例に対し,術後転位の有無や治療成績について調査した.術後転位は5例(38.5%)に認め,転位例はリングの浮きが有意に大きく,すべて長さ70 mmのピンが使用されていた.全例で骨癒合が得られ,感染や偽関節などの合併症もなかった.リングの浮きやピンの短さが転位の要因となっている可能性があり,ピンの打ち込みを念入りに行い,長いピンを選択することや,ハイリスク症例には軟鋼線をもう1本追加するといった工夫により,転位の予防が重要であると考えられた.

  • 齋藤 光, 千馬 誠悦, 成田 裕一郎, 白幡 毅士, 湯浅 悠介, 宮腰 尚久
    2025 年32 巻2 号 p. 86-89
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    尺骨肘頭骨折に対するtension band wiring(TBW)法は標準的な治療法であるが,Kirschner鋼線(K鋼線)のバックアウトは術後合併症として頻発し,固定力低下や皮膚障害の原因となる.本研究では,TBW法を用い,術式を髄内法,貫通法,ロッキングプレート併用貫通法(LP+貫通法)の3つに分類し,K鋼線のバックアウト距離を後方視的に比較検討した.2013年から2024年に施行した尺骨肘頭骨折52肘を対象とし,K鋼線のバックアウト距離,骨癒合,合併症,抜釘について評価した.全例で骨癒合が得られ,抜釘率および合併症発生率に群間差は認めなかった.K鋼線バックアウト距離は,LP+貫通群が貫通群に比べ有意に短縮したが,髄内群と貫通群の間に有意差はなかった.LP+貫通法はバックアウト抑制に有用であり,髄内法は貫通法に対する有効な代替術式となり得ることが示唆された.

  • 北野 岳史, 曽和 智子, 吉田 宗人
    2025 年32 巻2 号 p. 90-92
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/27
    ジャーナル フリー

    肘頭骨折の近位骨片に十分な大きさがない症例に,通常のtension band wiring(TBW)法による内固定では十分な固定性が得られず,固定方法に工夫が必要となる.術前の単純X線,CT矢状断像で半定量的に近位骨片が小さいと判断した症例にスリーブボックスを有するAI-Wiring SystemのAI-ピンミニを用いたTBW法による内固定を実施した.2本のスリーブボックスと貫通する2本のケーブルをワッシャー様に機能させ,鋼線やAI-ピンシングルより広い面積で近位小骨片の把持が可能で,骨折部分を圧着固定ができた.本研究ではAI-ピンミニを使用した小さな近位骨片症例の近位骨片長は平均:11.3 mmで,良好な初期固定が得られ,骨折部の骨癒合を認めた.スリーブボックスを近位骨片,上腕三頭筋と共に圧着するように挿入し,突出を抑えて挿入したことで,インプラント周囲痛や皮膚刺激症状を認めなかった.

  • 辻 英樹
    2025 年32 巻2 号 p. 93-95
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    骨粗鬆症を有する肘頭骨折に対する穴付き鋼線と締結軟鋼線2本を用いたTBW法の治療成績を調査し,その有用性を明らかにすることを目的とした.対象は14例(男3女11),平均年齢76.9歳,Colton分類2A:8例,2C:6例であった.手術方法は,肘頭骨片を整復後,2.0 mm穴付き鋼線を2本髄腔内に挿入し,締結軟鋼線①を上腕三頭筋下で肘頭骨片に密着締結させ骨折部を圧迫固定した.次いで軟鋼線②を穴付き鋼線の穴に通しバックアウトを防止した.術後転位は2/14例(いずれも1.5 mm)で,全例遷延なく骨癒合した.鋼線バックアウトは0例,皮下軟鋼線の違和感あり10例で抜釘を要した.最終肘関節可動域は伸展平均−7°(−20〜0),屈曲平均132°(115〜145)で,平均JOA scoreは91.2点(83〜100)であった.本法は骨粗鬆症を有する肘頭骨折に対し,有用な方法である.

  • 山本 耕平, 寺浦 英俊
    2025 年32 巻2 号 p. 96-98
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    肘頭骨折に対するロッキングプレート固定は有用であるが近位骨片はしばしば2重骨折を呈し内固定後に脱転する.インプラントの選択,追加手技の必要性などを検討するための一助とするため2重骨折の発生率と骨片の形態について調査した.対象は46人47肘,男性20肘,女性27肘,平均年齢66.5歳でColton分類group1:9例,group2a:10例,group2b:11例,group2c:4例,group2d:2例,group4:1例であった.2重骨折の発生率は38.3%で骨折型で発生率に有意差はなかったがColton分類group2cで高い傾向であった.肘頭先端から2重骨折の骨折線までの平均距離は15.4 mmで15 mm以上17 mm未満で77.8%高率であった.また2重骨折群で年齢が有意に高齢であった.手技的な問題による近位骨片の脱転を防ぐため術前評価は重要である.

  • 筒井 完明, 天野 貴司, 西川 洋生, 工藤 理史
    2025 年32 巻2 号 p. 99-102
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    症例は74歳女性.単純X線像とCTにて近位骨片が冠状面で二分され粉砕を伴うMayo分類type IIbの肘頭骨折の診断となった.骨折部の整復位保持と術後近位骨片の逸脱予防と目的として,骨片間を直接縫合固定するintraosseous suture fixationと上腕三頭筋腱の牽引力に抗するtension band suture fixationの2種類の縫合固定を組み合わせたdual suture fixationで固定を行った.術後1週から可動域訓練を開始し,12か月後に骨癒合と良好な機能回復を得た.肘頭骨折の手術治療にはtension band wiring,プレート固定などがあるが,骨片の粉砕や骨質脆弱性により従来法で対応困難な症例も存在する.近位骨片が二重に骨折した粉砕肘頭骨折に対し,dual suture fixationは有効な治療選択肢となる可能性が示唆された.

  • 森田 晃造, 石井 和典
    2025 年32 巻2 号 p. 103-105
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    Mason分類type3橈骨頭・頚部骨折症例の手術治療成績について検討した.対象は本骨折に対し手術施行後6か月以上経過観察可能であった26例26肘,平均年齢50.3才,平均観察期間は16.8か月であった.今回手術使用インプラント,最終観察時の肘関節可動域,臨床評価,プレート固定群に関しては形状よりrim型設置群(R群)12例と頚部型設置群(N群)10例に分け比較検討した.結果は可動域は全例平均で屈曲129.6°伸展−15.0°回内78.3°回外71.7°であったがR群では回外平均61.7°と有意な制限を認めた.JOA-JES scoreは平均85.3点であった.本骨折は治療に難渋することの多い骨折であるが正確な整復およびロッキングプレート固定により良好な成績が期待できる.しかしR群において特に回外制限が高度に認められるため使用は必要最小限に留め,プレート選択は十分に吟味すべきである.

  • 平井 幸雄, 松岡 峰造, 阪田 晃佑, 大西 厚範, 中井 隆彰, 岩田 浩和, 十河 英司, 林 潤三, 中井 毅
    2025 年32 巻2 号 p. 106-108
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    【緒言】尺骨回外筋稜は外側側副靱帯が付着し,その骨折は肘関節後外側不安定症の一因となるといわれているが,その病態や手術適応は不明な点が多い.今回橈骨頭粉砕骨折に尺骨回外筋稜裂離骨折を合併した症例に対し,観血的整復内固定術を施行した1例を経験したので報告する.【症例】54歳女性,脚立から転落し右手をつき受傷,X線検査にて橈骨頭骨折と尺骨近位部骨折(回外筋稜裂離骨折)を認め,受傷12日目に観血的整復内固定術を施行した.橈骨頭骨折は髄内screw,尺骨回外筋稜裂離骨折は骨anchorにてそれぞれ固定した.骨折部の固定性は良好であり,術後の後外側不安定性も認めなかった.1年後のX線像では骨癒合が得られており,肘関節の可動域は良好であった.【考察】尺骨回外筋稜の骨折は明らかな転位があり複合損傷を合併する場合,後外側不安定症のリスクも鑑みて,内固定を選択肢の1つとしても良いのではないかと考えた.

  • 西沢 剛, 二村 謙太郎, 対比地 加奈子
    2025 年32 巻2 号 p. 109-111
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は外傷性単純肘関節脱臼(SED)の臨床成績を明らかにし,その治療戦略を提唱することである.方法:手術を施行したSEDの症例を対象とし,患者治療情報として肘関節ストレス撮影による不安定性,確定的手術を調査した.主要評価項目を受傷後1年のVAS,肘関節ROMとMEPSとした.結果:対象19例19肘だった.術前ストレス撮影から推察される受傷メカニズムはPLRIが16例,HVが2例,PMRIが1例であった.修復された部位は,PLRIは外側のみ11例,前方と外側が3例,前方と内側が2例であった.HVは内側のみ,PMRIは外側のみの修復であった.VASは平均0.8,ROMは肘関節伸展−5.3°屈曲135°であった.MEPSは平均93.4であった.結語:ストレス撮影により受傷メカニズムを診断し治療部位を決定することが重要であると考えられた.

  • 山本 大樹
    2025 年32 巻2 号 p. 112-116
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    【目的】肘関節脱臼骨折例の治療成績を評価し,文献的考察を加えて報告する.【方法】2020年4月から2024年4月の期間に治療を行った10例を対象とした.調査項目は受傷時年齢,性別,手術待機期間,損傷形態,手術アプローチ,修復時に後方脱臼が制動された要素,最終観察時の肘関節可動域,合併症の有無とした.【結果】受傷時年齢は平均50.1歳(16~82歳),男性7例,女性3例で,手術待機期間は平均5.4日(2~11日)であった.損傷形態はterrible triad injury(TTI)が5例,尺骨鉤状突起骨折と外側側副靱帯(LCL)損傷の合併が1例,尺骨鉤状突起骨折とLCL損傷および内側側副靱帯損傷の合併が4例であった.8例でLCLを修復した時点で後方易脱臼性は完全に消失した.【考察】受傷早期にLCLを修復することで,後方への不安定性遺残は回避することができると考えられた.

  • 二村 謙太郎, 対比地 加奈子, 西沢 剛
    2025 年32 巻2 号 p. 117-122
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    Terrible triad injury(TTI)16例の成績を報告した.鉤状突起骨折はRegan–Morrey分類typeI:6例,II:8例,III:2例,橈骨頭骨折はMason分類typeII:2例,III:14例であった.原則Pughらのstandard surgical protocolに則って治療したが,鉤状突起骨折4例に対してAnterior approachによるバットレスプレート固定を施行した.臨床成績は先行研究と同等で,自動伸展は平均−17.9±10.9度と屈曲拘縮を認め,4例に授動術を要した.またBroberg–Morrey classification grade 2の関節症性変化を5例で認め,そのうち3例は不安定性に対して創外固定を追加した.TTIの治療は,肘関節拘縮を回避しつつ不安定性を遺残させないことが重要であり,その治療の難易度からいまだ“Terrible”である.

  • 黒田 拓馬, 森谷 浩治, 幸田 久男, 坪川 直人
    2025 年32 巻2 号 p. 123-126
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    Trans-ulnar basal coronoid fracture-dislocation(TUBCFD) 17例(平均年齢56.4歳)の手術アプローチについて調査した.橈骨頭骨折を合併した13例のうち,尺骨近位部骨折線が腕尺関節を通過する6例では,側臥位または仰臥位で1皮切の後方拡大進入が選択され,鉤状突起骨折に対しては主に尺骨骨折部から処置が行われていた.一方,尺骨近位部骨折線が腕尺関節より遠位を通過する7例では,仰臥位で後内側および外側の2つの皮膚切開が用いられ,鉤状突起骨折に対しては内側アプローチが選択される傾向が見られた.合併する橈骨頭骨折に対しては,多くの症例でKaplan approachが用いられていた.TUBCFDにおいて,後方進入を基本方針とし,鉤状突起骨折に対して後方からの処置が可能かどうかを判断基準とすることは有用な手術アプローチの選択に繋がると考えられる.

  • 長谷川 仁
    2025 年32 巻2 号 p. 127-129
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    肘関節脱臼において近位橈尺関節が破綻する分散脱臼に橈骨頭骨折を合併し,前腕回外位でロッキングを生じた非常に稀な症例を経験した.症例は17歳女性と35歳男性で,橈骨頭が脱臼し前腕回外位のまま全く回内できない状態であった.徒手整復は不能で,手術の際に輪状靱帯の実質部断裂を認めるも整復不能で,最終的に橈骨頭の骨折縁と近位橈尺関節前縁でのロッキング部分を梃子操作にて解除した.自験例は分散脱臼の中でも非常に稀な集合脱臼の状態を呈していた.観血的整復を要した報告が散在しているが,われわれが渉猟しえた中で,整復阻害の原因として自験例のような骨折縁と関節縁でのロッキング状態を生じた例は認められなかった.発生機序は過度な回外位のまま前尺側へ脱臼した橈骨頭が,骨間膜の緊張が残存していたために骨折部で徒手整復不能なロッキングを生じたと考えられた.

  • 対比地 加奈子, 二村 謙太郎, 西澤 剛
    2025 年32 巻2 号 p. 130-133
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    鉤状突起前内側(AMF)骨片を伴う肘関節損傷例のうち,肘頭骨折と橈骨頭骨折の合併がない症例を対象とし,術後成績(可動域,Mayo elbow performance score: MEPS,合併症)を後ろ向きに検討した.治療はAMF骨片のbuttress plate固定を先行した後,関節不安定性を再評価し,靱帯損傷の修復要否を判断した.対象は10例,AMFが5 mm以上の7例で前内側よりbuttress plate固定を行い,7例全てでLCL修復は不要だった.最終フォロー時MEPS Excellent: 7,good: 3,追加治療を要する合併症はなかった.大きな鉤状突起骨片を持つVPMRI症例では,骨片の強固な固定でLCL修復を行わずに肘関節の安定が得られる症例が多く存在する可能性がある.

  • 今井 優子, 栗山 幸治
    2025 年32 巻2 号 p. 134-136
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    Monteggia脱臼骨折の合併症として後骨間神経麻痺はよく知られているが,前骨間神経麻痺の合併は稀である.14歳男児のMonteggia脱臼骨折に前骨間神経麻痺を合併した1例を経験したので報告する.患者は転倒した際に右上肢に自身と友人の2人分の体重がかかって受傷し,右前腕の腫脹と変形を主訴に受診した.また掌側には開放創を伴っていた.画像検査にてMonteggia脱臼骨折Bado分類Type Iを認め,受傷3日目にプレートを用いた観血的整復固定術を施行した.手術翌日に前骨間神経麻痺合併が判明したが,術前すでに発症していたことが本人より聴取されたため経過観察を行なったところ,術後2週から回復傾向が見られ始め,術後12週で麻痺は完全に回復した.前骨間神経は牽引損傷に対し脆弱な神経とされている.Monteggia脱臼骨折の診療に際し前骨間神経麻痺を伴う可能性を念頭に置くことが重要である.

  • 佐柳 潤一, 鈴木 浩司, 中川 玲子, 堀木 充
    2025 年32 巻2 号 p. 137-139
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    尺骨急性塑性変形を伴う橈骨頭前方脱臼に対する急性期治療は徒手矯正・整復が第一選択であるが,橈骨頭の整復位が得られない場合に尺骨矯正骨切り・橈骨頭観血的整復のどちらを優先すべきか,一定の見解は得られていない.当科では尺骨矯正骨切りを優先した治療を行っておりその術後成績,および術前MRIによる輪状靱帯介在について検討した.対象は6例,平均年齢8.0歳,平均観察期間406日,術前MRIで橈骨頭後方に介在した輪状靱帯の幅を橈骨頭径で除した値をL/D比と定義し,介在の程度を評価した.L/D比は平均0.41,全例で尺骨矯正骨切りを行い安定した橈骨頭整復位を得た.最終平均可動域は肘関節屈曲141.7°,伸展5.8°,回内85.0°,回外90.0°と良好であった.L/D比が大きいほど輪状靱帯介在の程度が強いと考えられ,今後もL/D比が橈骨頭観血的整復の必要性の指標となり得るか検討を続ける予定である.

  • 村田 絵充, 市川 裕一, 西田 淳, 辻 華子, 畠中 孝則, 長谷川 隆将, 山本 謙吾
    2025 年32 巻2 号 p. 140-142
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    陳旧性Monteggia骨折では橈骨頭の亜脱臼により弾発現象を認めることがある.症例は24歳男性.6歳時に同骨折と診断され保存療法を受けた.無症状で経過していたが徐々に左肘関節痛と前腕回内回外時の弾発現象が出現し当科を受診.初診時,左腕橈関節部の圧痛と肘関節屈曲位での回内回外動作時の弾発現象を認めた.単純X線とCTで尺骨の変形治癒が疑われ,橈尺骨のインピンジメントによる橈骨頭の亜脱臼で弾発現象が生じたと診断.尺骨矯正骨切り術を施行したが,弾発現象が僅かに残存.輪状靱帯を確認したところ,靱帯の肥厚と腕橈関節への陥入を認めたため,輪状靱帯形成術を追加し弾発現象は消失.術後2年経過し再発はない.本症例は橈骨頭亜脱臼に加え輪状靱帯の陥入も弾発現象に関与していた点が特徴であり,軟部組織評価の重要性が示唆された.

  • 遠藤 大輔, 岡崎 真人
    2025 年32 巻2 号 p. 143-145
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    尺骨非定型骨折に橈骨頭脱臼を合併した症例を経験したので報告する.83歳女性.10年以上ビスホスホネート製剤使用歴あり.明らかな外傷なく前腕部の疼痛腫脹が出現,症状持続するため他院受診し尺骨骨折の診断となり,当院紹介初診した.単純X線,CTにて尺骨近位1/3横骨折と同時に橈骨頭の脱臼と橈骨頭,橈骨頭窩,上腕骨小頭の骨欠損を認めた.尺骨非定型骨折,橈骨頭脱臼と診断し手術を施行した.尺骨の整復にて橈骨頭脱臼は整復可能であったが,欠損を伴うため人工橈骨頭にて置換した.尺骨骨折骨硬化部を開窓し,切除した橈骨頭を移植した後にプレート固定した.術後4か月でプレート折損したため再手術施行した.再手術後1年で骨癒合が得られADL支障なくすごしている.尺骨非定型骨折に合併した橈骨頭脱臼はまれであるが,自験例以外に1例報告されており,尺骨非定型骨折が転位すると橈骨頭脱臼に至る可能性を念頭に置く必要がある.

  • 國分 直樹
    2025 年32 巻2 号 p. 146-149
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    尺骨非定型骨折は偽関節の発生率が高く,骨移植の併用が推奨されるが採骨部への侵襲が問題となる.今回,尺骨非定型骨折に対し反転骨移植術を併用し良好な成績が得られたため報告する.症例は73歳女性,よろけて壁に手をつき受傷,右尺骨近位骨幹部の横骨折で,骨皮質の肥厚と髄腔の狭小化を認め,尺骨非定型骨折と診断し手術を行った.手術では骨折部より遠位に1.5 cm,近位に3 cm,幅1 cmの長方形に移植骨を採取して髄腔内の硬化部を切除し,骨切り部から肘頭の海綿骨を採取して骨折部に移植後,移植骨の遠位と近位を反転して採取部に移植しプレートにて固定した.術後3か月で骨移植部での癒合が得られ,術後7か月で骨折部も癒合し,最終術後13か月で機能障害も認めなかった.本術式は他部位への採骨による侵襲がなく,骨折部の処置も容易で,肘頭からの海綿骨移植も可能であり,非定型尺骨骨折に対し有用な術式と考える.

  • 井上 美帆, 荻本 晋作, 峯 博子, 鶴田 敏幸
    2025 年32 巻2 号 p. 153-156
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    【緒言】上腕二頭筋遠位皮下断裂に対し,長掌筋腱を用いた再建術を行った4例について報告する.【対象と方法】本手術後,3か月以上経過観察可能であった4例4肘.手術時平均年齢63.8±11.0歳.NRS,肘関節可動域,筋力,Quick DASH,Hand20,JOA-JES scoreを最終診察時に評価した.【結果】最終調査時平均NRS 0.0 肘関節可動域は最終調査時健側との有意差はなかった.肘屈伸筋力平均MMT 5.0,回外筋力平均MMT 4.3,握力(健側比)103.4±9.1%.Quick DASH平均2.3点,Hand20平均2.1点,JOA-JES score平均95.8点であった.3例にアミロイド沈着を認め,1例はステロイド内服歴があった.【考察】長掌筋腱を用いた本法の成績は良好であった.アミロイド沈着やステロイド内服は上腕二頭筋遠位皮下断裂におけるリスクファクターである可能性がある.

  • 木戸 勇介, 下江 隆司, 松山 雄樹, 村田 顕優, 山田 宏
    2025 年32 巻2 号 p. 157-160
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    上腕二頭筋腱遠位部断裂は比較的稀な外傷だが,活動性の高い患者に発生した場合は手術加療が推奨される.症例は50歳男性,理学療法士でフィジーク(ボディビル)競技者である.転倒しそうな患者を支えた際に左上腕二頭筋腱遠位部断裂を受傷した.手術ではone incision法でアプローチし,外側前腕皮神経および後骨間神経を保護しつつ,完全断裂した上腕二頭筋腱を2本のスーチャーアンカーで橈骨粗面へ縫着した.術後2週間の外固定後に可動域訓練を開始した.術後3か月で現職へ復職,10か月でフィジーク競技の地区大会へ出場し優勝した.術後1年経過時,肘関節可動域制限はなく,日整会–日肘会肘機能スコアは100点であった.本症例では,確実な手術手技と適切な後療法により,筋力・筋肉の外観ともに高いレベルへ復帰が可能であった.

  • 原 理, 小島 安弘
    2025 年32 巻2 号 p. 161-164
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    Sideswipe injuryにより上腕骨遠位端骨軟骨部分欠損と高位正中神経麻痺を伴う重度上肢外傷を呈した症例に対し,早期にヒンジ付き創外固定器(Hinged External Fixator)を適用して肘関節の安定性と可動性を確保しつつ,腱移行による運動機能再建,神経移植による知覚再建,遊離広背筋皮弁による軟部組織再建を行い,術後早期に段階的なリハビリを実施した.最終的に良好な肘関節可動域とつまみ・把持機能を獲得し,元の職場に復帰した.ヒンジ付き創外固定器を用いた早期可動域訓練の有効性が示唆された一症例である.

Ⅳ. スポーツ障害
  • 中山 祐作, 森谷 浩治, 黒田 拓馬, 幸田 久男, 坪川 直人, 牧 裕
    2025 年32 巻2 号 p. 165-170
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)に対する上腕骨外側顆楔状骨切り術の最近の対象群の変化,治療成績について報告する.2012年7月~2024年1月の期間に上腕骨小頭OCDに対して上腕骨外側顆楔状骨切り術とその変法を施行し,術後6か月以上経過観察可能であった27例28肘を対象とし,病期(吉津の分類)と病巣の位置(岩堀の分類),実施した手術方法と合併症,臨床成績を調査した.男性26例,女性1例,右22例,左4例,両側1例,平均年齢12.8歳.病期は初期分離型4肘,晩期分離型12肘,混合型6肘,遊離型6肘,病巣位置は中央型9肘,外側型3肘,広範囲型16肘.合併症は認めず,伸展/屈曲可動域の中央値は術前0/135から術後+5/140に改善した.75%の症例で岩堀らの評価法でGood以上の良好に修復された.以前より手術の対象年齢は若年化しており年齢,病期を選ばず実施可能な本術式は有用な術式と考える.

  • 石田 孝次, 林 育太, 永島 英樹
    2025 年32 巻2 号 p. 179-181
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    【目的】学童期野球選手の上腕骨内側上顆形態異常と睡眠,食事,他競技活動の関連を明らかにすること.【方法】野球肘検診に参加した小学5・6年生134例(男131例,女3例)を対象とした.超音波検査での内側上顆骨形態を渡辺らの分類に基づき,type 1をN群,type 2~4をA群に分けた.アンケートにより睡眠時間,食事量,他競技活動の有無を集計し,A群への関連因子を多変量ロジスティック回帰分析で検討した.【結果】対象はN群91例,A群43例であった.多変量解析の結果,睡眠時間(オッズ比0.43,95%CI 0.21–0.87,P=0.02)と他競技活動(オッズ比3.43,95%CI 1.40–8.37,P<0.01)が上腕骨内側上顆形態異常と有意に関連していた.【結論】睡眠時間の短さおよび他競技活動の有無が上腕骨内側上顆形態異常に影響している可能性が示唆された.

  • 石井 毅, 米川 正悟, 熊川 大樹, 渡邊 幹彦
    2025 年32 巻2 号 p. 182-184
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    【目的】野球選手の握力およびピンチ力とそのRate of Force Development(以下,RFD)の特徴を調査すること.【方法】対象は高校野球選手29名(15.8±0.6歳),58肘とした.投球側,非投球側のリリースポイント姿勢における握力と三指つまみによるピンチ力,そのRFDを測定した.RFDは測定から50 ms,200 msまでのRFD50,RFD200を解析し,投球側と非投球側の2群に分けて比較を行った.【結果】握力,RFD50,RFD200はいずれも有意差を認めなかった(P>0.05).ピンチ力,RFD200は有意差を認めず(P>0.05),RFD50は投球側が有意に低値であった(P=0.04).【考察】投球側の指屈筋群および手内在筋の筋発揮率が潜在的に低下している可能性があり,投球による神経因性の変化または疲労による出力低下が生じていると考えられた.

  • 平田 史哉, 根本 大貴, 富田 一誠
    2025 年32 巻2 号 p. 185-188
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    男子大学野球投手28名を対象に,ハンドヘルドダイナモメーターを用いて手関節掌屈・背屈最大筋力を,InBody470を用いて体組成およびWeight Bearing Indexを計測した.投球側・非投球側ともに掌屈筋力が背屈筋力より有意に高く,DF/PF比は投球側で0.86,非投球側では0.87であった.一般健常成人との比較で,男子大学野球投手は掌屈・背屈筋力ともに有意に高値を示し,とくに背屈筋力の増加が顕著であった.これらの結果は投球動作に伴う前腕筋群の機能的適応を示唆する特徴であった.今回,大学野球投手の正常時のDF/PF比を計測できたことで今後,各選手を経時的に測定・観察し痛みやパフォーマンスを記録していくことで各選手の障害予防やパフォーマンスの向上へ役立つ評価指標となり得る可能性が考えられた.

  • 芳崎 澪, 光井 康博, 原 光司, 坂井 周一郎, 樋口 一斗, 吉田 禄彦, 宮本 梓
    2025 年32 巻2 号 p. 189-191
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    【はじめに】リストカールの角速度が前腕屈曲回内筋群(FPMs)である橈側手根屈筋(FCR),尺側手根屈筋(FCU),浅指屈筋(FDS)の筋活動に及ぼす影響について検討を行った.【対象と方法】対象は健常成人男性12名12肘(24.5±2.1歳)とした.測定肢位は,座位にて肘関節90°屈曲位とした.リストカールの角速度は,ウェアラブルセンサーを用いて60°,120°,180°,240°とし,負荷は各角速度でエクササイズを遂行できる10RMの負荷量のダンベルを使用し実施した.各角速度間のFCR,FCU,FDSの最大随意等尺性収縮の割合(%MVC)を比較した.【結果】FDSにおいて,角速度60°,120°と比較し180°,240°で有意に筋活動が増加した.【考察】本研究の結果から,リストカールの角速度を180°以上で行うと,FDSをより収縮できると考えられる.

  • 三輪 智輝, 笹川 郁, 小林 弘幸, 亀田 晶太, 我妻 浩二, 岩本 航
    2025 年32 巻2 号 p. 192-195
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル フリー

    【目的】上腕三頭筋が外反制動するかについて超音波診断装置を用いて肘関節内側裂隙距離(MJD)と内外側偏位を評価した.【方法】肘関節内側側副靱帯(UCL)損傷と診断された12名12肘を対象とした.超音波診断装置でMJDと内外側偏位を測定した.測定条件は安静時,自重外反ストレス,上腕三頭筋収縮時とした.【結果】MJDは安静時4.0±0.5 mm,外反ストレス時4.7±0.7 mm,収縮時3.8±0.6 mm,内外側偏位は安静時0.8±0.9 mm,外反ストレス時−0.2±0.9 mm,収縮時0.6±0.8 mmとなった.安静時と外反ストレス時の間,外反ストレス時と上腕三頭筋収縮時の間に有意な差があった(P<0.01).【考察】UCL損傷例では,外反ストレス時に動的外反制動機能を有する事が示された.UCL損傷例に対する外反制動には,屈筋回内筋群のみならず上腕三頭筋の機能を考慮する必要がある.

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