日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
肘関節側副靱帯修復術を要した脱臼および脱臼骨折の治療成績
大本 慎也本宮 真渡辺 直也岩崎 倫政
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2019 年 26 巻 2 号 p. 99-102

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抄録

 肘関節側副靭帯損傷を伴う複合損傷は,拘縮等合併症の回避を講じる必要がある.当院における肘関節側副靭帯修復術を要した脱臼および脱臼骨折の治療成績を調査し,残存した可動域制限に関してリハビリテーションの観点から検討した.2015年4月~2018年4月に肘関節側副靭帯修復術を施行した症例のうち,術後3か月以上経過観察可能であった16肘を調査した.男性10肘,女性6肘,平均年齢46歳(18~89歳),平均経過観察期間は12か月(3~22か月)であった.人工肘関節置換術を要した1肘を除いた15肘の平均可動域は,伸展-13°,屈曲139°,回内77°,回外82°であった.MEPSは平均95点であった.伸展可動域不良症例に対しては早期から屈曲拘縮の可能性を念頭に置き改善を図ることが重要と考える.回内・回外制限を生じた2例は前腕bipolar injury例であった.肘関節重度損傷では,前腕bipolar injuryの存在に留意する必要がある.

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© 2019 日本肘関節学会
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