抄録
【目的】野球選手の肘内側側副靱帯損傷（以下，MCL）に対する保存療法の復帰までの期間（以下，RTP）とKJOCの関係を調査した．【方法】高校生以上のMCLと診断された野球選手180名のうち，保存療法で復帰まで追跡しえた61名（18.4±2.1歳）を対象とし，初診時KJOCとRTPを調査した．KJOCの合計，各項目とRTPの関係を解析し，KJOC 50点以上をhigh群，50点未満をlow群として，2群に分けて比較した．【結果】KJOCとRTPの間に有意な相関は認めなかった（p=0.07.r=-0.23）．各項目とRTPでは，項目7球威に負の相関を認め（p=0.03.r=-0.26），その他は認めなかった．high群とlow群の比較では，RTPはlow群で有意に長かった（p=0.04）．【考察】スピードや球威といった投球強度とKJOCは，RTPの目安を予測する上で重要であると考えられた．
