室内空間の多くは社会的な相互作用のための場であり,より良い対人関係・行動に配慮した室内空間が期待されている。本研究の主な目的は,一般的な水準の広さや明るさ等の室内空間の物理的要因が印象形成に影響を及ぼすかどうかを検証することである。実験1の156名,実験2の364名の社会人は,室内空間CGと人物の合成画像を見て対人印象と対人関係への期待を評価した。次に,室内空間CGを見て広さ,明るさ等の物理的要因と感情的要因を評価した。実験1および実験2の結果に基づくパス解析により,室内空間の「広々した」印象が対人印象「共同性」因子に影響し,その「共同性」因子が対人関係の期待に影響することが示唆された。これらの実験結果は,日常的な空間としてデザインされる物理的要因が印象形成に影響を及ぼすことを示している。