生態心理学研究
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特集 日本生態心理学会第1回大会 発表論文
エコロジカルな認識論─知覚-行為の誘導者としての概念─
染谷 昌義
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2004 年 1 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

 知覚が哲学の中で問題にされてきた大きな文脈の一つは,命題的構造を持つ概念的な知識を非概念的・非命題的な知覚が正当化できるのか否か,また正当化するとすればそれはどのようになされているのか, という認識論の文脈である.本稿では,“<情報抽出をガイドする情報>としての言語メディア"という見方(Reed,1992; 1996a; 1996b)や“概念は知覚をガイドする地図である,概念の意味は操作の結果である"というプラグマティズムの見方(James,1 1907;1 1911; Dewey,1 1929)に倣い,情報抽出としての知覚と,抽出を補助する道具としての概念(命題・言語) とを行為調整によって結び付け,概念的知識は将来の知覚一行為をうまく誘導しガイドする機能を持っているときに正当化される点を指摘する.これによって,know-how (知覚─行為の技能知)とknow-that/what (命題知・概念的知)とのカップリングを基本にしたエコロジカルな認識論を提起したい.

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© 2004 日本生態心理学会
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