2004 年 1 巻 1 号 p. 169-181
Stoffregen & Bardy (2001) によって提唱されたグローバルアレー(Global array)の概念とStoffregen (2003) によるアフォーダンス論を概観し,双方の議論が一貫した主張に基づいていることを示した上で,Gibsonの理論との比較を通してその主張を批判的に考察する.グローバルアレーに関しては,アフォーダンスの様々なレベルに応じて,それを特定する情報が様々なレベルで存在すること,また,情報の存在するエネルギー配列が単数か複数かという問題設定は,直接知覚に関して本質的な問題設定ではないことを示す.アフォーダンスに関しては,相対主義的なアフオーダンスの解釈を招きかねないStoffregenの議論の問題点を指摘した上で,環境の事実としてのアフォーダンスに,より普遍性の低い行動の事実としてのアフォーダンスが入れ子になっているという新たな見方を提示する.