日本中央競馬会競走馬総合研究所報告
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動脈炎ウイルスの試験的接種馬に認められたModified Bucyrus株の影響
福永 昌夫和田 隆一平沢 澄鎌田 正信熊埜御堂 毅秋山 綽
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1982 年 1982 巻 19 号 p. 97-101

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抄録

動脈炎ウイルスのmodified Bucyrus株を9頭の馬に接種した。全頭が僅かにリンパ球減少症を, そして8頭が軽度から中等度の体温上昇を示したが, それ以外に臨床症状を呈する例は全く認められなかった。比較的低い値の中和抗体および補体結合抗体が検出されたが, それらの最高値は長期間持続しなかった。2頭の鼻腔および直腸スワブ, そして白血球層から僅かにウイルスが回収されたが, 他の2頭の白血球層からは一定期間継続して認められた。接種馬の組織や体液中のウイルス分布およびウイルス量は接種後5日目に剖検された馬において検査が可能であった。ウイルスは7日, 9日, 11日, および13日目に剖検された馬からは分離されなかった。しかし, 34日目に剖検された1頭の下顎リンパ節, 肝, 卵巣からは検出された。強毒株による攻撃試験を接種後36日目の2頭と, 9カ月目の1頭について実施した。全例が動脈炎の発症を示さなかった。modified Bucyrus株の接種を受けた馬と同馬房内で飼養された1頭においては免疫応答が認められず, これに強毒ウイルス株を接種したところ, 動脈炎の発症が観察されたためmodified Bucyrus株の接触感染は否定的であった。

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