日本中央競馬会競走馬総合研究所報告
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馬の日本脳炎不活化ワクチンの接種方法の評価について
熊埜御堂 毅中村 肇松村 富夫杉浦 健夫秋山 綽
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1986 年 1986 巻 23 号 p. 35-41

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抄録
馬に対し種々の接種量 (1, 3および5ml) の日本脳炎不活化ワクチンを接種し抗体応答を検討した. 基礎免疫として1ml, 2回接種馬では53.1%が接種後2ないし2.5ヵ月において中和抗体陽性であった. 一方, 1ml, 1回接種馬では同時期において全例が中和抗体陰性であった. 第1回補強接種として1ml, 3mlおよび5mlを接種された馬の中和抗体価は接種前に比べそれぞれ3.0, 12.1および6.4倍上昇した. 一方, 第1回および第2回補強接種としてそれぞれ5mlと3ml, 3ml 2回, および1ml 2回接種された馬の第2回補強接種の効果は顕著に認められなかった. さらに, ワクチン接種後HI抗体が検出されなかった105例のうち54例 (51.4%) の馬に中和抗体が証明された.
以上の結果から基礎免疫として1ml, 1回接種より2ml, 2回接種法は中和抗体の持続の面でより効果的であることが示唆された. また, 補強免疫として接種した3mlおよび5ml接種馬に補強効果が認められたが, 両者に顕著な差異は認められなかった. 加えて, 現行ワクチン接種馬におけるワクチン抗体の応答の評価には中和試験がHI試験より適切であることが明らかにされた.
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