日本中央競馬会競走馬総合研究所報告
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ウマのスタートダッシュ直後にみられた無呼吸と歩法について
甲斐 眞久保 勝義
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1993 年 1993 巻 30 号 p. 26-29

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抄録

健康なアングロアラブ種, 1頭を使用し, スターティングゲートから発走時の呼吸曲線と前肢の加速度曲線を同時記録し, 高速度16mmフィルム撮影をするとともに, 完歩を蹄跡から測定し, 呼吸と歩法との関係を検討した。その結果, 馬はスターティングゲートが開くと同時にゲート内で, 呼気相で素早く後肢を後方に移動し, 体勢を低くして発進態勢を取り, それに続く吸気相で止息して発進し, 数秒間呼吸を停止した。そして, 呼吸が出現すると同時に完歩と同期した。呼吸を停止している間に, 歩法として, 回転襲歩もしくは手前変換して交叉襲歩を取った。また, 呼吸の出現時期と手前変換時期とは一致しなかった。以上のことから, 馬は急発走のような最大努力時には呼吸を一時的に停止し, この呼吸停止は回転襲歩や交叉襲歩などの歩法と無関係であり, さらに, 呼吸の出現と手前変換とも無関係であると考えられた。

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