小学校英語教育学会誌
Online ISSN : 2424-1768
Print ISSN : 1348-9275
ISSN-L : 2188-5966
研究論文
英語リズム測定による児童期の言語産出の特徴
河合 裕美
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 14 巻 01 号 p. 147-162

詳細
抄録

本稿は,小学生児童の英語リズムの発達段階を測定するための手段として,早期英語教育において頻繁に使用されている言語材料「リズムチャンツ」を取り上げ,その測定方法を提案するとともに,小学校英語活動期にある児童の英語音声のうち,韻律面の発達の特徴を報告するものである。早期英語学習者の英語音声産出の発達段階を測定することは,英語学習の入門期にあたり,自発的発話能力やリーディング能力が未熟なために,成人学習者と同様の測定を実施することができず困難を極める。そのため,音声中心の教授が行われているにもかかわらず,その産出,特に韻律面を評価する研究はほとんどなされておらず,測定方法も確立されていない。そこで小学 1 年生から英語活動を始めた公立小学校児童の英語能力のうち,児童期の英語活動に重視される 音声面の発達を英語リズムの観点から測定方法を検討し,語彙テストと質問紙による事前調査から5・6 年生の児童を抽出し,リズムチャンツを用いた音声テストを実施した。参加児童の音声を音響分析による量的測定と質的観察した結果,5 年生は3 群,6 年生は4 群のクラスターに分かれた。各群の特徴をまとめると,総じて5 年生より6 年生の人数がより多く,また語彙力の高い児童が英語母語話者に近い英語リズムを発達させている一方で,語彙力がありながら英語リズムを崩してしまっている6 年生の群が存在した。リズムチャンツを効果的に英語活動に使用し,音声習得と他の領域との関係を探索する必要性が示唆された。

著者関連情報
© 2014 小学校英語教育学会(JES)
前の記事 次の記事
feedback
Top