2024 年 2024 巻 1 号 p. 36-51
猫田 和明(山口大学)
キーワード:バックワードデザイン,模擬授業,ピア•フィードバック
教員を目指す学生の授業力向上のために模擬授業は欠かせないが,学生の振り返りの内容が教具や指導技術に偏る傾向がある。そこで,本研究ではバックワードデザインを意識した授業づくりを体験させ,゜ア•フィードバックを通して,目標に基づく単元計画を見通した授業改善の視点を身につけさせることを目的として実践を行った。学生には筆者による模擬授業を体験させた後,4 名X4 グループに分かれて,外国語活動と外国語の単元計画を考えさせ,インプットからアウトプットの 4 段階
の指導場面をつないで 50 分程度で 2 回ずつ模擬授業を実施した。各回の学生のコメント及び期末レポートの記述を,KH Coder 3(樋口, 2020)を使用して分析した結果,学生のコメントでは,バックワードデザインの核となる「目標」を含む記述が評価の高低に関わらず出現した。また,期末レポートを提出した 15 名中 10 名から「目標」の項目に該当する記述が見られ,共起ネットワークにおいて単元目標の話題がサプグラフを形成した。単元全体を扱う模擬授業の実施によって,バックワードデザインの理解が深まり,学生の達成感や満足度は高かった一方で,時間管理の難しさが課題となった。
平成 29 年 3 月告示(令和 2 年度から全面実施)の学習指導要領では,カリキュラム•マネジメントの必要性が明示され,その一環として「単元や題材など内容や時間のまとまりを見通して行うこと」が求められている。その際,CAN-DO リスト形式による,卒業時,学年ごとの学習到達目標を単元の
(年間)指導計画•目標に反映し,実施状況に基づく改善を図りながら,学校全体として学習効果の最大化に取り組むことが期待される。この流れの中において,指導と評価の一体化を推進するための参考資料(国立教育政策研究所,2020)が出されるなど,単元を見通した授業と評価の重要性は増している。このような背景から,教員養成課程においては,バックワードデザイン(以下,BD)の理念に基づいて,まとまりのある指導計画を構想し実践する力を育てることが必要になっている。模擬授業は体験を通して実践力を高めるために欠かせない機会であるが,個々の授業の体験や振り返りに留まることも少なくない。しかし,カリキュラム•マネジメントの流れに対応するためには,それだけに留まらず,目標と評価規準に基づくまとまりのある単元を構想し実践する機会を提供する必要がある。本稿では,このような課題意識のもとで学生に模擬授業に取り組ませ,集団での学びを最大化するために゜ア•フィードバックを取り入れた実践を報告する。
授業研究にピア•フィードバック(以下,PF)を取り入れることは,現職教員の研修会や教育実習での指導など多くの場面で行われているが,大学で行う模擬授業について学生同士がコメントをしあう文脈では,Kamimura and Takizawa(2012)が英語教員を目指す 4 名の大学生を対象とした研究を行っている。そこでは,指導計画,指導技術,ティーチャートーク,教員と生徒のやり取り,教室の雰囲気の 5 項目を設定して PF をさせ,PF 前と PF 後の授業に対する現職教員の評価の変化を見たところ,PF が指導技術向上に役立つこと,PF の量と模擬授業の向上の程度は関係があること,学生の PFコメントは具体的な提案が欠けている傾向があるが,一定の授業改善につながることが明らかとなっている。また,Kamimura, Takizawa and Takada(2014)では,英語教員を目指す 4 名の学生の模擬授業を 24 名の学生と 4 名の経験豊富な現職教員が評価し,両者に違いが見られるかを調査している。その結果,現職教員は学生よりも批判的な評価をし,中でも指導技術(教材•教具,黒板の使用,机間指導,自信を含む)に関する差が最も大きかった。また,現職教員は具体的で詳細なコメントや改善の提案を多くの領域で返しているが,PF は指導技術に偏る傾向にあることが示された。
生内(2018)は英語教員を目指す学生 40 名の模擬授業へのコメントと期末レポートとの関連記述を比較して分析をしている。コメントの言及数が多かった順に「声の大きさ」「指示の的確さ」「英語の多用」「資料や教材の工夫」「目線」であった。「資料や教材の工夫」に関して「良い」という評価が圧倒的に多かったと報告している。一方,課題としての言及が多かった項目は,「英語の規範(正しさ),
「板書計画」,「復唱(個々の生徒が発表した内容を先生が繰り返してクラス全体で共有•確認する行為)」であった。期末レポートではこれらの項目の言及数が多く,多かった順に「板書計画」「英語の多用」「目線」「英語の規範」「声の大きさ」となっていた。このうち,「英語の多用」「英語の規範」は授業者自ら力不足を認識できるが,「板書計画」「目線」「声の大きさ」は PF が寄与したと述べている。上記の研究などにより,PF は学生たちの課題について自覚を促し,指導技術向上につながることが 明らかとなっている。また,馬場(2021)では,英語授業を観察するためのいくつかの観点を提示することで,より評価がしやすくなるという立場から,現職教員向けの望月•小菅(2017)のフレームワークを参考に,大学生向けのチェックリスト(試案)を提案している。そして馬場(2022)において,そのチェックリストを使用し,模擬授業の指導を行った結果を報告している。PF のコメントが多く記述されたのは,「教具」「指導技術(声の大きさ,説明,指示,発問,板書,机間指導など)」が多く,続いて「板書計画」「指導内容(語彙•文法等)」であり,学生の視点がこれらに集中しやすい傾向を示している。逆に,目標設定に関する PF は最も少なかった。また,PF によって修正しやすいものとして,ピクチャーカードの色合い,フラッシュカードの文字サイズなど目で見て分かる教具,指名の仕方,机間指導,立ち位置などの指導技術があり,生徒役の学生の目線で指摘をしていることが教師役となる学生には有益な情報となる。一方,PF では改善しにくい項目として,日本語使用の口合,オーラル•イントロダクションと説明のバランス,文法のエラーや発音などがあげられており,担当
教員によるフィードバックの必要性が述べられている。
また,竹内(2020)では,ベテラン教員と学生(教員の卵)の英語授業における着眼点を比較しており,ベテラン教員が「学習目標」「授業の構成」のカテゴリへの言及が多いのに対して学生からの言及が皆無あるいは非常に少ないことに着目し,ベテラン教員が目標に基づく BD を大切にしており,
他の観点との整合性を求める傾向を明らかにしている。一方,学生はテクニックのストックを多く積み上げることや楽しさを重視する傾向があり,教員養成の段階から目標を絡めた着眼点を育成することの必要性が述べられている。上記の先行研究を踏まえ,本研究では PF を活用することで学生が BDに基づく授業づくりへの意識を高め,体験的に学びながら指導力を向上させることをねらいとした。
参加者は本学に在籍する大学 3 年生 16 名(小学校免許の取得を目指す学生 12 名,中学校の英語の
免許取得を目指す学生 4 名)であった。本稿で扱う実践は,小学校教育コース国際理解教育選修の指
定科目として 3 年次後期に開講される科目の中で行ったものであり,意欲の高い学生が少人数で模擬
授業を行うことのできる環境が整っている。これらの学生は 3 年次前期に免許取得のために必要な「外国語の指導法」(2 単位)を履修しており,実習も経験しているため,授業を行うのは初めてではないが,全員が実習で外国語の授業をした経験があるわけではない。
模擬授業を始める前に,講義の前半部分で「4 段階モデル」を用いて BD の考え方を説明した。この指導モデルはオランダの小学校英語教育でも広く用いられており(猫田, 2012),インプットからアウトプットへの円滑な移行を促す指導モデルである。最初に第 4 段階の活動から到達目標を明確にし,
そこから第 1 段階に向けて逆向きに活動を設計していく。このような枠組みを持つことで,児童が無理なく新しい表現に出会い,慣れ親しみ,活用できるような循環を作り出すことをねらいとしている。
第 1 段階「出会う」:場面設定をして英語を聞かせ,意味を推測させる活動
例)オーラル•イントロダクション(クイズや ALT との対話を活用し,児童を巻き込みながら行う)第 2 段階「聞いてわかる」:英語を聞いて理解することを中心とした活動
例)リスニングクイズ(聞いて線で結ぶ,絵カードや画像を選ぶなど),TPR(指示通りに行動する),ビンゴ,カルタ,メモリーゲーム(聞こえた順番を記憶してカードを並べる)等
第 3 段階「言ってみる」:英語で単語や表現を発話することに慣れるための,自由度の低い活動例)ジェスチャーゲーム,伝言ゲーム,絵カードを使った対話活動(ペア捜しなど)等
第 4 段階「考えて使う」:児童が考えを整理したり創造性を発揮できるような,自由度の高い活動例)人物•地域の紹介,将来の夢や思い出を発表し合う,セットメニューづくり等
この 4 段階は直線的なものではなく,単元の前半は新出表現の導入から表現に慣れ親しむための活動を中心とし,後半では何度も触れて慣れ親しんだ表現を使った自由度の高い言語活動の口合を徐々に増やしていくスパイラル学習のイメージで捉えられる。また,単元の前半であっても,教師や児童の本当の情報を用いることで,どの段階でも言語活動が可能であることに留意させている。
表 1 は筆者の行った模擬授業の概略を示したものである。ポイントは各段階の活動を孤立させることなく,題材につながりをもたせ,言語材料に繰り返し触れる機会をつくり,同じ教材•教具を複数
の場面で活用すること,また,各段階の活動でも自分の考えや気持ちを聞いたり表現したりする場面を設け,最終的には児童の創造力を発揮できるような活動を仕組むことによって,児童の聞きたい,話したいという意欲が高まるように配慮している。活動で使う「世界のカレーカード」(図 1)には様々な国の代表的なカレーの写真をのせ,どのような食材が使われているかが日本語で書いてある。「食材カード」(図 2)には食材のイラストと産地,栄養素の区分が示してある。オリジナルカレーの「発表用台紙」(図 3)には「食材カード」を見ながら食材と産地を書き写すことができるようにしている。なお,世界のカレーのリソースとして,ハウス食品株式会社(2019)を使用した。
表 1 筆者による模擬授業の概略
単元名:「食材を通じて世界のつながりを考え,オリジナルカレーを発表しよう」
教材:『New Horizon Elementary 6』「Unit6 Let’s think about our food.」東京書籍
評価規準(話すこと:発表)
The 食材 is from 国•地域名,食材 is in the red/yellow/green group.などの表現について理解している。食材の産地や栄養素などについて上記の表現を用いて話す技能を身に付けている。(知識•技能)
オリジナルカレーの魅力を伝えるために,食材の産地と栄養素などについて基本的な表現を用いて話している。(思考•判断•表現)
オリジナルカレーの魅力を伝えるために,食材の産地と栄養素などについて基本的な表現を用いて話そうとしている。外国語の背景にある文化に対する理解を深めようとしている。(主体的に学習に取り組む態度)
単元計画
第一次 食材や国•地域名の言い方を知り,世界とのつながりを理解する第二次 食材の産地や栄養素について考えながら表現に慣れ親しむ
第三次 オリジナルカレーをつくって発表する
出会う(10 分)「カレーの食材にはどんなものがあるかな」
•教師の話を聞いて,意味を考える I ate curry and rice last night. I usually eat beef curry at home.
•あなたがよく食べるカレーに入っている食材やカレーに入れたい食材をあげてみよう。
beef, chicken, carrots, potatoes, onions, ...
•好きな食材が何かをやり取りする。例)What do you like? I like pork. How about you?
聞いて分かる(10 分)「食材を聞いて,つくるカレーをあてよう」
カルタの要領で「世界のカレーカード」を机上に並べ,教師が食材(pork, onions, potatoes など)を英語で読み上げて What is this curry?と尋ね,児童はその食材が使われているカレーのカードを見つける。クラス全体で答えを確認する。例)Yes, it’s ハワイアンカレー. Do you want to eat this curry?
言ってみる(10 分)「カードゲーム:このカレーに必要な食材を持っていますか」
•「世界のカレーカード」を裏返して机上にならべ「食材カード」をシャッフルして配る。
図 1 世界のカレーカード 図 2 食材カード 図 3 発表用台紙
上記のような模擬授業を通して,各段階の活動の特徴や留意点を確認した後,4 名X4 グループに分かれて,外国語活動と外国語の単元計画を考えさせ,4 人のマイクロティーチングをつないで各グループ 50 分程度で模擬授業をさせた。実際の単元の時間数は,外国語活動は 4 時間,外国語は 8 時間が
標準的であるが,単元全体を 50 分に縮約するという発想では無理があるため,それぞれ 4 段階モデルの各段階で中心的な活動を 1 つ取り上げ,模擬授業をしてもらった。その際,ALT 役は本学の教員であるネイティプス゜ーカーが行った。授業後は自評に続いて,質疑応答の時間を 30 分設け,活動の意図や方法などを授業者に質問して不明確な部分を確かめたり,短いコメントを述べ合ったりする時間とした。そして毎回の模擬授業後の課題として,以下の 10 項目(括弧は略称名)について「5 そう思う」から「1 そう思わない」の 5 段階で評価をさせ,その理由(コメント)を Google Form に入力させた。授業者には自己評価と自評を提出させた。提出されたものは匿名化処理を行ったあと,受講者全員に公開した。項目の設定にあたっては,望月•小菅(2017)や馬場(2021)を参考にした。授業評価項目を設定した理由は,コメントを書く評価者にとっても,それを読む授業者にとっても,観点を意識した PF をした方が,コメントの意図がよりよく伝わりやすいと考えたためである。
項目 1 単元の目標設定と評価規準に照らして各活動が適切だったか(目標)
項目 2 児童の視点から見てやる気や興味•関心を持てる活動内容だったか(内容)項目 3 活動に必要な語彙や表現が適切に導入•練習できていたか (言語材料)
項目 4 各活動のつながりが適切な指導手順になっていたか(構成•手順)
項目 5 児童の視点から見て教師の説明•指示,児童への支援は適切だったか(説明•支援)
項目 6 時間管理と各活動の時間配分は適切だったか(時間管理)
項目 7 各活動に応じて,個人•ペア•グループ•一斉活動を適切に使い分けていたか(活動形態)項目 8 教具(板書•視聴覚教材•ワークシート)は適切なものが準備されていたか (教具)
項目 9 教師および児童の英語•日本語使用の量と場面は適切だったか(英語•日本語の使用)項目 10 ALT の活用方法と連携は適切だったか(ALT の活用)
すべての模擬授業が終わった後,期末レポートで A4X1 枚で学んだことをまとめるよう指示した。こちらは,授業評価のときとは異なり,模擬授業を通して学んだことを学生がどのように捉えたかを探るため,項目を示さずに自由に書かせた。収集された評価とコメント及び期末レポートは匿名化をした上で,本研究のデータとして使用することについて意思確認をして参加者全員の同意を得た。
収集したデータのうち,毎回の PF については記述量と評価の推移について量的分析を行った後, KH Coder 3(樋口, 2020)を使用して,高評価と低評価に分類したものを外部変数として対応分析を行い,特徴的な部分を記述データから考察する。その目的は,学生の評価の高低がどの観点に向いているのかを探ることで,学生自身が何を良いと考え,何を課題としているのかを見定めるためである。また,期末レポートについては,共起ネットワークと記述データからの考察によって学生の学びの様子を明らかにする。その際は,特に BD に関わる「目標」に焦点をあてて模擬授業の成果を確認する。最後に,授業アンケート結果から学生の達成感,満足感,PF の活用実態と役立ち感,自信の高まりを捉え,10 の授業評価項目に対する学生の意見を検討し,今後の課題を明らかにしたい。
表 2 は,毎回の模擬授業に対して学生が書いたコメントの文字数(総文字数)の推移である。
表 2 PF における各項目のコメント文字数(網掛けは各回の上位 5 位までを表す)
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順位 | |
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1,402 | 2,000 | 2,002 | 2,454 | 16,117 | 5 |
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2,463 | 2,313 | 2,606 | 2,169 | 19,079 | 2 |
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2,474 | 2,117 | 2,176 | 2,367 | 19,112 | 1 |
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1,914 | 1,826 | 1,748 | 1,943 | 14,664 | 6 |
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1,997 | 1,750 | 2,005 | 1,877 | 16,387 | 4 |
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1,678 |
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1,215 | 1,298 | 9,942 | 10 |
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1,980 | 1,194 | 1,228 | 1,190 | 12,436 | 8 |
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2,347 | 2,333 | 2,336 | 2,059 | 17,817 | 3 |
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1,521 |
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1,291 | 1,226 | 11,879 | 9 |
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1,655 | 1,567 | 1,610 | 1,632 | 13,995 | 7 |
文字数は学生がどのくらい各観点に注目してコメントを書いたかを示す指標の 1 つとして,各回,
上位 5 位までを網掛けで示してある。これを見ると,「内容」と「言語材料」は毎回上位に入っており,それに「教具」が続いた。本稿のねらいである,BD の核となる目標に関するコメントの量は回によってばらつきがあるが,合計で 5 番目であった。馬場(2022)の報告で目標設定へのコメントが最も少なかったことを考えると,筆者による BD の説明と模擬授業による「4 段階モデル」の体験を通した意識づけによって,かなり記述量を押し上げていると考えられる。
次に,学生が行った模擬授業に対する,各項目の 5 段階評価についての結果を 1 回目(第 1 回~第
4 回)と 2 回目(第 5 回~第 8 回)に分けて図 4 と図 5 に示す。16 名が履修しているので,本来なら
16 名の 4 グループに対する回答で 64 の観測数が得られるはずだが,1 回目と 2 回目のどちらかを欠
席した学生もおり,比較が可能になるように 2 回とも出席した学生のデータのみを分析した。
図 4 各項目における評価(観測数 54)1 回目
図 5 各項目における評価(観測数 54)2 回目
これを見ると,学生の評価は全体的に肯定側に大きく偏っているため,正規分布を前提としないウィルコクスンの符号付き順位検定を行った。その結果,「活動形態」(z = -2.030, p = .042, r = -.20)と
「ALT の活用」(z = -2.006, p = .045, r = -.19)のみが有意(効果量小)であり,その他はすべて有意差なしであった。効果量から見て,大きな変化があるとは言えないが,ALT の活用に関しては PF よりも,ALT と実際に協働する経験自体がこの結果につながったと考えられる。また,「目標」(z = -1.864, p = .062, r = -.18)には有意差はないものの,度数や口合を見ると 2 回目の方が高くなっていることから,一定の変化は観察された。逆に,「時間管理」や「英語•日本語の使用」は 2 回目の方がやや低くなった。2 回目では,より目標への意識を高めて授業ができた一方で,1 回目は 3•4 年生を想定した外国語活動,2 回目は 5•6 年生を想定した外国語であったことから,2 回目の活動の方が複雑になりがちであり,英語を中心に使用して活動を進めることや時間管理が難しくなったためではないかと思われる。
続いて,学生が行った 5 段階の授業評価について,1,2,3 を低評価,4,5 を高評価とみなし,それぞれのコメントに特徴的な語を調べるため,KH Coder 3(樋口, 2020)を使用して,8 回分の模擬授業の PF におけるコメントの対応分析を行った。3 を低評価に含めた理由は,図 4 と図 5 から明らかなように,1 の評価をつけた学生はほとんどおらず,全体的に肯定的な評価に偏る傾向があるため,「どちらとも言えない」は相対的に低評価に含めることが妥当と判断したためである。
まず,語の統一を図るため,「子供(ども)」「生徒」は「児童」に,「先生」「授業者」は「教師」に,
「ゴール」「めあて」は「目標」に,それぞれ置換した。次に,分析にあまり意味を持たない一般的な語として,「思う」「感じる」を除外し,高評価•低評価に頻繁に使用されることが自明である「良い
(よい)」「(もう)少し」を除外した。総抽出語数(使用)は 87,972(32,093)語,異なり語数は 2,885
(2,412)語,文のケースは 2,958 であった。特徴的な語を絞るために,グラフに布置される語は 50 程度まで減らし(最小出現数 80),差異が顕著な上位 60 語を分析に使用した。
対応分析の出力結果を図 6 に示す。解釈のサポートのため,プラグインの「文錦® レポーティング for KH Coder」を使用して出力したところ,点線の枠外にある語が高評価または低評価に特徴的な語となった。これを見ると,BD の核となる「目標」は特徴的でない語に分類された。しかし,目標に向かってステップを踏むという文脈で使用されそうな「単元」や「段階」といった語は高評価に特徴的な語となった。このことから,単元目標に向けた段階的な指導計画という視点から肯定的な評価がされたケースが一定程度あったと推測される。また,高評価に特徴的な語は「楽しい」「興味」「クイズ」
「自分」「紹介」「ALT」「好き」などであり,学生が高く評価する視点は活動の楽しさや興味などに向きがちであるという竹内(2020)が報告する内容と一致していた。一方で,低評価に特徴的な語は「多い」「日本語」「場面」「時間」「理解」「練習」「説明」などであった。課題を感じる部分は英語と日本語を適切な場面で使用することや,活動に必要な言語材料を練習させること,活動のやり方をわかりやすく説明して理解させることなどにあると推測される。しかし,上記のような推測だけでは解釈を誤る可能性があるため,特徴的とされた語がどのように使われているのかを確認して質的な検討を加える。本稿では全ての語の検討はできないため,上記に上げた特徴的な語と本稿のキーワードである
「目標」を含むコメントを中心に,元データを示しながら考察する。
図 6 対応分析の結果(最小出現数 80,上位 60 語)
0
0
成分1 (0.0131, 100%)
高評価に特徴的な「楽しい」「興味」「クイズ」を含むものとして代表的なものは以下のようなものであった。これらの語が出現する文脈は,教具•教材(クイズを含む)の工夫が児童の興味を高め,楽しく学べるというものであった。
•教具を工夫して作ったり,活動を多く取り入れたりして児童たちが楽しく学べるようになっていたと感じます。
•どの教具も児童たちの興味や関心を持たせるものであり,とても工夫されていると感じた。良かった点は(文房具が)「何個あるでしょうクイズ」で PowerPoint を用いることで,(文房具が動く)速度や動き方を変えることができるため,児童たちはスライドに夢中であり,興味を引かせるものであったと感じた。
また,「楽しさ」や「興味」を生み出す要因として,自分の好きなものを紹介するなど,本当の情報をやりとりして友達や ALT と関わる活動をあげている例では,高評価に特徴的な語にある「自分」「好
き」「紹介」「ALT」と共起するものが多くあった。
•好きなもの調査や,自分の好きなものを紹介するゲームは友達と関わることが出来て児童たちは楽 しいだろうなと思いました。
ALT の文化に触れながら新しいことを知れる機会が多く,常に新しい学びから児童の興味関心を引いていたので楽しみながらできると思いました。
これらのことから,学生は「楽しさ」「興味」の要因を大きく分けて,教具•教材の工夫,友達や ALT
との本当の情報のやり取りと捉えていることがわかった。
次に,BD のキーワードである「目標」は,高評価に特徴的な語として現れた「単元」「段階」と共起している例が多いことがわかった。単元の目標に向けて段階を踏んだ活動になっていることを評価したものが代表的である。
•活動が段階を踏んでいて,最終活動へとつながるような工夫が見られた。単元を通して,目標が達成できそうだなと思った。
•児童が最終的にどういった姿になってほしいかを考えたうえで,段階ごとに活動を設定しており,授業の流れが自然でとてもよかったと感じた。導入部分で児童に目標をしっかりと伝えたうえで授業に臨む姿が良かった。
•各授業前にも単元の目標を確認していたため,児童が何のために,どういった場面で使うフレーズを学んでいるのか把握でき,結果的に児童のモチベーションの向上につながると思いました。
最も低評価に特徴的だった「多い」という語は「日本語」「説明」といった語と共起するケースが目立ち,「日本語」「説明」は「理解」「場面」「難しい」といった語とともに使われることが多かった。これらを大きく分けると,英語を話そうとしたが相手の反応が悪くて不安になり日本語を使ったもの, ALT の通訳のようになっていたというもの,デモやモデルの提示が少ないために,日本語での説明が増えたというもの,英語で説明できないと感じ,日本語になってしまったというもの,日本語でないと説明できないほど,活動自体が複雑だったというものがあった。以下に該当例を示す。
•英語で説明した後,理解できたかを聞いたときに,児童たちから反応があまりなかったため日本語で説明しなおした。英語でわかりやすく説明するのも難しいなと感じたから。
•英語を話すのは ALT で,それを教師が日本語に訳すという場面が多かったように感じた。
•デモが少ない代わりに日本語で説明するという場面が多かったと感じるので,もう少し視覚的補助を増やす,モデルを示すなどして単なる説明にかける時間を減らす方が良いと感じた。
•なるべく英語で話そうと意識し,会話の文脈や対話の中で意味を理解させようと意識はしていたが,実際思うように説明が出来ないと感じたときに日本語が出てしまい,もう少し英語で粘る必要があったかなと感じる。
•日本語で説明しないといけないほど,難しい活動だったかもしれないと思いました。理解能力が高
い大学生ですら,ルールの理解に苦労する内容のものであれば,小学生の大半はゲームを楽しめるまでのルール理解は難しいと思いました。
また,同じく低評価に特徴的な「練習」という語は以下のような文脈で出現している。その多くは,導入や復習がされていない表現が活動の中で突然出てきたというもの,児童がクラス全体で発話練習する場面を設けずに,いきなりペアで活動をさせたというものが多い。また,説明に時間をかけすぎたために練習の時間が取れなかったというものや,模擬授業の限られた時間内で行うため,練習のプロセスを省略せざるを得なかったというものもあった。
•省略されている部分もあったかもしれないが活動の中で What color do you like?は突然出てきた印象があり,これを使うまでには既習とは言え,もう少し練習があっても良かったと思ったから。
•練習なしでいきなり活動させるところもあったので,少し児童には難しいのではないかと感じた。全体での練習が少なかったと感じるので,活動前のデモとその表現の練習があると良いと思う。
•説明に時間をかけすぎたことによって省略した部分が多くあり,必要な表現を導入してたくさん練習するだけの時間を設けることができなったから。
どの言語材料もいきなり感が否めなかった。1 つの活動を 10 分で抑えなければならないため,メインとなる活動をピックアップして紹介する形になり,練習量が少なく感じたかもしれない。
次に,BD のキーワードである「目標」が,低評価のコメントの中でどのような文脈で使われていたかを探ってみる。先に述べたとおり,「目標」は特徴のない語に分類されたため,かなりの口合で低評価の文脈でも用いられている。その内容は,目標が不明確あるいは目標と活動の整合性に問題があるというものが主であった。同様の文脈で,低評価に特徴的な「説明」「練習」などの語と共起する場合も見られたが,中には高評価に特徴的な語である「興味」と結びついて,全体のつながりという視点から疑問を投げかけているものもあった。
単元構成の中の友達の好きなことを紹介する活動がなかったため,少し活動と目標設定がずれていたように感じます。
最終目標に向かって様々な活動が工夫されていたが,「自分の一番の思い出を伝えたい!」という思いがある中で,第二次の後半で修学旅行をベストメモリーとして会話すると決められたことに違和感を感じた。
また単元の最初には言葉での目標の説明はあったものの,実際に目標の姿をモデルとして示した方が児童のやる気を引き出せる導入になるのではないか。
•目標や評価規準にある欲しいものを聞く際の表現を練習する機会があまりなかったように思う。
•児童の視点からみて,興味関心をひくような活動になっていたと思う。しかし,それはそれぞれの活動に興味関心をひくような工夫をしただけで,単元を通しての目標をはっきりさせていなかったのでやる気が続かないような気がする。
注目すべきは,まとまりのある単元を構想していても,個々の活動の問題点を検討しているうちに
目標から逸れてしまったという経験が語られていたことである。以下に例を示す。
BD が上手くいっていなかった。当初目標から逆算して授業を考えていたが,授業を作っていく中で出てきた疑問点や改善点に対処していくうちに,目標に必要なものから逸れていき,目標に必要なものが最後の授業までに練習しきれていない授業になってしまったと思う。
•先に目標を決めても授業内容がそこから離れていってしまうというのは,私も授業を作るときに何度も起こったことなので難しいことだよなとも感じました。
これらのコメントから「目標」に基づく単元と授業づくりは,意識すればすぐに実現できるものではなく,学生にとって難しい課題であったことがわかる。それでも,知らないうちに目標から逸れてしまう体験が共感的に理解されることで,継続的な注意を向けて改善を図ることが期待できる。
期末レポートは 16 名中 15 名が提出した。この科目で学んだことのうち,何が印象に残っているかを調べるため,記述項目を指定せずに学生が学んだことを自由記述で書いてもらい,模擬授業の評価に用いた 10 項目の内容がどの程度現れるかを調べたところ,項目 1「目標」は 10 名,項目 2「内容」は 8 名,項目 3「言語材料」は 7 名,項目 4「構成•手順」は 4 名,項目 5「説明•支援」は 7 名,項目 6「時間管理」は 0 名,項目 7「活動形態」は 2 名,項目 8「教具」は 12 名,項目 9「英語•日本語の使用」は 4 名,項目 10「ALT の活用」は 10 名の言及があった。「教具」に関する記述をした学生が最も多く,「目標」と「ALT の活用」に関する記述が続いた。このことは,模擬授業を通して,学生の意識がこれらの項目に向いたことを示している。
次に,学生の期末レポートの記述について,KH Coder 3(樋口, 2020)を使用して共起ネットワークを出力し,結びついた語の解釈からサブグラフにラベルを付したものを図 7 に示す。出力にあたっては,「思う」「感じる」は一般的すぎる語として除外した。総抽出語数(使用)は 11,649(4,408)語,異なり語数は 1,151(898)語,文のケースは 311 であった。語の最小出現数は 10,上位 70 の共起関係を描画した。図 7 を見ると,01 は「授業」「児童」「教師」「活動」など一般的な高頻度の語を中心に,「ALT」「内容」「時間」といった語が結びついている。授業づくりにおける ALT の役口や活動内容の選択,時間の管理などの領域がここにあてはまる。以下,02 は「目標」,03 は「言語材料」,04 は
「ピア評価」,05 は「教材•教具」,06 は「説明•指示と日本語•英語使用」,07 は「興味」がそれぞれサブグラフを形成した。説明や指示の際の言語選択の葛藤は PF のコメント分析でも見られたが,ここでもそれらの語が結びついている。また,期末レポートでは授業評価の 10 項目とは別にピア評価についての記述もあり,お互いの授業を見て学ぶことのよさが述べられていた。本稿では BD を中心とした学生の学びの成果を捉えることを主な目的としているため,ここでは紙面の都合から「単元目標」に焦点を絞り,代表的なコメントを 2 つ紹介する。
•模擬授業とコメントを経て学んだことは,単元の目標を明確にし,その目標に向けて適切な言語活動を行うことが大切だということである。(中略)単元の目標に向けた適切な活動になっているかということをあまり吟味する時間を確保できなかったために,実際の授業では,単元の目標と活動に
ズレが生じてしまったり,行ってほしい活動と児童がしている活動が違うということが多々生じてしまい,(中略)一つ一つの活動にどのような意味があるのか,どんな力を児童に身につけてほしいのかという明確な目標をもつことが大切だという事を改めて感じることができた。
•目標と各活動や学習内容を合わせることや,常に目標を意識することの大切さである。私たちのグループは 2 回目の授業作りのとき,はじめは後ろから授業を考え,活動等を決めていたのだが,みんなで話し合って授業内容への理解を深めていく過程で,「ここは~の方がいいと思う」という風に変更があったとき,目標を顧みることをあまりせずに,安易に前後の活動の整合性をとろうとしてしまった。また,活動の内容を変更するときに目標に照らし合わせるのではなく,「子どもたちが活動に取り組みやすいように」というただ一点のみを考慮してしまい,目標から逸れた授業になってしまった。(中略)目標を意識していないと,次に何をしたらよいのか分からなくなるので,そういった意味でも今回の授業を受けて,目標を固めて,常に意識しておくことは本当に重要なことであると再確認できて良かった。
図 7 サプグラフごとに命名した共起ネットワーク(最小出現数 10,上位 70 の共起関係)
これらの記述から,PF によって自らの課題が浮き彫りになったり,単元目標と各活動の整合性を意識した授業づくりの重要性を実感できるようになったり,BD に基づくまとまりのある単元と授業づくりを意識できるようになっていることがわかる。また,2 番目のコメントでは,最初に単元目標を設定しても,各活動の内容を試行錯誤しているうちに,意識が児童の活動への取り組みやすさの方へシフトしてしまい,何をしているのかわからなくなるという学生の経験が語られている。このような経験を通して気づいた目標の価値は強く印象に残ると思われる。
授業アンケートの結果は表 3 の通りであった(16 名中 1 名は未提出のため,15 名の回答)。
表 3 授業アンケートの結果
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模擬授業とピア評価を通して,ほとんどの学生が実践的な技能と内省力が高まったと回答しており,満足度も高かった。また,少なくとも自分が行った授業に対するコメントは 9 口以上読んでおり,他 のグループが行ったときのコメントも半分以上は読んでいることがわかった。さらに,教員からのコ メントだけでなく,学生同士のコメントも授業改善に役に立っていると感じていた。アンケートであるため,学生の感覚的な回答ではあるが,毎回かなりの量があったコメントにこれだけ目を通していることは驚きであった。自分の授業が仲間からどう見えているのかは自然と気になるものなのもしれないが,授業改善に役立つという実感を伴ったものであったことは有益であった。なお,コメントを匿名化したことは課題を浮き彫りにするために一定の効果があったようで,アンケート中には,「自分たちが気づけなかった自分のグループの良さや次への改善点など,匿名だからこそ正直に書いてくれる方が多くいたので,大変有難かったです。」という記述がみられた。
この他,項目 8 で自信の高まりを問い,その理由を自由記述で回答してもらった。自信が「大いに高まった」「ある程度高まった」理由としては,グループでの模擬授業の体験と PF によって自分では気づかなかった発見があったこと,単元ごとに繋がりを考えながら授業づくりができたこと,ALT との連携が体験できたことがあがっていた。一方,少数ではあるが「どちらとも言えない」理由として,グループでは何とかできたが,1 人で授業を構成して教具を作ることや他教科との両立に不安があるという記述が見られた。また,授業内でのディスカッションと PF を組み合わせた内省活動について,
「今までは模擬授業を行うまでで終わることが多かったが,模擬授業後の評価を細かく行えたのはとてもためになりました。」という感想があった。
また,PF で用いた 10 項目の中で,答えにくかったものとその理由を尋ねたところ,項目 6「時間管理」という回答が 15 人中 10 人と突出して多かった。その理由としては,「実際の単元計画上の時間配分なのか,模擬授業上の時間配分だったのかが分かりづらかった。」「模擬授業と実際の授業とでは時間配分や児童の習熟度などが違うため,どう答えるのがよいか難しかった。」「模擬授業では,どうしても途中で活動を切ることが多いので本当はどれくらいの時間活動に取り組むのかが見えてこなかったので答えづらかった。」という意見があった。これ以外では,項目 3「言語材料」項目 4「構成•手順」項目 7「活動形態」について,それぞれ 1 人が答えにくかったと回答した。しかし,これらの理由も,「語彙•表現の導入は模擬授業の中では省くことが多いため,答えにくかった。」「実際の授業と同じ時間配分で授業をしたわけではないから難しかった。」「具体的にどのくらいその活動形態に時間を口けばよいのか分からず難しかったから。」のように,時間管理に関連した理由であった。このことから,今回の実践では時間管理とその評価が困難であったと考えられる。
本稿では,BDを意識した単元構想と授業づくりの力を育成するために行った模擬授業から,学生の PFと期末レポートを分析•考察した。単元全体を見通した授業づくりと実践を体験することは,本来,多くの時間がかかる取り組みである。しかし,今回のように10分程度のマイクロティーチングをつなぎ,1つの単元を構成するような模擬授業を行うことで,ある程度擬似的な体験をさせることができた。1コマ90分の中で単元全体を見通した視点から授業の流れを観察したり実践したりできるという点では,指導案上で単元計画を書かせて,そのうちの1時間分だけを取り出して実践させる場合と比べ
ると,単元目標の存在を強く意識せざるを得ず,BDに基づくまとまりのある授業づくりへの意識が高まりやすいというメリットがあるだろう。一方のデメリットとしては,学生のアンケート結果から明らかなように,この方法は時間管理が難しく,しばしば活動の一部が省略されて1つ1つの活動が中途半端になる場面があり,結果として単元全体の流れが見えにくくなるという問題点があることがわかった。対策としては,模擬授業の時間を長くして討議の時間を短くするという方法もあるが,授業直後で記憶が新鮮なとき,PFを行うために不明な点や授業者の意図を確認しておくことは,評価の正当性やコメントの質を担保する意味でも重要であることや,討議も重要な内省の一部であることから,必要な時間は確保したいところである。上記のメリットを生かしつつデメリットを克服するための方策について今後も実践を通して検討していきたい。
本稿の執筆にあたり,快くデータを提供してくださった学生のみなさんに感謝します。なお,本論文に関して,開示すべき利益相反関連事項はありません。
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