小学校英語教育学会誌
Online ISSN : 2424-1768
Print ISSN : 1348-9275
ISSN-L : 2188-5966
実践論文
「洋楽」に「空耳」でアプローチする歌活動の効果
― 高学年児童の歌活動に対する意欲と不安はどのように変化するのか? ―
名渕 浩司
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2022 年 22 巻 01 号 p. 4-19

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抄録

本研究では,小学校高学年児童に対して指導が難しいとされる英語の歌活動について検討する。童謡などの低年齢の子ども向けの歌ではなく,広く親しまれているポピュラーな「洋楽」を題材とし,「空耳」という手立てを用いることで,児童の歌活動への意欲を高め,さらにより難易度の高い英語を多量に処理する不安感を減らすことができるのではないか,という仮説をもとにした実践研究である。そうすることで,小学校英語教育における英語の歌活動の価値をさらに拡張できる可能性を探る。授業実践の効果を検証するために,授業の前後に児童の意欲と不安について質問紙調査を実施した結果,「洋楽」を題材としたクラスの事後の歌活動への意欲についての回答が有意に上昇した(p < .01)。また,「空耳」の活動を実施したクラスのみ,事後の歌活動への不安についての回答の一部が有意に下降したことが明らかになった(p < .01)。この結果から,「洋楽」を題材とすることで,子ども達の歌活動への意欲がより高まり,「空耳」を通して「遊ぶ」ことにより,曲の英語の質量両方についての心理的負担が軽減されるということが示唆された。

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© 2022 小学校英語教育学会(JES)
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