小学校英語教育学会誌
Online ISSN : 2424-1768
Print ISSN : 1348-9275
ISSN-L : 2188-5966
課題研究
児童の感覚処理困難を評価するチェックリストを活用 した英語の授業づくり
― より学び易い学習環境にする ための支援例と授業の提案 ―
ジャーナル フリー HTML

2023 年 23 巻 01 号 p. 132-147

詳細

林田 宏一(一般社団法人あかつき心理・教育相談室) 佐藤 玲子(明星大学)

池谷 幸子(岐阜県立岐阜希望が丘特別支援学校) 会田 信子(大田区立入新井第四小学校)

大槻 友紀(明治大学大学院生) 竹内 宣広(平塚市立山下小学校)

松津 英恵(東京学芸大学附属竹早中学校) 川﨑 育臣(和泉市立和気小学校)

四方堂 欣美(横浜市立東台小学校) 三田 祐太(青梅市立第五小学校)

キーワード:チェックリスト,個別の指導計画,英語の授業支援

要旨

本課題研究は,「感覚処理の困難」があるために,英語の授業への適応行動や学習に困難のある児童に対し,教室で教師が簡単に実施できるチェックリストを実施し,その結果に基づいて個別の指導計画を作成し,英語の授業に参加しやすくするための提案をすることを目的とする。そのために本研究 では,先行研究をもとに新たなチェックリストを作成し,実際に現場の教師にこのチェックリストを使ってもらい,授業を行ってもらった。その結果,作成したチェックリストは短時間で実施でき,児童の指導に役立つ結果が得られた。今後は,チェックリストの各項目に対して,英語の授業における具体的な困難例と支援例を数多く提示し,より活用しやすいツールにしていくことが課題となった。

1.研究の目的と背景

本課題研究は,児童の感覚や認知の困難に焦点をあてたチェックリストを活用したアセスメントに 基づき,児童がより学びやすい英語の授業の提案をすることを目的とする。具体的には,①先行研究に倣い学級担任が簡単に使える英語の授業・指導に役立つチェックリストを作成すること,②作成したチェックリストを使ったアセスメントの結果に基づき,児童が抱える様々な困難に対して,英語の授業における具体的な支援例を示すこと,③アセスメントに基づく指導と評価の一体化を図り,授業改善に資すること,④様々な困難を抱える児童だけでなく,クラス全員が学びやすい環境にするため

の授業提案を行うものとする。

発達障害児の問題行動の背景に「感覚処理の困難」があることは神経生理学研究において実証されている(岩永,2015)。日本の小学校の通常学級の児童の中にも,感覚処理の困難などがあるために,集団参加や学習がスムーズにいかずに問題行動をしてしまう,つまり学校への適応行動(日常生活をおくるうえで必要となるスキル,辻井,2014)につまずきのある児童がいると考えられる。適応行動をアセスメントするツールの代表例としては,Vineland-Ⅱ適応行動評価尺度の日本版(以下,Vineland-

Ⅱ)を挙げることができる(辻井・村上監修,2014)。しかし,Vineland-Ⅱは,発行している日本文化科学社が使用者レベルを「大学院修士課程で心理検査に関する実践実習を履修した方,または心理検査の実施方法や倫理的利用について同等の教育・研修を受けている方」としており,実際に学校で教師が使用することは難しいものと考える。また,適応行動の困難を引き起こしていると考えられる感覚処理困難の評価を行う児童用のツールとしては,辻井が監修した「日本版 SP 感覚プロファイル(以下,日本版 SP)」(2015)や,岩永が監修した「学校版感覚運動アセスメントシート」(中山・岩永・十枝,2012)がある。しかし,日本版 SP の短縮版においても評価項目が 38 項目あること,また授業外における情報も必要とするため,学級担任が児童の把握に教室で使用することは現実的でない。また障害の有無や,その程度を測定するツールは多くあるが,それらは教師が教室で容易に使用できるツールではない。このように,教室での適応行動の困難さの背景に気付くために,教室で教師が簡単に使えるアセスメントツールはないに等しいのが現状である(山口・佐藤・林田,2021)。よって,個々の適応行動の困難さやそれらを引き起こしていると考えられる感覚処理困難の背景を把握し,子どもの学びやすいやり方で教師が指導するためのヒントが得られるアセスメントツールの作成が求められている。

そこで山口ら(2021)は,特別支援学校教育要領・学習指導要領解説自立活動編(文部科学省,2018)

「環境の把握」を観点とする発達障害児の感覚処理の困難の評価を行うための観察項目(学習場面 32 項目,生活場面 25 項目,5 件法評価,5:毎時間ある~1:ない)(表1)の作成を試みた。これは,教師が自立活動に示されている内容を理解して,「環境の把握」を観点として問題となる行動の背景を把握できるツールの作成を試みたものである。この研究では,日本版 SP との比較から本観察項目で得られたスコアが高かった児童ほど,感覚の問題を抱えていると考えられたが,学習場面や生活場面のスコアの高低は何を意味するのか,また,学習場面でスコアが高かった児童にはどんな支援が必要なのか,生活場面でスコアが高かった児童にはどんな支援が必要なのか,それぞれの項目で高スコアが出た場合,どのような支援が必要なのかを明らかにしなかった。

学校での適応行動の評価に焦点をあてたアセスメントツールの1つに,「学校適応スキルプロフィ ール(ASIST:Adaptive Skills profile of students : Information for School-teachers & Trainers,以下 ASIST)」

(橋本・熊谷・大友ら編著,2014)(表2)がある。ASIST は,適応行動は知的発達や日常生活を送る上で非常に重要であること,また様々な適応スキルがある中で,学校適応スキルや児童期に焦点を当てているツールは少ないことが背景となって開発されたものである(熊谷・橋本・田口ら,2013)。 ASIST は,A 尺度で学校適応スキルの把握,B 尺度で特別な支援ニーズの把握を行う質問紙調査である。A 尺度では,学校適応スキルの獲得状況を獲得レベルプロフィール(到達学年・到達指数)として評価する(5 つの領域,2 つのスキル群)。B 尺度では,学校適応を妨げる行動や症状,現況,特別な支援ニーズの有無を 3 段階(通常対応・要配慮・要支援)で評価する(10 個の支援領域,2 つのサ

ポート因子,4 つのニーズ側面)。A 尺度が全部で 100 項目,B尺度が全部で 50 項目,合計 150 項目,

  1. 3.  

    件法の質問紙調査である(A 尺度のみ「D:わからない」で評定して良いようになっている)。評価

から集計まで 1 人当たり 40 分程度で実施することができる。ASIST の特筆すべき長所は全項目に対して支援例が示されていることであり,集団参加や学習の習得がスムーズにいかない児童のための個別支援計画の立案などには,非常に役に立つものである(林田・齋藤・岡野ら,2021)。しかし,これらの支援例は学校適応スキルそのものに対する支援の例示に過ぎず,学校適応スキルのつまずきによる授業参加困難の対処例などは示されておらず,通常学級で担任が自ら行う授業づくりの助けになるものではない。

そこで本課題研究は,先行研究をもとに,研究 1 から研究 3 の 3 つの研究を実施した。研究 1 は, 山口ら(2021)で作成した 57 項目の観察項目の改訂版(43 項目)(佐藤・山口・林田ら,2021)をもとに,特に英語の授業における適応行動や学習につまずきのある児童を簡易スクリーニングするチェ ックリストを作成し,それぞれの項目に対して,テスターの観察を補助するための困難例と支援に役立てるための手立て例を複数の専門家で作成するものである。研究 2 は,研究 1 で作成したチェックリストを用いて,その妥当性,信頼性,実用性を検討するものである。具体的には①作成したチェッ クリストと既存のアセスメントツールとの比較(外的基準との比較:妥当性の検討),②作成したチェックリストの内的整合性の検討(各領域の項目の内容が意図したものになっているか),③作成したチェックリストの実用性の検討(簡単に実施でき,かつ活用がしやすいか)を行う。最後に研究3 は,

現場の教師が英語の授業に参加が難しい児童にチェックリスト(研究1 で作成したもの)を実施し, その結果を英語の授業づくりにどのように活用したのかを検証した。

表 1.山口・佐藤・林田で作成した(2021)観察項目(一部抜粋)

学習場面と生活場面における「感覚の問題」についてのチェック項目

対象者の名前: 記入日 年 月 日 記入者: 対象者との関係:

お子様の様子を観察し、下記の配点に従って該当する箇所にチェックをいれてください。

1.ない 2.まれにある 3.ときどきある 4.毎日ある 5.毎時間ある

No.

学習場面で表れやすい行動

1

2

3

4

5

1

極端に目を近づけて本を読む

2

黒板の文字をノートに写さない、あるいは他児の2倍以上の時間がかかる

3

教科書の音読で行を読み飛ばすことがある

No.

生活場面に表れやすい行動

1

2

3

4

5

55

タオル(指)をしゃぶる、爪かみがあるなど口に触れている

56

窓側の席など、明るい場所で極度にまぶしそうにしている

57

人から聞いた話を正しく他者に伝えられない

表 2.学校適応スキルプロフィール(ASIST)A 尺度 質問項目(一部抜粋)

◎…よくあてはまる/経験していないが、おそらくよくあてはまる △…少しあてはまる(時々あてはまる)

×…あてはまらない/経験していないが、おそらくあてはまらない D…わからない

A1.生活習慣

2点

1点

0点

A1-11.体育館の倉庫や特別教室などへ用具を適切に運び、適切に片づけることができる

×

D

A2.手先の巧緻性

A2-15.リコーダーの指使いがスムーズにできる

×

D

A3.言語表現

A3-11.苦手なことについて友だちに「教えて」と頼むことができる

×

D

A4.社会性

A4-4.物を貸してもらったり手伝ってもらったりした時にお礼が言える

×

D

A5.行動コントロール

A5-4.順番を適切に待つことができる

×

D

- 134 -

2.研究 1 英語の授業における適応行動につまずきのある児童を簡易スクリーニングするチェックリストの作成

  1.    方法
    1.    チェックリストの作成

山口ら(2021)が作成した発達障害児の感覚処理の困難の評価を行うための観察項目は,43 項目にした改訂版が作成されている(佐藤ら,2021)。これは,学習場面で表れやすい行動 26 項目,生活場

面で表れやすい行動 17 項目で構成されている。本研究では,この改訂版をもとに,英語の授業における適応行動につまずきのある児童を簡易スクリーニングするチェックリストを作成した。

最初に,現場の教師が児童の実態を思い出してチェックしやすい項目であるかを検討するために,

①~⑤の観点で改訂版を精選した。(①感覚処理以外の要因が考えられるため削除,②重複している項目を統合,もしくは,統合後に削除,③言い回しを変更,④英語の授業とは関係のない行動,感覚処 理困難に大きく関係しない行動,授業場面で捉えにくい行動を削除,⑤①~④を実施後,全体を見て内容を追加)

精選した後,特別支援学校教育要領・学習指導要領解説自立活動編の「環境の把握」に即しているか,「環境の把握」以外にも 6 区分 27 項目の中に該当するものがあるのか,などを確認した。そして,

山口ら(2021)が作成したチェックリストは 5 件法であったが,選択肢の違いが分かりづらい課題があったことから,既存のアセスメントツールの ASIST を参考に 3 件法にした。

具体的な困難例,手立て例の作成

教師が感覚処理による困難さを容易に捉えやすくできるように,チェックリストの各項目に対して, 学習場面や生活場面で見られる具体的な困難例を作成した。また,チェックリスト使用時に,すぐに 指導・支援につなげることができるように,具体的な手立て例を作成した。困難例と手立て例は,特別支援学校教育要領・学習指導要領解説自立活動編を参考にし,複数の担当者(特別支援学校教諭, 心理職,英語教育専門の大学教員)で考えた。

  1. 2.   結果
    1.    チェックリストの作成

現場の教師が児童の実態を思い出してチェックしやすい項目であるかを検討し,必要な項目を精選した結果,20 項目となった(表 3)。自立活動編の 6 区分 27 項目の何に該当するかを確認した結果,

「環境の把握」以外にも「心理的な安定」「人間関係の形成」「身体の動き」「コミュニケーション」に該当するものもあった。

20 項目が何に焦点を当てたのかを明確にするために,2 つの領域,それぞれの領域に 3 つずつの下位領域を設定した。A 領域は感覚 3 項目,コーピング(対処スキル)4 項目,行動コントロール 3 項目の下位領域で 10 項目となった。B 領域は,聞く・話す 3 項目,読む 3 項目,書く4 項目の下位領域で 10 項目となった。回答方法は ASIST を参考に,よくあてはまる,少しあてはまる,あてはまらない,の順に 2 点,1 点,0 点を入れることにした。

表 3.チェックリストの項目及び自立活動学習指導要領の該当区分,領域,設定した領域・下位領域

No.

項目

自立活動学習指導要領の該当区分または領域

設定した領域下位領域

1

音声を使う授業場面などで、耳をふさいだり、

室外へ出たりして参加しない

4環境の把握(2)(3)

A領域感覚

2

窓側の席など、明るい場所で極端にまぶしそうにしている

3人間関係の形成(3)

4環境の把握(2)

3

身体接触を伴う授業に参加することを極端に嫌がる

4環境の把握(2)

4

指示が複数になると、一連の行動をすることが難しい

4環境の把握(5)

6コミュニケーション(5)

B領域聞く・話す

5

自分の気持ちを言葉で他者に伝えられない

6コミュニケーション(1)(2)(3)(4)

6

体験したことを相手に分かるように伝えられない

6コミュニケーション(1)(4)

7

物語文で登場人物の心情が理解できない

6コミュニケーション(3)

B領域読む

8

教科書の音読で読み間違えることが多い

2心理的な安定(3)

4環境の把握(2)

9

教科書の音読で著しく時間がかかる

2心理的な安定(3)

4環境の把握(2)

10

板書の際(見て、書く)に、著しく時間がかかる

2心理的な安定(3)

4環境の把握(2)

B領域書く

11

文字や数字を書くときに、線からはみ出すことが頻繁にある

5身体の動き(3)

12

文字や数字の大きさや形が極端に整わない

4環境の把握(4)

13

文字や数字の細かい部分を書き間違えることが多い

4環境の把握(4)

14

相手の気持ちがわからず、相手の嫌がることを繰り返し言う

6コミュニケーション(1)(5)

A領域 コーピング

15

友達や教師を遮ってしゃべりだす

2心理的な安定(2)

6コミュニケーション(1)

16

注意されたり、否定されたりしたことを受け入れられない

6コミュニケーション(1)

17

時間割に沿って、次の行動への切り替えができない

2心理的な安定(2)

4環境の把握(5)

18

一つの課題や活動を最後までやり遂げることができない

3人間関係の形成(4)

4環境の把握(2)

A領域行動

コントロール

19

学校生活の場面で、過剰に興奮する場面が多い

4環境の把握(5)

20

校内・授業時のルールに沿った行動ができない

4環境の把握(5)

具体的な困難例,手立て例の作成

チェックリストの各項目に対する具体的な困難例や手立て例は,表4 のように作成した。特別支援

学校教育要領・学習指導要領解説自立活動編の第 6 章の「②この項目を中心として設定した具体的な指導内容例と留意点」「③他の項目と関連付けて設定した具体的な指導内容例」を参考に,英語の授業場面に特化する例を含めた。更に,教師がチェックしやすいように困難例も内容を具体的にした。

考察

感覚処理の問題を教師が教室で把握するために,山口ら(2021)は自立活動の「環境の把握」に焦 点を当てて,発達障害児の感覚処理の問題を把握するための観察項目を作成した。しかし,自立活動の具体的な指導内容として「個々の幼児児童生徒の実態把握に基づき,自立を目指して設定される指導目標(ねらい)を達成するために,学習指導要領等に示されている内容から必要な項目を選定し, それらを相互に関連付けて設定されるものである。」(文部科学省,2018,p.25)と述べられている。つまり,現場の教師があらゆる視点で児童生徒の障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するためには,環境の把握だけではなく,全区分を含めたチェックリストが必要だと考えられる。本研究で作成したチェックリストがあらゆる区分に該当していることを確認できたことは大きな成果であ る。

本研究で作成した手立て例には,教師が児童に対して行う環境調整だけではなく,「聴覚に過敏さが見られ,特定の音を嫌がることがあるため,自分で苦手な音などを知り,音源を遠ざけたり,イヤーマフやノイズキャンセルヘッドホン等の音量を調節する器具を利用したりするなどして,自分で対処できる方法を身に付けるように指導する。」「場合によっては,遮光眼鏡を装用することでまぶしさを

軽減することができることを伝えたり,遮光眼鏡の装用の機会を設定したりする。」のような,児童自身が感覚過敏に気付けるようにすること,感覚過敏に対して児童自身が改善・克服できる方法を知ること,その方法を実践できる機会を設定すること,などを手立て例として含めた。自立活動では,個別の指導計画を作成する際の配慮事項「具体的な指導内容の設定」の「オ 自ら環境を整える指導内容」では,児童自身が自ら環境に働き掛けられるような力を育むことや段階的に指導する必要性,「カ自己選択・自己決定を促す指導内容」では,改善したり克服したりする際に自ら選んだり,ものごと を決定して実行したりすることを述べている(文部科学省,2018,pp.115-117)。

池谷・村瀬・林田ら(2017)は,ASD のある中学生が光の感覚過敏を軽減できる方法を知り,自分から有色レンズ付き眼鏡を使うことを選び,体験を繰り返したことで,困難さを自分で軽減して克服す ることを学んだ事例を取り上げている。周囲の大人が感覚過敏を抱える児童に対して環境調整をするだけではなく,池谷らの事例や自立活動で述べられている内容のように,児童自身が感覚過敏による困難さを改善・克服できる方法を体験したり,実践したりする環境調整も必要だと思われる。今後は, 作成したチェックリストを活用した事例を集めて,チェックリストの内容や表現が現場の教師にとっ て分かりやすいかどうかを繰り返し検討したり,現場の教師がどのような手立て例を実施しているかを把握して内容を追加したりしていきたい。

表 4.チェックリストの各項目に対する困難例及び手立て例(一部抜粋)

No.

困難例

手立て例

1

外国語教材の音声動画やCDに含まれているセリフ前に流れる音楽やBGMなどを嫌がる。

・児童が不快である音を避けるようにする。

・聴覚に過敏さが見られ、特定の音を嫌がることがあるため、自分で苦手な音などを知り、音源を遠ざけたり、イヤーマフやノイズキャンセルヘッドホン等の音量を調節する器具を利用したりするなどして、自分で対処できる方法を身に付けるように指導する。

2

明るい場所で極端にまぶしそうにしている。読み書きするときに、自分の手などを使って、手元に影を作る。

・カーテンなどを使って、照度の調整をする。

・座席を窓側から離す(廊下側にする)。

・光の量を調整したり、避けたりする。

・場合によっては、遮光眼鏡を装用することでまぶしさを軽減することができることを伝えたり、遮光眼鏡の装用の機会を設定したりする。

3

活動で、周囲の身体に触れる・触れられることを極端に嫌がる。

・嫌がる身体接触部分がどこなのか、度合いを実態把握する。

・身体接触を控え、代わりの参加方法を考え、本人が納得した上で実施する。

・児童の視界に入って、声を掛けたり、児童に合った接触をしたりする。

4

指示が長く、複雑になったりすると、指示に基づいて行動ができない。

・指示の内容を具体的に理解することが難しいことがあるため、指示の内容や作業手順、時間の経過等を視覚的に把握できるようにする(例:手順表などで、順序や時間、量の概念等を捉えることができるように工夫す る)。

・話の内容を記憶して前後関係を比較したり類推したりすることが困難なため、会話の内容や状況に応じた行動をすることができない場合がある。分からないときに質問する方法を身に付けて、行動ができるようにする。

5

教師が、気持ちを表す絵カードやジェス

チャーを提示しても、それにうまく反応できない。

・教師との個別的な場面や安心できる小集団の活動やゲームなどを通して、相手の話を受けてやりとりをする経験を重ねられるようにする。

・言語による指導以外に、児童生徒の興味関心に応じた活動(例:絵画、造形、ごっこ遊び、など)を行い、やりとりの楽しさを知り、コミュニケーションの基礎を作る。

・言葉は知っているものの、その意味を十分に理解せずに活用したり、意味を十分に理解していないことから活用できず、思いや考えを正確に伝える語彙が少ないことがある。実体験、写真や絵と言葉の意味を結び付けながら理解することや、ICT機器等を活用し、見る力や聞く力を活用しながら言語の概念を形成するように指導する。

6

何から言っていいか分からない。

体験したことを順序だてて、話すことができない。

・言語発達に遅れがある児童生徒の場合、語彙が少ないため自分の考えや気持ちを的確に言葉にできず、相手の質問に的確に答えられないことがある。児童生徒の興味・関心に応じた教材を活用し、ことばのやりとりを楽しむ。

・順を追って説明することが困難であるため、聞き手に分かりやすい表現をすることができないことがある。そこで、絵に空白の吹き出しを入れたり、話す言葉が入ったセリフを入れたりする。

・体験した状況の理解の困難な児童生徒の場合、ICT機器を使って状況理解を助けるような図やシンボルなどで示すアプリを使う。

・関係性と項目を図やシンボルなどで示すマインドマップのようなツールを利用したりすることで、コミュニケーションすることに楽しさと充実感を味わえるようにしていく。

7

気持ちを表す言葉や文を読んでも、共感できなかったり、理解が難しかったりする。

・自分の考えや感情を的確に言葉にできないことや相手の質問に的確に答えられないこと、登場人物の心情理解 に困難が生じている場合がある。そこで、児童生徒の興味・関心に応じた教材やごっこ遊び、ロールプレイなど を通して、登場人物の感情を理解しやすくする。

・教師が、英語ならではの反応の大きさや表情豊かに目の前で再現することで、登場人物の感情の理解を促す。

8

アルファベットや英単語などを読み間違えることが多い。

・教科書などに振り仮名を振って、音声を聞きやすくし、読みのきっかけを作る。読む時は振り仮名をそのまま読むのではなく、聞いた音声を元に読むように意識づける。

・拡大コピーをするなどによって自分が読み易くなることを知ることや、コンピュータによる読み上げや電子書 籍を利用するなどの代替手段を使うことなどによって読み取りやすくなることを知る。使うことによって、学習 上の困難を乗り越え、自分の力で学習するとともに、意欲的に活動することができるようにする。

・代替手段等を利用することが周囲に認められるように、周囲の人に依頼することができるように指導をする。

・プリント教材などを使用する際は、本人にとって読み取り易い書体を確認したり、文字間や行間を広げたりし て負担を軽減する。

9

音声で慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な意味が分かる英文を読む活動を繰り返しても、周囲より著しく時間がかかる。

10

アルファベットや英単語などを書くのに、著しく時間がかかる。

・拡大コピーをするなどによって自分が読み易くなることを知ることや、コンピュータによる読み上げや電子書 籍を利用するなどの代替手段を使うことなどによって読み取りやすくなることを知る。

・代替手段等を利用することが周囲に認められるように、周囲の人に依頼することができるように指導をする。

・本人にとって読み取り易い書体や文字の大きさを確認する、文字間や行間を広げる、アンダーラインを引き強調するなどをして、板書の負担を軽減する。また、コントラストを調整した見やすい教材を提供する。

11

文字が4線ノートからはみ出す。

アルファベットを決められた箇所に書けない。

・鉛筆の握り方がぎこちなく過度に力が入りすぎてしまうこと、筆圧が強すぎて行や枠からはみ出てしまうこと等、手や指先を用いる細かい動きのコントロールが苦手な児童生徒がいる場合がある。このような場合には、使いやすい形や重さの筆記用具などを用いることによって、安心して取り組めるようにする。

・上手く取り組めないことにより焦りや不安が生じて、余計に書字が乱れてしまうことがある。このような場 合、十分な時間を与えて、書くことに対する本人の焦りや不安を軽減する。

12

大文字と小文字の大きさが同じになる。

アルファベットを決められた箇所に書けない。

・目と手の協応動作が難しく、意図している文字がうまく書けないことがある。そのような場合には、腕を大き く動かして文字の形をなぞる、モールや粘土で文字を作る、筆記具の運びを感じやすくするためのザラザラした 下敷きを使うなどの方法がある。

13

文字の形の違いを教えても、繰り返し間違える。(例:大文字のIと Lの小文字を書き間違え)

14

*チェックリストの項目文参照

・会話の内容や周囲の状況を読みとることが難しい場合があるため、状況にそぐわない受け答えをすることがあ る。そこで、相手の立場に合わせた言葉遣いや場に応じた声の大きさなど、場面にふさわしい表現方法を身に付くようにする。実際の生活場面で、状況に応じたコミュニケーションを学ぶことができるような指導を行う。

・他者の視点に立って考えることが苦手だったり、コミュニケーションにすれ違いが生じることが多かったりする場合がある。このような場合には、相手に伝えるための話し方を学習したり、ホワイトボードなどを使用して気持ちや考えを書きながら整理していったりする。

15

*チェックリストの項目文参照

・特定の動作や行動等を無理にやめさせるのではなく、本人が納得して次の活動に移ることができるように段階的に指導する。指導する時は、特定の動作や行動を行ってもよい時間帯や回数をあらかじめ決めたり、自分で予 定表を書いて確かめたりして、見通しをもって落ち着いて取り組めるようにする。

・協力して遂行するゲームなどをしたりする事を通して、相手の意図を理解して関わりができるように指導す る。

16

*チェックリストの項目文参照

・人とのやりとりや人と協力して遂行するゲームなどをしたりするなどを通して、相手の意図を理解して適切なかかわりができるように指導する。

17

活動が楽しすぎて、次の活動へ進めれない。その活動ばかりをしてしまう。

・活動に過度に集中し、終了時刻になっても活動を終えることができない場合、活動の流れや時間を視覚的に捉 えられるようなスケジュールや時計などを示し、時間によって活動時間が区切られていることを理解できるようにする。また、残り時間を確認しながら、活動の一覧表に優先順位をつけて、適切に段取りを整えられるように する。

・周囲の状況に意識を向けることや経験したことを他の場面にも結び付けて対応することが苦手なため、人前で年齢相応に行動する力が育ちにくいことがある。そこで、行動の仕方を記号・絵・短い文にしたり、適切な例を 示したりしながら、場に応じた行動の仕方を身に付けることができるようにする。

18

集中力が続かず、活動の最後までやり遂げることができない。

・注目すべき箇所を色分けしたり、手で触れるなど他の感覚も使ったりすることで注目しやすくしながら、注意を持続させることができることを実感し、自分に合った注意集中の方法を積極的に使用できるようにする。

・活動の手順を段階的に理解できるようにする。

19

興味関心の高い内容になると、テンションがあがり授業目的に沿った活動ができない。好きなものだけに着目してしまう。

・興味のある事柄に注意が集中する傾向があって、結果的に活動の全体像が把握できないことがある。そこで、一部分だけでなく、全体を把握することが可能となるような指導をする。

20

*チェックリストの項目文参照

・ルールの内容を具体的に理解することが難しいことがある。ルールの内容や作業手順、時間の経過等を視覚的 に把握できるように教材・教具等の工夫を行うとともに、手順表などを活用する。

3.研究 2 作成したチェックリストの妥当性,信頼性,実用性の検討

  1.    方法
    1.    妥当性の検討

対象は放課後等デイサービス(以下,放デイ)に通う小学 3 年生~中学 1 年生の通所児童 10 名であ

った。この 10 名に対し,アセスメントツールの使用に対する十分な研修を受けている正職員 4 名でチェックリスト(放デイ実施用に,結果に影響を及ぼさない範囲で一部文言を変更した)を 20XX 年Y 月に実施してもらった(個人情報に配慮し、実施年月は伏せ字にしてある。以下 3 章中は同様。)。

比較に用いた ASIST の実施月は,20XX 年(Y-6)月から 20XX 年Y 月であった。ASIST のA 尺度(領域,項目は表 2 参照)の集団参加スキル群の得点(社会性,行動コントロール:合計 80 点満点)と,

個人活動スキル群の得点(生活習慣,手先の巧緻性,言語表現:合計 120 点満点)を外的基準として設定した。これとチェックリストのA 領域(感覚,コーピング,行動コントロール),B 領域(聞く・話す,読む,書く)の領域別得点(各領域 20 点満点)を比較した。比較に使った領域別得点は,同一事業所,同一の研修を受けているテスター4 名のスコアを同質のものとみなし,合算したもの(4 人合算で各領域 80 点満点)を比較対象とした。チェックリストの A 領域,B 領域で得られた得点と,外的基準として設定した ASIST の集団参加スキル群,個人活動スキル群の得点に,相関があるかどうかを見ることで,作成したチェックリストの妥当性の検討を試みた。

信頼性の検討

対象は,通常学級に所属する小学 5 年生 81 名(3 クラス)であった。チェックリスト実施者は3 名

(C~E)であった。調査実施月は 20XX 年Z 月であった。実施してもらったチェックリストの結果を集計して,内的整合性(各領域の項目の内容が意図したものになっているか)の確認のため,各領域, 下位領域の Cronbach の α 係数を算出した。

実用性の検討

3.1.1 で妥当性の検討を行った調査に参加した放デイの正職員 4 名に,通所児童 10 名の評価に要した時間と,使用した感想を聞いた。また,3.1.2 で得られたデータをもとに,3 クラス各集団内でのカットオフ値,つまり支援の必要な児童を簡易スクリーニングするための基準値の算出を試みた。

倫理的配慮

妥当性,実用性の検討に関する調査にご協力頂いた放課後等デイサービスを運営する F 社には,調査に関する説明を行い,書面にて発表の承諾を得ている。また調査にご協力いただいた事業所には, 事前に結果を論文等で発表することについて,説明を行った。信頼性,実用性の検討を行ったテスター3 名にも同様に事前に結果を論文等で発表することについて,説明を行った。

  1. 2.   結果
    1.    妥当性の検討

結果を表 5 に示す。チェックリストのA 領域得点(感覚,コーピング,行動コントロール)と ASIST

の集団参加スキル群得点(社会性,行動コントロール)の順位相関係数は-0.745(p.05),チェックリストの B 領域得点(聞く・話す,読む,書く)と ASIST の個人活動スキル群得点(生活習慣,手先の巧緻性,言語表現)の順位相関係数は-0.662(p.05)だった。

表 5.チェックリストの各領域と外的基準(ASIST)との相関

ASIST

チェックリスト

件数

t分布

数表(6≦n≦10)

A尺度-集団

A領域

順位相関係数

統計量

p値

判定

統計量

5%点

1%点

結果

10

-0.745

-3.156

0.013

[* ]

284

272

298

ASIST

チェックリスト

件数

t分布

数表(6≦n≦10)

A尺度-個人

B領域

順位相関係数

統計量

p値

判定

統計量

5%点

1%点

結果

10

-0.662

-2.495

0.037

[* ]

273

272

298

信頼性の検討

結果を表 6 に示す。チェックリストの A 領域 10 項目(感覚,コーピング,行動コントロール),B領域 10 項目(聞く・話す,読む,書く)の Cronbach の α 係数は,それぞれ 0.9390.919 であった。また,A 領域の下位領域,感覚,コーピング,行動コントロールの Cronbach の α 係数は,それぞれ0.6010.9420.928,B 領域の下位領域,聞く・話す,読む,書く,のCronbach の α 係数は,それぞれ 0.9110.8040.913 であった。A 領域の下位領域,感覚(3 項目)の Cronbach の α 係数が低いものの,その他 5 つの下位領域については,全体として同じ概念を測定していると考えられる。

表 6.内的整合性の確認(Cronbach の α 係数)

実用性の検討

1 人分のチェックリストの実施に要した平均時間は,最短のテスターで 4.5 分,最長のテスターで9 分であった。テスターの感想は,「所要時間は,負担なくできる程度だった」「下位領域「感覚」の評 価が難しかった。ASIST のように丁寧なマニュアルが必要なように思う」「A 領域(感覚,コーピング,行動コントロール)とB 領域(聞く・話す,読む,書く)で比較することによって,優先すべき支援領域がわかる。個別支援計画立案には有効」などが挙げられた。

次に,各集団(C,D,E)で支援の必要な児童を簡易スクリーニングするための基準値の算出についての結果を表 7 に示す。まず,集団ごとに基本統計量を算出,モード,メディアンともに0 になることを確認した。つまり,通常学級でこのチェックリストをつけると,多くの児童が,スコアゼロとなることがわかった。次に標準偏差,変動係数(標準偏差を平均で割ったもの)を見て,散らばりの大きなデータであることを確認した。以上のように,基本統計量を慎重に確認しながら,先行研究と比較し,暫定的に今回のデータで簡易スクリーニングの基準値を,支援レベルに応じて3 段階で決定

することを試みた。橋本ら(2014)によると,支援のレベルには 2 つの観点がある。1 つ目は,時間軸からみていくと「一時的・長期的」という分類があり,範囲からみていくと「限定的・全面的」という分類がある。2 つ目は,学校生活を考えた場合「個別的な支援が必要なレベル(要支援)」「配慮を要するレベル(要配慮)」「通常対応のレベル(通常対応)」という分類がある。本研究では,これに倣い,各領域,各下位領域ともに,平均+1.5 標準偏差以上の値を示した児童を要支援対象と判断し, 平均+1 標準偏差以上の値を示した児童を要配慮対象,平均+1 標準偏差未満の値を示した児童を通常対応対象と判断することとした。

表 7.支援の必要な児童を簡易スクリーニングするための各集団で試みた基準値の算出

D(n=24)

Ave

SD

Ave

+1.5SD

Ave

+1SD

備考

感覚

0

0

*1

コーピング

1.38

2.078

4

3

行動コントロール

0.96

1.645

3

2

聞く・話す

0.33

0.624

1

0

*3

読む

0.21

0.498

0

0

*2

書く

1.42

2.515

5

3

A領域合計

2.33

3.670

7

6

B領域合計

1.96

3.169

6

5

全領域

4.29

6.400

13

10

備考

・Ave+1.5SD、Ave+1SDの数値は、小数点以下切り捨て

・Aveは、小数点第2位四捨五入で算出した

・SDは、小数点第4位四捨五入で算出した

*1 Ave、SDが0の場合、基準値を算出していない

*2 +1.5SD、+1SDが0の場合、1以上を要支援とした

*3 +1.5SD=1、+1SD=0の場合、2以上を要支援、1は要配慮

研究 2 の考察

研究 2 では,英語の授業における適応行動につまずきのある児童を簡易スクリーニングするチェックリストの作成の一環として,その妥当性,信頼性,実用性の検討を行った。

妥当性の検討では,ASIST のA 尺度の集団参加スキル群の得点(社会性,行動コントロール)と, 個人活動スキル群の得点(生活習慣,手先の巧緻性,言語表現)を外的基準として設定し,これとチェックリストの A 領域(感覚,コーピング,行動コントロール),B 領域(聞く・話す,読む,書く)の領域別得点を比較した。対象児童 10 名,テスター4 名の分析結果で,十分な数とは言えないが,チェックリストの A 領域(感覚,コーピング,行動コントロール),B 領域(聞く・話す,読む,書く)ともに,設定した外的基準との相関は 5%水準で有意(表 5)であった。チェックリストの各領域別得点と ASIST の各スキル群得点の相関の高低は,チェックリストの妥当性の有無を意味する。チェックリストは困難があるほど,スコアが高くなり,ASIST はスキルが獲得されているほど,スコアが高くなる。よって,今回得られた相関は負の相関であった。

信頼性の検討では,作成したチェックリストを複数の小学校の 5 年生 81 名に実施し,各領域,各下位領域が同じ概念を測定しているか,Cronbach の α 係数を算出し,検討を行った。対象児童 81 名, テスター3 名の分析結果で,十分な数とは言えないが,チェックリストの 2 つの領域が全体として同じ概念を測定していると考えられた。また 6 つの下位領域については,A 領域の下位領域,感覚(3 項目)の Cronbach の α 係数が 0.8 より低いものの,その他5 つの下位領域については,全体として同じ概念を測定していると考えられた。下位領域の感覚の信頼性が十分でない結果が得られている理由としては,「項目 1.音声を使う授業場面などで,耳をふさいだり室外へ出たりして参加しない」では, 音声を使う場面以外でも室外に出てしまう児童も多いこと,「項目2.窓側の席など,明るい場所で極端にまぶしそうにしている」では,客観的に評価することが難しいこと,「項目3.身体接触を伴う授業に参加することを極端に嫌がる」では,コロナ禍において活動制限があり,把握できていないなど が考えられた。

実用性の検討では,まず妥当性の検討のためにチェックリストを実施したテスター4 名に実施時間を測定してもらった。1 人当たりの実施に要した時間は最短のテスターで 4.5 分,最長のテスターで9 分と,短い時間で負担なく,チェックリストを実施できることを確認できた。また,各領域の得点を 比較することによって,優先すべき支援が推測できるという利点を挙げたテスターがいた反面,評価 が難しい項目があり,もっと詳しい評価基準が必要だという問題点を挙げたテスターもいた。今後は もっと多くのテスターに実施してもらい,実用性の向上を図りたい。次に各集団で支援の必要な児童 を簡易スクリーニングするための基準値の算出を試みた。各領域,各下位領域ともに,平均+1.5 標準偏差以上の値を示した児童を「要支援対象」,平均+1 標準偏差以上の値を示した児童を「要配慮対象」, それ未満の児童を「通常対応対象」と判断する基準を示すことができた。しかし,十分な数の分析が無い上,3 人のテスターで平均値のばらつきが出たため,各集団での基準を示すのに留まってしまった。通常学級でこのチェックリストを活用することを考えると,各項目の採点基準をより具体的に示 し,学年ごとに要支援,要配慮と判断するための基準値の算出をすることが今後の課題だと考える。

  1. 4.   研究 3 チェックリストの授業内活用と実践の提案
    1.    方法
      1.    チェックリストを活用した実践報告について

チェックリストを活用した英語の授業づくりの実践報告は 10 事例あった(6 校,実践者 6 名)。A 領域得点>B 領域得点, A 領域得点≒B 領域得点, A 領域得点<B 領域得点といろいろな事例が見られたが,その中で 2022 年 6 月~7 月にかけて実践を行った A 領域得点>B 領域得点の事例(行動の問題がある)と A 領域得点<B 領域得点の事例(読み書きの困難がある)を取り上げた。

小学校英語授業者である F は,小学 5 年生児童 1 名に対してチェックリストを実施した(以下,実施者 F、実践時期は 2022 年 6 月)。本児童は,じっとして黙っていることができなかったり,常に教 室を歩き回り大きな声を出して他の児童にちょっかいを出したりする行動が学校生活で見られていた。 また,小学校英語授業者である G は,小学 4 年生児童 1 名に対してチェックリストを実施した。(以後実施者 G、実践時期は 2022 年 6 月~7 月)。本児童は,学習用具がそろわない,できないことや分 からないことがあると固まる,読み書きに困難がある,などの様子が学校生活で見られていた。

チェックリストの結果に基づいた英語の授業づくりについて

チェックリストの結果を英語の授業づくりにどのように活用したのかを検証するために,チェックリスト実施者には個別の指導計画を作成してもらった。個別の指導計画には,「単元のねらい」「単元 で行う学習活動」「学習活動で予想される児童の姿」「予想される児童の姿が該当するチェックリストの項目」「手立て」などの項目を設定した。授業者は作成された個別の指導計画に基づいて,英語の授業を実施した。実施時には,授業中に見られた対象児童の具体的な様子や行動を観察してもらった。授業実施後,授業者は実施した指導や手立てを振り返り,個別に記述した。

倫理的配慮

今回,英語の授業づくりで対象となったチェックリスト実施者F とG には,個人情報がわからないようにした上で,提供された内容を論文等で発表することを説明し,事前に承諾を得ている。

  1. 2.   結果
    1.    実施したチェックリストの結果

実施者 F と実施者 G が実施したチェックリストの結果を図 1 に示す。実施者 F が実施した結果は, 全領域得点が 20 点,A 領域 16 点(感覚 2 点,コーピング 8 点,行動コントロール 6 点),B 領域 4 点

(聞く・話す 3 点,読む 1 点,書く 0 点)だった。チェックリストを実施した児童が所属する学級で得られた調査結果から,この児童は全領域では要配慮,A 領域では要支援対象と判定した。実施者 G が実施した結果は,全領域得点が 23 点,A 領域 6 点(感覚 2 点,コーピング 1 点,行動コントロール

3 点),B 領域 17 点(聞く・話す 4 点,読む 5 点,書く 8 点)だった。実施者 G は自分が担任する学級で何らかの困難があると判断した児童のみにチェックリストを実施しており,このケースでは要配慮,要支援の判断をするためのカットオフ値の算出をしていない。

図 1.実施者 F とG が実施したチェックリストの結果(左が実施者F,小 5,右が実施者 G,小 4)

点数 判定 合計点数 判定 合計点数

チェックリストの結果に基づいた英語の授業づくりについて

チェックリストの結果に基づいて,実施者 F が作成した個別の指導計画を表 8 に示す。作成した個別の指導計画に基づき授業を実施したところ,身近な人を紹介する活動では,大好きな野球チームのコーチのことを紹介し,次から次へと意欲的に伝えたいことがあふれ出てくるような姿が観察された。身近な人紹介カード作りでは,自分の言いたいことを英語で伝えることに難しさを感じている姿が観察された。授業実施後,授業者は「紹介したい人や紹介したいことが多種多様なため,様々な英文が出てきてしまうので対象児童が理解するのに難しさを感じているようだった。」個別に記述した。

表 8.実施者 F が作成した個別の指導計画(NEW HORIZON Elementary 5 Unit 4 He can bake bread well.)

学校生活で見られる児童の姿

・じっとして黙っていることができない。 ・常に教室を歩き回り大きな声を出して、他の児童にちょっかいを出す。

単元のねらい

・地域に住む身近な人を紹介するために、その人のできることなどについて、短い話を聞いてその概要が分かったり、伝え合ったり、話したりすることができる。外国語の背景にある文化に対する理解を深める。

学習活動

学習活動で予想される児童の姿

児童の姿が該当するチェックリストの項目(カッコ内の数字は項目番号)

手立て

地域に住む身近な人のできることなどについてのやりとりのおおよその内容を理解する。リスニングを行う。

リスニングを聞いても分からないと言って始めから聞かない。

注意されたり、否定されたりしたことを受け入れられない(No.16)。

リスニング内容を前もって伝え、何を答えるか共有してからリスニングを行う。

身近な人のできること・できないことについて紹介し合う。

自分と関係ない児童への返答にも反応してしまい、会話が成立しない場面が出てくる。

学校生活の場面で、過剰に興奮する場面が多い(No.19)。

やりとりをする相手をはじめは教師と行い、落ち着かせてから他の児童へ聞きに行く。

「身近な人紹介カード」を作って、ショーアンドテルをする。

自分と関係ない児童への返答にも反応してしまい、会話が成立しない場面が出てくる。

学校生活の場面で、過剰に興奮する場面が多い(No.19)。

該当児童が落ち着いて教室にいられるように声かけする声を穏やかに小さい音量で話しかける。

チェックリストの結果に基づいて,実施者 G が作成した個別の指導計画を表 9 に示す。実施者 G は単元として 3 時間を計画した。今回は 1 時間目と 2 時間目の個別指導計画を示す。

表 9.実施者 G が作成した個別の指導計画(Let’s Try! 2 Unit 5 Do you have a pen?)

学校生活で見られる児童の姿

・学習用具がそろわない。 ・できないこと、分からないことがあると固まる。 ・読み書きに困難がある。

単元のねらい

・文具などの学校で使うものや、持ち物を尋ねたり答えたりする表現に慣れ親しむ。文具など学校で使うものについて尋ねたり答 えたりして伝え合おうとする。相手に配慮しながら、文具など学校で使うものについて書いたりなぞったりする。

学習活動 1時間目

学習活動で予想される児童の姿

児童の姿が該当するチェックリストの項目(カッコ内の数字は項目番号)

手立て

文具の名前を理解し、言い方を知る。(1)チャンツで、リズムに合わせてきかれた文具を持っているかを聞いたり伝えたりさせる。

(2)文具の使い方や色、形状を伝えどんな文具か当てることができるようにする。

・文具の名前をALTの後に続いて言うことができる。文具がいくつあるか伝えることができる。チャンツで使う文具 カードを選び、チャンツに合わせてい うことができる。

・教師の話をよく聞き、どんな文具かを当てることができる。

指示が複数になると、一連の行動をするこ とが難しい(№4)。自分の気持ちを言葉で他者に伝えられない(№5)。体験したことを相手に分かるように伝えられない(№6)。校 内・授業時のルールに沿った行動ができな い(№20)。

・事前に行うことを経験し、固まる、言えない、できないなどを減らすようにする。

・モジュールで、カードを使った遊びを行ったり、カードを使ったサイレントゲームをして、カードを始めてみたり、触ったりを無くしておく。

・なるべく目の前でやりながら説明する。

文具のワードのなぞり書きをさせる。

・なぞり書き(顔を動かして・裏から・空書き・裏なぞり書き)

板書の際にしく時間がかかる(№10)。文字や数字を書くときに、線からはみ出すこと が頻繁にある(№11)。文字や数字の大きさや形が極端に整わない、細かい部分を書き間違えることが多い(№12・13)

・教師が紙の裏面に書かせたい単語を左右反転で事前に書いておく(裏なぞり書き)。

学習活動 2時間目

学習活動で予想される児童の姿

児童の姿が該当するチェックリストの項目(カッコ内の数字は項目番号)

手立て

・チャンツで用語や聞き方を振り返る。

・前時に学習した文具の名前を使って黒板掲示の筆箱の中身を伝えあわせ る。

・文具の名前を言うことができる。

・文具がいくつあるか伝えることができる。

指示が複数になると、一連の行動をするこ とが難しい(№4)。自分の気持ちを言葉で他者に伝えられない(№5)。体験したことを相手に分かるように伝えられない(№6)。校 内・授業時のルールに沿った行動ができな い(№20)。

・日頃から既習した言葉を使う。

・朝のモジュールタイムに習ったチャンツを行う。

・他の教科でもなぞり書きをするときは、顔を動かしたり、空書きや字の上のなぞり書 き、裏なぞり書きなどをクラス全員で経験する。

(1)文具集めのアクティビティを行う(自分でカードを作り、ほしい文具を集める)。

(2)自分の欲しい文具(作ったカード) を持っているか聞きあい、持っていたら渡し、もっていなかったらそのことを伝えさせる。

(3)集めた文具を確認する。

(4)集めた文具を友達と紹介し合わせる。

(5)集めた文具を黒板に貼り、クラスのみんなに紹介させる。

・いろいろな文具のカードを作ることができる。

・自分が集めたい文具を友達に聞いて集めることができる。

・たくさんの友達に聞ける。

・近くの友達と紹介できる。

・クラスのみんなに集めた文具紹介できる。

・文字でも絵でも言葉でもよいことを伝え、取り組みやすくする。

・言い方が分からない児童のそばでなるべく見守るようにし、声をかけられるようにす る。

・どの子も一つでもできるようにALTや担任もアクティビティに参加し、友達とつなげたり しながら進める。

・ワードのなぞり書きをさせる。

・自分ができる形でなぞり書きをする。

板書の際に著しく時間がかかる(№10)。文字や数字を書くときに、線からはみ出すこ とが頻繁にある(№11)。文字や数字の大きさや形が極端に整わない、細かい部分を書き間違えることが多い(№12・13)。

・他の教科でもなぞり書きをするときは、顔を動かしたり、空書きや字の上のなぞり書 き、裏なぞり書きなどをクラス全員で経験する。

- 144 -

作成した個別の指導計画に基づいて 1 時間目の授業を実施したところ,チャンツでリズムに合わせ文具を持っているかを聞いたり伝えたりする活動では,教師が説明時にもチャンツで使った文具カードを使っていたので,活動時にカードに対して違和感をもっている様子はなく,みんなと同じように活動に参加できている様子が観察された。文具のワードをなぞり書きする活動では,教師が紙の裏面 に書かせたい単語を左右反転で事前に書いておき,児童になぞってもらう方法で支援をしたら(以下 裏なぞり書き),すんなりと取り組む様子が観察された。授業実施後,授業者は「他の言葉を知りたい児童がいて,授業全体のバランスがとりづらかった。次回は,扱う文具のワードを筆箱の中身に絞って,活動を設定し,配慮事項を検討したい。」と振り返りを記述していた。2 時間目の授業を実施したところ,文字や絵や言葉のいずれかから自分で表すことができる方法を選んで取り組むことができている様子が観察された。授業実施後,授業者は「前時からあまり時間が経っていないこともあり,前時の活動を覚えている児童が対象児童を含めて全体的に多かった。前時の経験もあったせいか,本時でも活動前には内容を全体に説明してから授業に入ったので,対象児童は進んで活動に参加していた。対象児童を含めて,分からないことや書くことに固まったりイライラしていたりすることはなかった。」 と振り返りを記述していた。

研究 3 の考察

研究 3 では,対象児童にチェックリストを実施し,その結果に基づいて個別の指導計画を作成し, 授業実践を行った。実施者 F が実施したチェックリストの結果は,A 領域が高く,特にコーピング, 行動コントロールの困難が目立つ児童だった。そこで実施者 F は,項目 16(コーピング)「注意されたり,否定されたりしたことを受け入れられない」,項目 19(行動コントロール)「学校生活の場面で, 過剰に興奮する場面が多い」の 2 項目に対し,「リスニング内容を前もって伝え,何を答えるか共有してからリスニングを行う(項目 16)」「やりとりをする相手をはじめは教師と行い,落ち着かせてから他の児童へ聞きに行く(項目 19)」「該当児童が落ち着いて教室にいられるように声かけする声を穏やかに小さい音量で話しかける(項目 19)」という具体的な手立てを立てて授業実践を行った。その結果,難しさを感じている場面はあったものの,前向きに活動に参加できた場面も見られた。これは, 指導内容に対して,児童の予想される動きを想定し,チェックリストの結果を元に具体的な手立てを考えたことが功を奏したと考えられる。

実施者 G が実施したチェックリストの結果は,B 領域が高く,特に書くことに困難が目立つ児童だった。しかし,項目 4~6(聞く・話す)「指示が複数になると,一連の行動をすることが難しい」「自分の気持ちを言葉で他者に伝えられない」「体験したことを相手に分かるように伝えられない」,項目20(行動コントロール)「校内・授業時のルールに沿った行動ができない」に対する配慮も必要な児童 でもあった。そこで実施者 G は,項目 4~6,20 に対して「文具の名前を書くカードを,遊びやサイレントゲームで使ったり,活動内容の説明時に繰り返し提示したりしたことで,初めて見ることや触ることを無い状態にする。」という配慮を実施した。その上で,項目 10~13(書く)「板書の際(見て, 書く)に,著しく時間がかかる」「文字や数字を書くときに,線からはみ出すことが頻繁にある」「文字や数字の大きさや形が極端に整わない」「文字や数字の細かい部分を書き間違えることが多い」の4 項目に対し,1 時間目の授業で複数のなぞり書きを実施したところ,裏なぞり書きにすんなり取り組む様子が観察された。そこから,2 時間目の授業に向けて,「他の教科でも複数のなぞり書きをクラス

全員で経験する。」「文字でも絵でも言葉でもよいことを伝え,取り組みやすくする。」という具体的な手立てを立てて授業実践を行った。その結果,自分で表すことができる方法を選んで取り組むことができている様子が観察された。これは,書くことに困難さが目立つ児童ではあったが,チェックリストの聞く・話す,行動コントロールの項目の困難さが他にも明らかになり,実施する手立ての優先順 位を実施者 G が見極めたことが功を奏したと考えられる。

今回の事例を集めるのに使った個別の指導計画では,「学習活動で予想される児童の姿」の項目で実施者 F とG は異なる内容を記述していた。実施者 F は対象児童の予想される動きについて記述しており,実施者 G は期待する児童の動きについて記述していた。これは「学習活動で予想される児童の姿」の項目の記述内容の捉え方が実施者 F と G で異なっていたことが原因と考えられる。今後の調査では,チェックリストの結果に基づいた個別の指導計画のフォーマットについて,具体的な書き方を現場の教師に示す必要がある。今回は少数の事例の取り組みであった。今後はチェックリストを活用した英語の授業づくりを数多く行い,チェックリストの実用性や活用を検討する必要があると考える。

まとめと今後の課題

研究 1 では,山口ら(2021),佐藤ら(2021)で作成した発達障害児の感覚処理の困難の評価を行うための観察項目をもとに,特に英語の授業における適応行動につまずきのある児童を簡易スクリーニングするチェックリストを作成し,それぞれの項目に対して,テスターの観察を補助するための困難例と支援に役立てるための手立て例の作成を行った。その結果,作成したチェックリストは自立活動 の 6 区分のうち,5 区分を網羅していることを確認できた。今後は自立活動の 6 区分 27 項目を網羅した具体的な困難例や手立て例の作成をさらに進めることが課題だと考える。

研究 2 では,研究 1 で作成したチェックリストを使って,その妥当性,信頼性,実用性の検討を試みた。十分な数の分析ではなく,課題は残したものの,作成したチェックリストの妥当性,信頼性, 実用性の確認を行うことができた。しかし,下位領域「感覚」の評価が難しかったこと,学年ごとに

「要支援」,「要配慮」,「通常対応」と判定する基準を定められなかったことが課題だと考える。

研究 3 では,作成したチェックリストを使ったアセスメントに基づく英語の授業実践を報告することができた。日頃の学校生活で困難さは見られていたが,チェックリストを実施することで,その困 難さが目に見える形で明らかになり,それに対する手立てを講じて,授業実践をすることができた。授業に参加する対象児童の変化を観察できただけではなく,次の授業に対する手立ても講じやすくなった。アセスメントに基づく指導と評価の一体化を図り,授業改善に資することができた。また,最初は困難のある児童を対象にした手立てを,次の授業からクラス全員が経験する手立てにして実施した授業実践もあった。これは,クラス全員が学びやすい学習環境にもつながると考えられる。

小学校の英語は平成 23 年度から高学年の外国語活動に導入されたばかりで,授業づくりの知見は他の教科に比べて極めて少ないのが現状である。更に,感覚処理の困難さが原因で授業における適応行動や学習につまずきのある児童の対応も同時に求められており,そのような児童に対して現場の教師が容易に使えるアセスメントツールが少ないことが課題である。今後は,チェックリストを活用し たことで対象児童へアプローチしやすくなった実践や,学級経営を支援した実践を集めて,チェックリストを活用した英語の授業実践を広めていきたい。

謝辞

本課題研究は小学校英語教育学会課題研究プロジェクトとして行われました。心より感謝申し上げ ます。また本研究で作成したチェックリストを使った調査は,複数の小中学校関係各位,及び株式会社 KB が運営する放課後等デイサービス事業所の皆様にご協力を得ました。深く御礼申し上げます。

付記

本課題研究で作成したチェックリストは,本学会ホームページ「課題研究委員会」のページに掲載して頂きました。使用においての注意事項も併せて記載されていますので,ご活用下さい。

引用文献

橋本創一・熊谷亮・大友潔・林安紀子・菅野敦(2014).『ASIST 学校適応スキルプロフィール―適応スキル・支援ニーズのアセスメントと支援目標の立案』福村出版.

林田宏一・齋藤佑奈・岡野恵子・可児恵(2021).「ASIST 学校適応スキルプロフィールを用いた個別支援計画作成:放課後等デイサービス事業所における標準化されたアセスメント導入の試み」『岐阜大 学教育学部特別支援教育センター年報』第 28 号,19-24.

池谷幸子・村瀬忍・林田宏一・池谷尚剛・板倉寿明(2017).「日常生活における有色レンズの使用事例の検討」『岐阜大学教育学部研究報告.人文学科』第 65 巻,第 2 巻,111-117.

岩永竜一郎(2015).「第 5 章 感覚や運動のアセスメント」黒田美保(編著)『これからの発達障害のアセスメント―支援の一歩となるために―』(pp. 54-66)金子書房.

熊谷亮・橋本創一・田口禎子・徳増由季子・三浦巧也・堂山亞希・秋山千枝子(2013).「学校における発達支援の視点に立った適応スキル尺度作成の試み―ASIST 学校適応スキルプロフィールの開発に向けた基礎的研究-」『東京学芸大学紀要 総合教育科学系Ⅱ』第 64 巻,第 2 号,265-276.

文部科学省(2018).『特別支援学校教育要領・学習指導要領解説自立活動編(幼稚部・小学部・中学部)』.

http s://www. mext.go. jp/content/20220426-m ext_tokubetu01-100002983_9.pdf

中山茜・岩永竜一郎・十枝はるか(2012).「学校版 感覚・運動発達アセスメントシートを使った広汎性発達障害児の感覚面の評価-パイロットスタディ-」『感覚運動研究』第 14 巻,53-58.

佐藤玲子・山口真佐子・林田宏一・会田信子・大槻友紀・川﨑育臣・四方堂欣美・松津英恵・三田祐太(2021).「学習者の特別なニーズと英語教育のおける学習支援・指導― 観察項目表を使っての学習者把握から―」JES 関東・埼玉大会,発表資料.

辻井正次(2014).「第 1 章第 1 節 1-3 アセスメントツールを用いることの重要性(1):数値化することの意味」村上隆(編)『発達障害児者とアセスメントガイドライン』(pp. 23)金子書房.

辻井正次(監修)(2015).『日本版感覚プロファィル SP』.日本文化科学社.

辻井正次・村上隆(監修)(2014). 『日本版 Vineland™-II 適応行動尺度』日本文化科学社.

山口真佐子・佐藤玲子・林田宏一 (2021).「発達障害児の感覚処理の困難の評価ツール:自立活動「環境の把握」を観点とする観察項目作成の試み」『明星大学明星教育センター研究紀要』第 11 号,1-8.

 
© 小学校英語教育学会(JES)
feedback
Top