抄録
森林資源を扱う学術研究において,その視覚的要素に関する研究は行われているものの,森林の聴覚環境に関する学術研究は存在しなかった。本研究では,その森林の聴覚環境を扱ってゆくに当たって,序論では「森林資源を扱う学問においてその聴覚的要素を扱う学術分野を創出すること。」と「森林の聴覚環境という新たな資源概念を創出すること。」を課題として設定しサウンドスケープ論の視点から考察を行い,サウンドスケープデザインではその研究の方向性を明確にすることを課題として設定し考察を行った。序論においては公共空間(公園等)の性格より考察した結果,公共空間の景観が資源利用であることから,森林資源の聴覚環境を扱う学術分野と森林の聴覚環境という資源概念を提案した。また,サウンドスケープデザインにおいては公共空間のサウンドスケープ研究と森林空間のサウンドスケープ研究という二つの方向性について明示した。