林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
Print ISSN : 0285-1598
最新号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 2026 年72 巻2 号 p. Cover_1
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 2026 年72 巻2 号 p. Toc_1
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 伊藤 幸男
    2026 年72 巻2 号 p. 1-12
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,素材生産業の資本としての性格とその規定要因及び現段階について検討した。次の4点が明らかとなった。1点 目は,原木市場が大型木材加工資本によって寡占化され,商人的な利潤獲得機会が消滅した。2点目は,前期的といわれた立木購入は,今日は伐採対象の確保のためであり,大規模事業体ほど立木購入を行っている。3点目は,遅れた存在として残存していると見られていた小規模事業体は,むしろ普遍的に存在する。4点目は,素材生産業は地域労働市場と原木市場に規定され,自由な移動が制限される。そのため育成的林業段階では山林経営に繰り込まれる。しかし,現状の林業は採取的とも言える状況にある。素材生産業者は,かつてないほど大型木材加工資本との結びつきを強めることで,国産材供給量の増加に寄与した。しかしそれは,戦後最低水準の立木価格を前提としたものであり,結果として土地所 有の優越性を克服した形となった。素材生産業は産業資本的な規模拡大を果たしたが,それは必ずしも小規模事業体を 駆逐するものではなく,不可欠な存在として構造化されている可能性がある。
  • 奥山 洋一郎
    2026 年72 巻2 号 p. 13-25
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,主伐・再造林期における地域の森林資源の持続的な管理と利用を推進する担い手としての森林組合の新しい 役割を議論する。森林組合統計から,業務の重心が森林整備事業から林産事業へと移動していること,そして作業種別 でみると間伐(切捨間伐・利用間伐共に)が減少し,主伐による木材生産と造林に作業の主体が移行していることが明 らかになった。主伐・再造林が進む鹿児島県において,全国と比較して次の特徴がみられた。(1)森林整備事業での切 捨間伐,林産事業での利用間伐が大幅に減少,(2)造林の投下労働日数は純増,特に下刈りの大幅な伸び,(3)作業内 容の主伐・再造林への急速な移行である。鹿児島県の森林組合(離島を除く10森林組合)を対象とした事例調査の結果, 各地で主伐による木材生産量が増加しており,間伐から主伐に事業の主軸が移行していることが明らかとなった。今後 は,森林組合がコスト意識を保持しつつ,同時に地域の多様な主体と連携して森林資源を適切に管理する共同体を緩や かに構築していく必要があり,その中核的な主体として森林資源の将来に対する責任を果たすことが求められる。
  • 注意義務と森林経営への意欲に着目して
    御田 成顕
    2026 年72 巻2 号 p. 26-38
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    森林所有者の経営意欲が減退するなか,素材生産事業体への期待と責任が高まっている。本研究では,素材生産事業体 が,伐出資本としての注意義務の「深化」と,政策的要請にもとづく森林経営参入という役割の「拡張」を同時並行的に進展するなかで,いかなる行為規範が形成されるべきかを検討した。全国の民間素材生産事業体(2,878事業体)を対象にアンケート調査を行い,604(21.0%)の有効回答を得た。分析の結果,(1)「業界慣行としての注意水準」と「実践の困難さ」にもとづき伐出に関わる作業項目を四類型化し,素材生産事業体に求められる注意義務の範囲を明らかにした。(2)森林経営参入に関しては,素材生産事業体の半数以上が森林を所有し,経営面積を拡大させている実態と,受託よりも所有による経営を志向する傾向が明らかになり,他律的な注意義務の「深化」が,所有を伴う責任の内在化へと変容する過程が示唆された。素材生産事業体が目指すべき行為規範とは,「注意義務の深化を前提とし,最終的に所有を伴う経営主体としての自律性を確立すること」に集約されると考えられた。
  • ヤマイヌをめぐる言説の混乱とその背景
    植松 朔子, 竹本 太郎
    2026 年72 巻2 号 p. 39-54
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,かつて広く用いられていた「ヤマイヌ」という呼称が,近年ではイヌやオオカミ,あるいはその混血として再解釈されつつある状況を踏まえ,その呼称が歴史的にどのように理解され,最終的に「ニホンオオカミ」へと収束したのかを検証するものである。国立国会図書館デジタルコレクション等から収集した404件の資料を対象に,ヤマイヌをめぐる解釈を①日本のオオカミ,②野生化したイヌ,③オオカミとイヌの混血,④オオカミでもイヌでもない獣,の4つのタイプの言説に整理した。また,対象時期を,「豺」の語,本草学の導入以降,リンネ式分類体系の導入以降,形態学的研究の開始以降という3時期に区分し,各時期における言説の傾向と,学問・社会的背景との関係を分析した。結果,各時代を通じて言説は併存したものの,外来の学問の受容や日本犬保存会の活動が解釈の変遷に大きく影響していたことが明らかとなった。「ヤマイヌ」から「ニホンオオカミ」への呼称の転換に伴い,ヤマイヌの解釈は次第にオオカミへ限定され,学術資料から姿を消していった。ニホンオオカミの誕生は,ヤマイヌの多義的な実態からオオカミ的な側面のみを抽出した結果であった。
  • 郡上市皆伐施業ガイドラインを事例に
    松田 笙太郎, 石崎 涼子
    2026 年72 巻2 号 p. 55-67
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,日本では伐採量が増加しており,不適切な森林施業を防止するための施業規制の重要性が高まっている。岐阜県 郡上市では,郡上市皆伐施業ガイドラインを策定し,皆伐のコントロールを実施している。本研究では,このガイドラインにおいて,どのように科学的な適切性が取り入れられ,また地域主体にどのように受け入れられているのかを検討した。「科学性」「地域性」「実効性」「地域主体の受容」の4つの観点から分析を行った結果,専門家の科学的知見や地域の状況が反映されていること,実効性や継続性が評価できること,地域主体の関係主体による施策の受容がなされていることなどが明らかになった。以上から,郡上市皆伐施業ガイドラインは,不適切な施業の抑制による環境への悪影響の低減が期待できる制度となっていると考えられる。
  • 熊本県阿蘇市の事例に基づいて
    白石 智宙, 竹内 亮, 嶋田 大作
    2026 年72 巻2 号 p. 68-79
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    採草・放牧・火入れという人為的攪乱により形成され,維持されてきた国内の半自然草原が過少利用により面積を減ら している。本研究は,熊本県阿蘇市の事例に基づき,日本型直接支払を構成する3つの直接支払における半自然草原の維持管理に関わる活動の位置づけを整理し,過少利用下においてこれら活動を支えているメカニズムを明示した。そしてその運用の実態を分析し,以下の2点を明らかにした。第一に,日本型直接支払の制度設計は半自然草原における農業生産活動の二層構造に対応できていた。そのなかで,とりわけ過少利用下にある半自然草原において,将来的な農産物生産の可能性を維持する活動に対する支払いが組み込まれていた。第二に,直接支払の運用方針や再配分ルールの策定,集落協定と活動組織の広域での設立により,複数の直接支払の間で補完関係が構築され,直接支払を受ける現場レベルで総合化されることによる統合的運用が可能となっていた。一方で,有畜農家の減少や維持管理の担い手の高齢化と減少が進むなか,農業生産活動への支援を通じた半自然草原の維持という制度が前提とする構造の対応は,今後の研究課題となった。
  • 宮崎県木城町中之又地区を事例として
    井上 果子, 関 遥香
    2026 年72 巻2 号 p. 80-93
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本論は,人口減少と高齢化が著しく進んだ山村において,いかに地域に通う多様な人々とともに地域を受け継いでいく ことができるのか,事例研究を通じ,実態を把握し,「通い住民」(二地域居住を含む)とつくる山村コミュニティの可能性を検討するものである。具体的には,地域外から地域に関わる人々の規模が居住者数より上回るようになった宮崎県木城町中之又地区の事例をとりあげ,その実態を把握する。地域の田畑や空き家管理,祭り等の伝統行事の運営といった地域の共同体として地域文化を伝承する営みがどのようにコミュニティやアソシエーションによって結ばれる多様な人々に支えられているのか明らかにすることを目的とする。山村の現状と将来を見据え,都市と山村のどちらも選択する「通い住民」との協治の実際を提示する。さらに,通い住民とともに伝承されている地域資源管理や地域文化伝承の実態をとらえ,その中に見出しうる修正拡大コミュニティと現代的ローカル・コモンズの特徴を考察する。
  • 多重離散連続極値モデルによる検証
    千葉 泰史, 栗山 浩一, 庄子 康
    2026 年72 巻2 号 p. 94-103
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,自然の多様な価値は,道具的価値,内在的価値,関係的価値の三類型として国際的に整理されている。本研究の 目的は,これら3つの価値が,日本の国立公園における訪問行動にどのように反映されるのかを明らかにすることであ る。具体的には,全国の一般市民を対象としたWebアンケート調査の結果を使用し,国立公園選択と訪問回数を同時に 扱うことが可能な多重離散連続極値モデルに潜在クラスモデルを併用して分析を行った。分析の結果,関係的価値(自 己)および関係的価値(利他)が,性別や年齢とともにクラス所属に有意な影響を及ぼし,訪問行動の異質性が示され た。一方で,内在的価値に関しては,訪問行動への直接的な影響は確認されなかった。また,道具的価値の観点からは, 世界遺産指定が利用者に経済的便益をもたらしていることが示され,世界遺産指定の維持を裏付ける経済的根拠が得ら れた。本研究は,自然の多様な価値を反映させた国立公園管理の必要性を示すとともに,関係的価値を育む体験の提供 が,国立公園の利用と保全の両立,さらには世界遺産指定の維持において重要な鍵となる可能性を示唆している。
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