林業経済研究
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中国南部林区における木材流通に関する研究(1996年秋季大会自由論題論文)
呉 鉄雄笠原 義人
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1997 年 43 巻 1 号 p. 99-104

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抄録
本論文の課題は中国南部林区の木材流通構造と木材価格に絞って1985年の木材市場開放前後の変化と問題点を明らかにすると共に,今後の木材流通構造の展開方向を検討することである。1985年以前の木材流通は,高度集中管理のため,木材価格が低く,農民の林業生産意欲を著しく低下させた。木材市場開放後に木材価格が上昇したが,流通秩序が悪化し,森林の乱盗伐をもたらした。その後,木材市場の管理を再び強化したが,農民の林業収入は増加せず,乱盗伐問題を根本的に解決することはできなかった。今日の木材流通で改革すべきことは県木材公司が木材代理販売業者としての役割に専念して,木材の統一買い上げを行うことである。また,今後の課題としては,(1)農民が安心して林業経営に取り組めるように林業所有制を確立すること,(2)木材の生産性を引き上げるために農民が協同的な組織を作り,林業機械などを共同的に使用すること,(3)国や地方政府の税収政策を改善し,木材販売利益の分配の合理化させること,(4)国家の補助により製材業を発展させること,等を指摘した。
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© 1997 林業経済学会
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