2002 年 48 巻 1 号 p. 3-6
日本林業は壊滅寸前であるが,森林の価値についての認識は高まっている。森林にさまざまな価値があるにもかかわらず,木材生産としてしか,さまざまな価値に対する対価を得られないところに矛盾がある。しかし水源涵養等の機能は,天然林でも果たされるものであるから,その対価を人工林を主とする林業が要求できる論拠はなく,むしろ林業が自然の破壊者として振る舞ってきたことのほうに問題がある。狭い意味での林業が要求できるのは木材生産,大気炭素固定および国際的森林破壊問題に対処するための国内森林林業整備に対してである。林業が自然破壊者であることを止め,持続的生産をはかり,人工林造成だけでなく広葉樹の二次林保育など天然林施業,さらには自然公園としての活用等林業の範疇を広げることによって必要性への展望は広がる。木材生産・販売を改善する必要がある。