林業経済研究
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フィンランド森林管理賦課金制度の生成・展開・終焉
山本 伸幸
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2014 年 60 巻 2 号 p. 25-32

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抄録

1950年,フィンランドにおいて森林管理組合法が成立した。本法律で新たに制定された森林管理賦課金は,森林所有者に強制的に課された賦課金を原資として,森林管理組合の所有者サービスを行う制度である。森林管理賦課金によって財政面の大きな支えを得た森林管理組合は,フィンランド林業の戦後発展の一翼を担ってきた。しかし,1990年代以降の市場自由化の流れによって,森林管理賦課金制度の性格は徐々に変質する。2011年に成立した中道・左派連合のカタイネン政権は森林所有者自身の責任と裁量を増やす方向に政策の舵を切り,森林管理賦課金制度は2015年についに廃止されることとなった。本小論では,公益私益のはざまを揺れながら展開してきた森林管理賦課金制度の成立から終焉までを論じる。

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© 2014 林業経済学会
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