抄録
東日本大震災が福島県相双地方の林業・木材産業に与えた影響と復興過程における森林・林業行政の取り組みを明らかにした。結果,相双地方では原発事故に伴う避難指示区域の設定の影響で,震災からの1年間で林業生産活動が急激に低下した。復興過程では3つの対策が重点化された。森林の再生対策では,ふくしま森林再生事業が事業化され,企画立案や市町村支援は県が主導した。木材の生産振興対策では,県産材表面線量確認調査が企画され,県は定期的に製材工場を訪問して安全性を確認したほか,需要拡大に取り組んだ。きのこ類の生産振興対策では,県は緊急時環境放射線モニタリング検査を踏まえた生産指導を行った。諸施策が実現・機能した背景には県の関わりがあった。相双地方の林業・木材産業は震災前の状況に戻っていないが回復の兆しがみられた。今後の課題として,林業に関わる労働者の不足が指摘された。