2021 年 17 巻 1 号 p. 65-69
骨盤臓器脱に対する手術はメッシュを使用しない従来法(Native Tissue Repair:NTR)とメッシュを使用するメッシュ法に大きく二分される。メッシュを使用しないNTR の場合、メッシュ法に比すると再発率が高いとされている。今回当院におけるNTR のうち、腟式子宮摘出と腟壁形成を施行した群(腟式根治術とする)の早期再発症例における再発因子について検討した。2017 年1月から2018 年9 月までに当院で腟式根治術を施行した80 例のうち、POP-Q stage3 以上の再発を認めた症例は9 例(11.3%)であった。再発群と非再発群について比較検討したところ、年齢、BMI、手術時間、出血量、検体重量に有意差は認めなかった。術前POP-Q のstage分類では3 に比べると4 の方が有意に再発率は高かった。またAa・Ba・C に差は認めなかったが、Ap・Bp・D は有意に再発群の方が大きく、後腟壁も脱出する重症骨盤臓器脱は再発因子となることが示唆された。重症骨盤臓器脱に関しては、術式のさらなる工夫が必要であると同時に、他の術式選択も考慮するべきだと考えられた。