日本女性骨盤底医学会誌
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腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)後にメッシュ感染を来した3 例
齋藤 研祐石塚 貴紀松野 真莉子吉村 和晃
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2023 年 19 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

骨盤臓器脱における腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)は現在広く普及しつつある再発の少ない術式である。しかし今回、短期間で脊椎椎間板炎や後腹膜膿瘍など術後メッシュ感染症例を計3 例経験した。

症例1 は64 歳、シングルメッシュLSC 術後11 日目に発熱と腹痛が出現、術後12 日目に術後感染の疑いで入院となった。MRI 検査でメッシュに沿う膿瘍を認め、メッシュ感染の疑いで腹腔鏡下メッシュ除去術を施行。現在に至るまで感染および骨盤臓器脱の再発を認めていない。

症例2 は74 歳、ダブルメッシュLSC 術後4 日目に発熱と腰痛が出現。抗菌薬投与で著明な改善を認めず、MRI 検査でL5-S1 の脊椎椎間板炎と診断した。経腟的メッシュ感染に付随して発症した脊椎椎間板炎と診断し、腹腔鏡下メッシュ除去術を施行した。術後合併症は無く、現在まで感染および骨盤臓器脱の再発を認めていない。

症例3 は71 歳、シングルメッシュLSC 後13 日目に食思不振で来院、経腟超音波検査で骨盤内に膿瘍形成を認め炎症反応上昇もあり緊急入院した。MRI 検査で後腹膜膿瘍を認めメッシュ感染の疑いで腹腔鏡下手術を施行した。術中に仙骨前面からダグラス窩に及ぶ巨大な膿瘍を認めた。現在に至るまで感染および骨盤臓器脱の再発を認めていない。

LSC 術後のメッシュ感染では早期のメッシュ除去術が有効である。しかしメッシュ除去により骨盤臓器脱は無治療の状態となり、その後の治療はより困難となるため、感染自体を避けることが肝要である。

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