日本女性骨盤底医学会誌
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女性泌尿器科外来で遭遇した傍尿道平滑筋腫の2例
黒須 春香加藤 久美子百田 絢子佐井 裕紀松山 愛佳加藤 隆井上 聡平林 裕樹鈴木 省治
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2023 年 19 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

女性泌尿器科外来で2 例の女性傍尿道平滑筋腫に遭遇した。症例1 は29 歳未産婦で、尿道痛と外尿道口腫瘤を主訴に紹介された。台上診で外尿道口に17 × 10mm の鮮紅色の腫瘤を認めた。尿道カルンクルに類似するが好発年齢より若くやや硬かったことから手術を勧めたが患者が躊躇した。6 ヵ月後は18 × 13mm に増大し、MRI ではT1 強調像で低信号、T2 強調像で軽度高信号の内部均一、境界明瞭な腫瘤で、悪性を示唆する所見はなかった。 外尿道口の3 時方向から発育していた腫瘤を基部から5mm 離して切除した。症例2 は64 歳経産婦で、腹圧性尿失禁のため紹介された。台上診で咳ストレステスト陽性、尿道過可動、前腟壁の親指大、弾性軟の腫瘤を触知した。 ビデオウロダイナミクスで膀胱過活動はなく尿流動態性腹圧性尿失禁を確認した。MRI は行わなかった。前腟壁に正中切開を入れ、TVT 手術のテープを挿入する前に尿道6 時方向に接する腫瘤を経腟的に切除した。両例の病理結果は平滑筋腫で、術後経過は良好であり観察期間中に再発を認めなかった。症例2 の腹圧性尿失禁は治癒した。女性尿道平滑筋腫は比較的少ない疾患で、症状は腫瘤触知、排尿障害、外陰部出血などで無症状のものもある。泌尿器科や婦人科の日常診療で遭遇する可能性があり、尿道カルンクルなどのほか悪性腫瘍との鑑別が必要となるため、疑いがあれば手術、生検で病理学的評価を行う必要がある。

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© 2023 日本女性骨盤底医学会
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