日本林学会大会発表データベース
第114回 日本林学会大会
セッションID: C21
会議情報

T3 林政分野研究の課題と展望
林業地代論分野における課題
戦後林業地代論研究の論点及び到達点から
*小山 淳哉
著者情報
キーワード: 地代論, 二範疇林業
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

 石渡貞雄「林業地代論」(1952)以後、林業経済分野における理論研究の多くは地代論の枠組みの中で進められてきた。その中で大きな課題は、採取と育成という2つの異質の生産方法を持つ林業の産業的特殊性が、地代の、そして、木材価格の形成にどのように影響するのかを明らかにすることであったと言えよう。石渡地代論に続いて、この分野には多くの研究蓄積があり、論争の前後で論点も変化している。 今回、この研究分野とみなしたものは、林業における地代形成を扱った、またはそれを基礎とした論文ないし文献である。議論の中のに問題を整理し到達点を明らかににした上で、今日解決すべき課題は何かを考えたい。したがって、方法としては、これまでの議論の中にある問題、論点について整理していくが、多くの問題を以下のように2分する。1つは、林業において生じる地代論を考察するために必要な、地代形成に直接関わる諸問題、これには、林業における豊度の概念、採取林業における差額地代第二形態、地代論の前提条件としての、資本・技術・面積一定条件、そして、林道投資、他をめぐる議論がある。もう1つは、地代の考察にとどまらず、林業論に発展すべき、より広範な、すなわち、二範疇林業論、育成林業資本の成立条件、木材市場価格決定他の問題である。このように問題群を2分した後、一連の論争を経て提起されているとみなされる、重要なものを総括的課題としてとりあげる。 今回の報告で検討対象となる主要な論者は、石渡貞雄、鈴木尚夫、高橋七五三、岡村明達、半田良一、村尾行一、奥地正、北尾邦伸、柳幸広人、泉英二、他である。 

著者関連情報
© 2003 日本林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top