はじめに)保育作業の省力化が可能であることや,森林の持つ公益的機能を発揮する効果が高いことから,複層林施業に対して社会的な関心が高まっている。このため,複層林施業に適する耐陰性種苗の供給が求められている。このような背景から,関西地区林業試験研究機関連絡協議会育種部会の共同研究によって,庇陰された生育条件下におかれた時に,1)全光下に比べて成長の落ち込みが少ないこと,2)樹高成長と直径成長のバランスがとれていること,3)枯死しにくいことを基準として,関西育種基本区内で選抜されたスギ・ヒノキ精英樹の中から,スギ19クローンとヒノキ15家系が耐陰性系統として選抜されている*)。今回は,これらの耐陰性系統を樹下植栽し,1・2成長期後の樹高成長量を調査したので報告する。この研究は,林木育種センター関西育種場と四国森林管理局森林技術センターが共同でおこなった。