抄録
四国の低山帯では、人間による強度の森林利用のために老齢天然林が極度に断片化している。こうした森林利用が森林性の鳥類群集に与える影響を明らかにするために、四万十川流域の20林分において繁殖期の鳥類群集をテリトリーマッピング法で調査して、種構成を比較した。老齢天然林は壮齢二次林、壮齢人工林と比べて生息種数は同程度であったが、老齢天然林では樹幹利用者や樹洞営巣者が他のタイプの森林よりも多かった。樹幹利用者や樹洞営巣者には多くの希少種が含まれていた。人為的な森林の改変が、これらの種の生息地を制限している可能性が高いと考えられる。