日本林学会大会発表データベース
第115回 日本林学会大会
セッションID: P1013
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生態
縞枯れ林における地上部純一次生産量と細根生産量との関係
*岩本 宏二郎石塚 森吉鵜川 信壁谷 大介荒木 眞岳
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抄録

亜高山帯針葉樹林における生育段階の違いに伴う細根純生産量の変化を明らかにし、地上部純生産量との関係を検討することを目的として北八ヶ岳縞枯山斜面にて調査を行った。更新初期、成長期、衰退期の林分に調査区を設置し(それぞれS区、I区、S区)、細根の純生産量をイングロウスコア法を用いて推定した。また、現存量および地上部各器官の純生産量を伐倒調査、毎木調査およびリター量調査により推定した。細根純生産量は調査区によって差があり、I区よりもM区で有意に小さかった(p<0.05)。また、細根現存量はI区、M区よりもS区で小さくなっており、細根現存量平均値に対する細根純生産量平均値の割合は、S区でもっとも大きく(9%)、I区(7%)、M区(6%)の順で小さくなっていた。一方、地上部現存量はM区、I区、S区の順で小さくなっていた。また、地上部純生産量はI区よりもM区でやや小さかった。これらの結果から、縞枯れの前線部に位置し今後枯死が進行すると考えられるM区ではI区と比べて地上部と細根の両方とも純生産量は減少するが、その違いは細根においてより顕著であると考えられた。

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© 2004 日本林学会
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