日本林学会大会発表データベース
第115回 日本林学会大会
セッションID: P3014
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造林
カツラ、ナナカマド、ミズナラなどブナ帯広葉樹の伏せ植えについて
*中野 葉月本江 一郎鍛代 邦夫赤堀 文則
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抄録
_I_ はじめに 多雪地帯に苗畑で育苗したブナの植樹を行うと、雪圧のため折損する被害が発生する。そこで雪圧を回避するために植栽時より伏せて植栽する方法を開発してきた。この方法により枝がそれぞれ主軸となり多数の苗木を植えたことと同じようになることから、ウサギによる食害も相対的に少なくなると予想される。さらに形成した主軸は雪圧にも耐えることができた(1、2)。 今回はカツラ、ナナカマド、ミズナラ、ヤマモミジ、ヤマボウシについても伏せ植えの可能性を検討した。_II_ 方法 2002年10月、新潟県十日町市当間山山麓にブナ、カツラ、ナナカマド、ミズナラ、ヤマモミジ、ヤマボウシの伏せ植えを行い、雪解け後の5月に起き上がりを防ぐ為、苗高の3分の2の所にビニールシートを被せ、土を盛った。 測定はブナ172本、カツラ30本、ナナカマド11本、ミズナラ43本、ヤマモミジ10本、ヤマボウシ7本を用いた。 今回は生長休止期の10月に冬芽長、当年主軸長、萌芽の有無を測定した。植栽苗木の活着の判定は先端において冬芽が形成されている苗木ないし、根元付近から萌芽が観察されるものを活着とした。_III_ 結果と考察 図_-_1に示したように、植栽苗木が生存し、かつ活力の高い苗木は先端が起き上がり、また根元付近においても萌芽が観察された。活力の低い苗木は先端が枯死し、地際からの萌芽も少量であった。 図_-_2より、生存率はブナ、カツラ、ナナカマドが高く、ミズナラ、ヤマモミジ、ヤマボウシの順に低くなっていた。生存していた苗木の中で、新梢が形成され、さらに地際付近からの萌芽が観察される活力の高い樹種は図_-_3のようにブナ、カツラ、ナナカマド、ヤマボウシであった。ミズナラは約50%が地際部からの萌芽と新梢の生長が確認された。ヤマモミジにおいてはすべて地際部分からの萌芽であった。 以上のことからブナ、カツラ、ナナカマドは伏せ植えが容易であり、ミズナラ、ヤマボウシ、ヤマモミジについては生存率を上げるための改善が必要であることが明らかになった。引用文献 (1) 秋山哲司・本江一郎ほか:日林論109(1998)279_から_280 (2) 秋山哲司・本江一郎ほか:第110回日林学術講(1999)103
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© 2004 日本林学会
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