黒点枝枯病菌(Stromatinia cryptomeriae)はスギ,ヒノキ及びコノテガシワの各雄花を侵入部位としていることから,本菌の特異な感染戦略が指摘された。そこで,スギ,ヒノキ及びコノテガシワの雄花から菌類を分離し,各樹種における雄花生息性菌類を明らかにするとともに,本菌がどの様な菌類と競合しているかを検討した。その結果,3樹種の雄花に生息する菌類には季節を通して大きな変化はなく,Pestalotiopsis sp. ,Epicoccum sp.及びCladosporium sp.が普遍的に雄花に生息する菌類であることが判明した。また,黒点枝枯病菌は,Pestalotiopsis sp.,Epicoccum sp.及びCladosporium sp.と共存し,特に,花粉飛散中及び終了後の雄花内において,旺盛に増殖することが推察された。