抄録
スギの不定胚形成細胞は不定胚形成を経て個体を細分化する能力が高い。そのためにクローン苗の大量増殖に利用可能である。また、遺伝子組換えスギを作成するために用いられている。しかし、細胞の継代培養期間が長くなるに従い、再分化能力が減少することが問題であり、1年以上経過すると多くの場合個体細分化能力がなくなる。この問題を解決するためには、液体窒素を用いた超低温状態で細胞を保存する方法の開発が必要である。本研究では、凍結防御剤(グリセリンとショ糖の溶液)に浸漬処理した細胞をフリーザー(−30℃)に一定時間保持して予備凍結を行い、その後に液体窒素中で急速冷却する簡易凍結法を試みた。この方法は非常に簡便な方法である上に、これまでに検討した乾燥法に比べると保存後の細胞の増殖率が高いことが明らかになった。一方、供試する細胞株により増殖率が異なるので、多種類の細胞株を保存するためには手法の改良が必要である。