抄録
生物多様性を保全するためには多額の資金が必要である。とりわけ,財政基盤の弱い途上国では自力で生物多様性を保全するための資金を確保することは困難である。そこで,従来の政府を中心とした保全策を見直すとともに,私たちの経済活動自体が生物多様性や生態系サービスを考慮して,持続可能な社会へと転換することが求められている。 そのためには,現在は認識されていない生態系サービスの価値を適切に評価し,新たな市場を構築することが不可欠である。そこで,本報告では生態系サービスの価値を金銭単位で評価したこれまでの実証研究を整理し,生物多様性の喪失によって社会が被るコストを把握することで,生態系と生物多様性を保全することの社会的意義を示す。