日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: H08
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森林の分子生態学 ―新たな地平を目指して―
染井吉野およびその関連品種の系統関係に関する研究
*加藤 珠理松本 麻子吉村 研介勝木 俊雄岩本 宏二郎河原 孝行向井 譲津田 吉晃石尾 将吾中村 健太郎森脇 和郎城石 俊彦五條堀 孝吉丸 博志
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抄録

‘染井吉野’はサクラの栽培品種のなかでも特に馴染み深い花木であり、その起源については様々な研究分野において熱心に調べられてきた。著者らは昨年の森林学会において、核SSRマーカーを用いたDNA多型分析を行い、‘染井吉野’の起源について再評価した。その結果は、‘染井吉野’の起源にエドヒガンとオオシマザクラが関与し、他の野生分類群が関与する可能性は低いことを、改めて示すものであった。本研究では、更に詳細な解析を行い、‘染井吉野’がオオシマザクラとエドヒガンの雑種第一代である可能性が高いことを明らかにした。また、‘染井吉野’と他の栽培品種の遺伝子型を比較したところ、‘染井吉野’が片親であるとされる栽培品種(‘衣通姫’、‘咲耶姫’、‘仙台吉野’など)だけでなく、DNAの突然変異などを考慮して数座のミスマッチを許容する場合、サトザクラ系の栽培品種のいくつかについても親子関係が成立し得ることがわかった。これらの栽培品種は、‘染井吉野’と直接の親子関係を持たないかもしれないが、何らかの血縁関係はあると考えられ、‘染井吉野’とサトザクラ系の栽培品種の作出過程に共通の親個体が関与している可能性が高い。

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© 2013 日本森林学会
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