平成21年に林野庁が発表した森林・林業再生プランでは、森林の持つ公益的機能を最大限に発揮させるため、各市町村が独自の市町村森林整備計画を策定することが求められている。一方、林業経営の採算性の悪化とシカの食害により、全国各地で消極的な選択として長伐期施業が推進されている。本来、長伐期林は長期的な成長が見込めるとともに、病虫害や災害のリスクが少ない場所で実施すべきである。本研究では、三重県大台町の実態に沿った市町村森林整備計画の策定に貢献すべく、GISを用いて長期的な成長が見込める自然立地を把握し、立地環境に基づく森林ゾーニングを行うことを目的とした。具体的には、樹種本来の適地と考えられる天然林における自然立地の評価とともに、人工林の虫害による立地環境評価を用いて、長伐期施業に適した場所の選定を試みた。また、人工林の成長による立地環境評価と、現存する路網の配置を考慮して、経済性の観点から短伐期施業に適した場所の選定を試みた。さらに、それ以外の場所については広葉樹などへの林相転換の候補地とした。本手法により、市町村森林整備計画策定の指針となるゾーン区分図を作成した。