抄録
ヤスデはリターや土壌の摂食を通じて土壌の窒素循環へ影響する。気温上昇はヤスデの摂食行動を改変し、土壌の窒素循環や窒素を成長に必要とする植物の成長へ影響しうる。一方、一概にヤスデといっても体サイズにより気温上昇への感受性は異なる。そこで、体サイズの異なるヤスデ種が生息する系では、気温上昇時にリター分解や土壌中の窒素条件、植物が受ける影響が異なると仮説を立てた。本研究では、黒ボク土にミズナラ実生を植栽したマイクロコズムにて体サイズの異なるババヤスデ属2種を飼育した。土壌表面にはミズナラリターを設置し、対照区と温暖区(対照区+3.3℃)にて3ヶ月間培養した。気温上昇時、大型種によるリター分解は促進されたが小型種では抑制された。大型種の生息下では、気温上昇は土壌の全窒素含有量の減少を引き起こしたが、小型種が生息する系では顕著な変化を起こさなかった。そうした土壌の全窒素含有量の変化は、実生成長へ直接的な影響を及ぼさなかった。本結果より、気温上昇がヤスデの摂食行動や土壌窒素へ及ぼす影響の大きさ•方向性は、ヤスデの体サイズにより異なる事、土壌が変化した当年は実生成長へは作用しにくい事が示唆された。