抄録
2011年に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故により多くの放射性核種が森林生態系に放出された。今後、森林に沈着した放射性Csが人間の生活圏に流出することが懸念される。樹種および立地条件が放射性Csの分布と動態に与える影響を評価するため、福島県二本松市の森林において調査を行った。地表および空中の放射線量(μSv/h)について現地調査を行い、A0層、表層土壌(0-5mm, 5-10mm, 50-100mm)、代表する下層植生および新鮮落葉については持ち帰り放射性Cs濃度(Bq/kg)を測定した。樹種に限らず地域によって差がみられたことから、放射性Csの沈着は現時点において、立地条件などの地形的影響を強く受けていることが考えられた。同一地域内において、樹種が放射性Cs濃度に与える影響は見られなかった。林床における放射性Cs濃度は土壌表面(0-5mm, 5-10mm)に多く蓄積する一方、土壌深50-100mmにおいて、その濃度は著しく低下した。各森林の放射性Cs濃度比(5-10mm/0-5mm)は約0.7で、0-5mmにおける放射性Cs濃度による差はみられなかった。