日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: O16
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森林生態系の放射能汚染の実態解明に向けて
ウッドチップを用いた放射性セシウムの森林土壌からの除去
*金子 信博中森 泰三田中 陽一郎黄 垚大久保 達弘飯塚 和也逢沢 峰昭齋藤 雅典石井 秀樹大手 信人小林 大輔金指 努竹中 千里恩田 裕一野中 昌法
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抄録

福島原発事故により汚染した森林の除染には、伐採や落葉除去だけでは十分でなく、処理した木材と落葉の処分も問題である。森林土壌から、安全に放射セシウムを除去する方法を提案する。落葉分解試験を、二本松市のコナラ林で2011年12月から2012年12月まで行った。6月には、落葉の放射性セシウム濃度は土壌の2倍から3倍となり、土壌の約12-18%が上方向に落葉へと移動した。この移動は、糸状菌が有機物上で生育する際に土壌からセシウムを取り込むためと考えた。落葉の代わりに伐採した樹木をウッドチップ化し、土壌のセシウムを糸状菌によってチップに集める方法を考案した。汚染地域の木材中の放射性セシウム濃度はまだ高くないので、森林を伐採し、現地で幹材をウッドチップ化しメッシュバッグに入れ、隙間なく置いて半年後に回収することで、低コストで安全に除染が可能である。半年程度経過したウッドチップはまだ分解が進んでいないので、安全な施設で燃焼し、灰を最終処分する。単に伐採して放置するのでなく、この方法で森林施業を積極的に継続しつつ、汚染木材をバイオ燃料として活用し、復興に活用することが可能である。

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© 2013 日本森林学会
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