抄録
足尾荒廃地におけるニセアカシア造林地の現状を把握するため、ニセアカシアが優占する林分に15m×15mのプロットを11区設置し、胸高直径1cm以上の樹種を対象に毎木調査を行った。また、5m×5mのサブプロットを12区設置し、植生調査を行った。さらに、樹木の健全度を4段階で評価し、シカによる剥皮被害個体数を調査した。毎木調査の結果、ニセアカシア含む胸高直径5cm未満の高木種は認められず、近年ニセアカシア林の更新が起きていないことが示唆された。剥皮被害調査の結果、ニセアカシアの42.0%が剥皮被害を受けており、リョウブの94.5%よりは低いものの、シカの影響はニセアカシアにも及んでいた。植生調査の結果、1プロットを除いて、全種平均5.3個体の木本性稚樹が出現し、すべて樹高0.5m未満であった。また、僅かではあるが近隣の林分からの侵入と思われる木本性稚樹が確認された。除外したプロットにおいては、ニセアカシア倒木付近に同種稚樹が138個体確認されたが、食害も多くみられた。以上から、ニセアカシア林はシカの強い被食圧により更新しておらず衰退傾向にあるが、実生・萌芽更新の潜在性が認められた。