抄録
ブナのように周期的に大量の実をつける樹種では、結実の際に多くの資源を必要とするため、葉面積やシュート伸長成長量の低下など、枝構造が変化するという報告がある。しかし、その一方で変化しないという報告もあり、研究例が少ないためその実態は明らかでない。枝構造の変化は光環境の変化を介して光合成量を変化させるので、こうした構造の調査は、結実による資源分配様式の変化やそれにともなう器官成長量の変化を予測するうえでも重要である。そこで、ブナ成木の結実個体とそうでない個体から枝を採取し、その構造を比較した。試験地は新潟県苗場山のブナ天然林である。5個体の陽樹冠から長さ約40cmの枝を2本ずつ、2009~2012の夏に採取した。構造として、当年シュートの長さ、葉面積、葉と実の重量と数、枝の遮光効率(SPAR)を測定した。枝の結実量と構造の関係を調べると、個葉の面積にのみ有意な負の相関が見られた。SPARは変化しなかったことから、葉の分布様式は変化しないといえる。ブナは陽樹冠に多くの葉を保持している。結実時には林分の葉面積が低下し、生産構造が変化する可能性がある。