抄録
京都盆地周辺では、アカマツ・コナラを中心とする二次林からシイを中心とする常緑広葉樹林へ急速に遷移が進行している。このような林相変化は、種子散布者相を変化させ、種子の散布パターンにも影響を与えている可能性がある。本研究では、遷移の進行に伴う林相変化によって鳥による被食種子散布パターンがどのように変化するのか明らかにすることを目的に、京都市近郊の遷移中期段階にあたる落葉広葉樹林と隣接して広がる遷移後期段階にあたるコジイ優占林において、ポイントセンサス法による季節的な鳥類相の把握と、シードトラップの定期的な回収による果実・種子散布パターンの把握を行った。
2010年5月から2012年12月まで月1-2回の鳥類相の把握の結果、落葉広葉樹林では18.1頭/時間、コジイ優占林では29.9頭/時間の鳥類が観察され、コジイ優占林での観察頭数が季節を通じて高くなっていた。コジイ優占林よりも落葉広葉樹林の方が液果の生産量は多かったが、被食種子散布率は両林分とも高かった。階層構造の発達したコジイ優占林における鳥類の住み場所の提供が、果実の過少に関わらない被食種子散布に貢献している可能性が考えられた。