抄録
フェノロジーは、環境の変化を動植物を通して直感的に把握できる点から、小中学生のための教材となりうる。さらに、映像アーカイブを用いたフェノロジー観察を行うことで、短時間で長期的な環境変化を直感的に把握できる可能性がある。そこで本研究では、東京大学秩父演習林で1996年より継続されている、動画と音声による森林映像アーカイブを対象とし、映像アーカイブを用いたフェノロジー観察という学習において、小中学生がどのような反応を示すのかを、実際の授業実践を通して検討した。
4つの小学校と2つの中学校において、それぞれ対象学年、教科、人数などを変えながら、授業実践を反復的に繰り返した。授業の様子をビデオに記録し、児童・生徒の反応を定性的に分析するとともに、授業後感想文に対する計量テキスト分析によって定量的な分析も合わせて行った。 その結果、児童・生徒は自身の既有経験と結びつけながら、映像教材によって観察の時間規模を拡大できた。一方で、複数年を対象とした観察においてフェノロジーの年々変動と長期変化傾向とを区別できない場面が見られ、これを今後の教材開発を進めるうえでの注意点として把握できた。