抄録
身近な自然に触れる機会のある人は、全般的に健康的であることが報告(Kaplan and Kaplan, 1989)されて以来、これまでに身近な自然の効用が、老若男女を問わず研究されている。そしてここ2,30年の間にこどもの発達障害から高齢者の認知症予防や、寿命の延長にいたるまで、自然環境に関するさまざまンなエビデンスが記述されてきた。これから超高齢化社会を迎える日本において、疾病の予防や治療、ケアを考えていくうえで、地域の疾病を支える力というものが、大変重要な位置づけになると思われる。事実、イギリスでは医療費の問題や、障がいや疾病をもつ方々の医療の場が病院から地域に移行していくとして、「身近な自然」=「コミュニティを取り巻く自然環境」の存在に重きを置いて、色々な取り組みがなされてきた。 コミュニティーケア(community care)とは、 福祉の援助を必要とする在宅者に対し、地域の中で、社会福祉施設や機関と地域住民とが一体となって行う社会福祉サービス・地域福祉のことを意味するが、イギリスの事例を取り上げながら、ケアの場として自然環境(森林など)の果たす役割を考察していく。