抄録
山村地域では森林所有者が十分な森林管理をしきれず荒廃している森林をしばしば目にする。一方、森林に求める癒し効果への期待は年々高まっている。特に東京大学富士癒しの森研究所のおかれた山中湖村及びその周辺地域は、保養地としての性格を強く持つため森林がもたらす癒し効果への期待が強い。周辺地域で一般的な林相である十分な手入れの行き届いていない研究所内のカラマツ人工林を用いて、森林の癒し効果を活用するための地域の森林管理への応用が可能となる具体的な知見を得る事を目的とした実践研究のフィールド整備を行っている。そこでは、癒し効果の高い林相の探索だけでなく、フットパスや園地の設営、地域住民が安全に扱える簡易な技術を用いた森林管理作業への参加や、そこで得られる薪や木質材料を活用した野外活動さらにはそれらを普段の生活に取り入れたライフスタイルがもたらす癒しなど、広範な森林の癒し効果の応用を視野に入れた実践的な研究教育の場を提供することを目指している。これらの「癒しの森プロジェクト」と名付けた我々の実践研究が森林の保健休養機能の応用研究分野に貢献する可能性について、既往の応用研究を俯瞰し考察する。