抄録
【目的】ブナ林や雪崩地が卓越する東北地方の多雪集落では山菜キノコ採りが古くから重要な生態系サービスの一つとなっている。嗜好の変化や採取者の高齢化、林道管理や施業の変化にともない採取活動は変化していくと考えられるが、その将来予測の試みは少ない。そこで、採取活動や環境条件に関わるシナリオを設定し、採取適地の分布やサービスの量がどのように変化するか予測を試みた。【方法】福島県只見町F区を対象に、複数の採取者による2009~2010年の採取記録とGISや統計モデルを用いて種ごとの採取適地を推定した。また、質問紙調査から世代・性別の採取頻度の違いを捉えた。次に、採取や環境の変化について複数のシナリオを設定し、種ごとの採取適地の分布がどのように変化するかを試算した。【結果】サービスの量を低下させないためには林道の維持管理が重要であること、種により違いはあるが広葉樹林化によりサービスのポテンシャルが高まる可能性があること、採取経験者の減少により全体的なサービスの低下がみこまれること等、シナリオに応じたサービスの量や分布の変化を視覚的に定量化できた。