抄録
我が国の林業は木材価格の低下や後継者の不足などの理由により、長期にわたる林業経営を行うことが困難な状況にある。国際商品である木材の価格が大きく上昇することは期待できないため、林業経営を継続させるには経費を低下させることが必要である。また、近年では木材生産としてだけではなく、公益的機能など国民の森林に期待する機能は多様化している。そのため、長伐期施業、良質材生産、保続生産、森林の公益的機能の維持・増加に適しているとされる択伐施業が今後の林業の一つの選択肢になると考える。そこで本研究では、徳島県那賀町において択伐施業を行っている専業林家でその作業内容と経営状況を調査した。その結果、H氏所有林では約300m/haの高密路網を整備することで、所有林への細やかな管理・巡視が行えるため、所有する約100haを単木的に管理し択伐林として維持できていることが明らかとなった。また、それらを徳島県の一般的な皆伐施業の労働投下量や費用と比較し、択伐林経営の優位点を検討した。