抄録
戦後、木材需要に応える形で行われた拡大造林によって、日本の森林資源は非常に充実し、世界の国々と比べても高い森林率を誇る。しかし、時代と共に需要は変化し、当時植えられた木材の価格は下落。それに伴って生まれた、手入れ不足もしくは放置された人工林が問題となっている。現在、国民が森林に求めるのは木材生産だけでなく、水源涵養や生物多様性保全など多様化しており、このためには多様な森林管理が必要となる。また、多様な森林を有することは木材需要の変化にも対応しやすいということにつながる。この多様な森林管理の一つとして人工林の広葉樹林化があり、遺伝子撹乱を防ぎ低コストで行うためには天然更新による広葉樹の導入が適していると考えられる。しかし、「地利」「地位」が良好で人工林施業に適した土地を広葉樹林化する必要はなく、種子供給源となる「広葉樹林からの距離」が遠い場所での天然更新は困難である。本研究では効率的な広葉樹林化に必要なこれらの条件の事前把握を目的とし、愛知県豊田市稲武町・岐阜県中津川市加子母を対象として、地理情報システム(GIS)を用いて広葉樹林化・針広混交林化の可能性を調査した。