日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: P2-084
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生態
モンゴル北部カラマツ林における山火事後のバイオマスの減少
*野堀 嘉裕瀧 誠志郎ロペス ラリー武田 一夫石田 祐宣溝田 智俊
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抄録

モンゴル北部のカラマツ林では、山火事が頻繁に発生する。山火事跡地では天然更新により森林が再生るまでの間、バイオマスの減少した状態が継続し、地球温暖化を加速させると考えられている。本研究では、原生状態の森林バイオマスを正確に測定することで、山火事前後のバイオマス減少の把握に努めた。山火事前の森林バイオマスの推定は、樹幹解析と軟X線デンシトメリーを組み合わせて単木の重量成長を把握してD2Hによる幹重量式を構築した後、毎木調査データと組み合わせて林分単位の重量や成長量を算出して行った。山火事の程度は、軽度・中庸・強度・収穫後の4パターンを想定してバイオマスの減少をシミュレーションした。一方、カラマツが天然更新し後継樹となりうる林内の光環境を調査したうえで、山火事後の森林構造の変化について予測した。その結果、中庸の山火事は森林構造が維持されるので天然更新を誘引しバイオマスに大きな変化を生じないが、軽度の山火事は天然更新を阻害するがバイオマスを増大させる可能性のあること、強度や収穫後の山火事はバイオマスの著しい減少と長期間にわたり森林再生困難な状態が維持されることがわかった。

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© 2013 日本森林学会
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